衛の不思議な一日
「やあ・・・衛くん・・・。いい朝だね」 千影ちゃんは黒いドレスを着ていた。 「ど、どうして千影ちゃんがここにいるの?」 「ふふ・・・・・・呼ばれたからね」 「よ、呼ばれた?」 よく見ると千影ちゃんは何も履いていなかった。 「今・・・キミと話している私は・・・・・・私じゃないのさ・・・」 「・・・え?」 「・・・キミに・・・渡したいものがあるんだ・・・・・・」 千影ちゃんはそういって手を伸ばしてきた。 「困ったら・・・・・・使うといい」 「あ、ありがとう・・・」 千影ちゃんから渡されたものを受け取った瞬間、強い風が辺りに吹き荒れた。 「うわっ!?」 気がつくと千影ちゃんの姿は消えていた。 ・・・何だったんだろう。・・・あれ? 「確かに何か受け取ったんだけど・・・」 受け取ったはずの何かも千影ちゃんと一緒に消えてしまっていた。 「・・・衛・・・だけか?」 首を傾げていると、不意にあにぃの声がした。 「話し声が聞こえたような気がしたんだけど・・・」 「えっ!? ああっ、あの・・・その・・・」 「まぁ・・・、いいや。すぐ着替えるから、ちょっと待っててくれよ」 「うん!」 「さーて、ひとっ走りしてくるかー!」 「おー!」 ボクとあにぃは意気揚々と家を出た。 「っと、その前にどっちにするんだ?」 ボクたちはマラソンのコースを2つ、その時の気分次第で決めていた。 「うーん・・・。それじゃあね」 >> 「公園を通る西回りにしよう!」 >> 「高台を通る東回りにしよう!」 |