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6.協力者 /kousi



「ふーん、相変わらず面倒ごとに首を突っ込んでるってわけね」

 どこかおかしげに蔦子さんが言う。これが、今までの事情を聞き終えた蔦子さんの第一声だった。

「で、ダメだったわけだ。当てにしてた江利子さまへのアプローチも見事に失敗、と」

 事実を指摘されたことが面白くないのか、由乃さんは答えもせずぶーっと膨れた。思っていたよりはよっぽど不満がたまっているのかもしれない。

「あの態度・・・絶対何か隠してるわ、江利子さま・・・」

 蔦子さんに指摘されたことによって思い出したのか、ぶつぶつと横で不満を愚痴る由乃さん。とりあえず目が怖い。

「それで? これからどうするの? 山百合会からお墨付きがもらえなかった「つぼみ」のお二方としては」
「え、ええっと・・・」

 どう答えるべきか迷っている間に、いつの間にか復活した由乃さんが私の横から蔦子さんの問いに答えた。

「もちろん、退くわけにはいかないわ!」
「でも、由乃さん・・・勝手に調査なんかして、もしお姉さまたちに見つかったら・・・」
「祐巳さんは心配性ね。こうして協力してくれる人も見つかったことだし、風はこっちに吹いてるわ」

 勝手に蔦子さんを仲間に引き入れる由乃さん。まあ、蔦子さんなら断りはしないと思うけど・・・。
ちらっと横目で蔦子さんを見ると、当の蔦子さんは笑顔でカメラを点検していた。きっと、「良い画が撮れそうね」とか思ってるんだろうなぁ。

「大丈夫よ、そんな簡単に見つからないし、仮に見つかっても大して怒られないわよ」
「それは令さまと由乃さんの関係にしか当てはまらないと思うんだけど・・・」

 あっけらかんと言ってくれる由乃さんだけど、私はそんな楽観的にはなれなかった。私のお姉さま、小笠原祥子さまなら絶対雷が落ちると思う。どんな雷かは想像したくもないけど。

「さて、じゃ、まずは聞き込みね。捜査の基本だわ!」

 嬉々として指揮統率する由乃さんを見て、私は深くため息をついた。




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