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 衛の不思議な一日


 「ギブ・・・。もう、ギブあっぷ・・・・」

緩い上り坂を登る東回りのマラソンコースは、結構な難所で。あまり身体を動かさないあにぃは上り始めて数分も経たずにバテてしまっていた。

 「もう! あにぃってば、だらしないぞ!」
 「あ、あのベンチでの休憩を要求します」
 「まだ、走り始めて10分も経ってないよ?」
 「いや、でももう限界・・・」
 「まったく・・・。ちょっとだけだよ」

ボクはしかたなくあにぃを少し休ませてあげることにした。
ポカポカの陽気は気持ちよく。気を抜くと眠ってしまいそうだった。

 「あにぃ、5分だけだからね!」
 「・・・・・・」
 「あにぃ! 聞いてっ・・・!?」

あにぃの方を向いた瞬間、あにぃの顔が目の前に迫っていた。

 「うわっ!」

あにぃはいつの間にか眠っていた。急にボクの方に倒れてきたので、ボクはあにぃに押し倒されたような格好になってしまった。

 「・・・・・・」
 「・・・・・・」

あわわわっ! 早くあにぃを起こさないと!

 「あ、あにぃ!ちょっと、あにぃってば!」

いくら呼びかけてもあにぃが目を覚ます様子はなかった。

 「よいしょっと」

あにぃを起こしてベンチに座る。

 「もう、あにぃってば・・・。・・・そうだ!」

ボクはあにぃの肩に頭を乗せた。

 「えへへ・・・・・・お返しだよ」


 〜 Fin 小さな幸せ


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