衛の不思議な一日
「ふぅ・・・ 走った走った」 途中の公園でボクたちは少し休憩することにした。 「あにぃってば、思いっきり走ったらマラソンにならないよ。同じペースで走ってこそ意味があるんだから」 あにぃってば、「うおーっ!」って思いっきり走ってボクを抜いては膝に両手をついて休んでるんだから・・・。 「抜かれるのは嫌だ」 あはは。あにぃってば、ホントに負けず嫌いなんだから。 「それにしてもお腹空いたなぁ〜」 朝ご飯は食べてないからボクもお腹ペコペコだよ。 「そうだね、ちょっとお腹空いたね」 「それじゃあ、あれでもどう?」 あにぃが指した先にはクレープ屋さんがあった。 「でも・・・あにぃ」 「今日は衛の誕生日なんだから、遠慮しなくていいよ」 「えっ・・・」 そうだった・・・。今日はボクの誕生日だった。・・・だから、あにぃは今日マラソンに誘ってくれたのかな。 「はい」 「あ、ありがと・・・あにぃ・・・」 なんか妙に恥ずかしくてあにぃの顔が見れないよ・・・。 「それと・・・これも・・・」 そういってあにぃは照れながら小さな箱を取り出した。 「・・・これは?」 「誕生日、あめでとう」 あにぃから渡された小さな箱にはリボンが掛かっていた。 「もしかして・・・これ・・・」 「誕生日プレゼントだよ。・・・気に入って貰えるといいけど」 「開けてもいいの・・・?」 「もちろん」 箱の中には・・・ 「あれ?」 「どうした? ・・・えっ!?」 箱の中には、何も入ってなかった。 「なんで入ってないんだ!? お店で包装してもらったのに・・・・・・あっ」 いきなり慌てだしたあにぃは、何かに気がついて動きを止めた。 「ど、どうしたの?」 「いや・・・首・・・」 「え?」 ボクの首には銀色のチェーンが掛かっていた。 「あれ? ボク何も付けた覚えないんだけど・・・」 チェーンをたぐり寄せると、それはロケットだった。 「もしかして・・・」 「うん。ボクが衛にプレゼントしようとしたものだよ」 カチッ そのロケットの中には・・・、ボクとあにぃの写真が入っていた。 〜 Fin 不思議な出来事 |
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