ウェブサイトを閲覧するにはブラウザが必要です。 それが他人のサイトであろうと、自作サイトであろうと。 大勢の人は世間に普及している InternetExplorer をブラウザに使用しているわけです。 当然、ウェブサイトを作ろうという折にはブラウザで確認をしながら作業を進めていくでしょう。 単純な構造の HTMLファイルであれば、(見た目を容易に想像できるので)あえて確認するまでもないのですが、 タグの閉じ忘れなどの記述ミスを見つけるためにもブラウザによる表示確認が必要となります。 少なくとも、メモ帳にキーボードで書き込んでいくという方式で作成する際には(ブラウザによる)表示確認を頻繁にやりたくなります。
ブラウザの役割の一つに HTMLファイルを読み取って画面上に構築するというモノがあります。 素人考えではどのブラウザでも同じように構築するのでは? と、思ってしまいますがブラウザにはクセがあります。 それはバグだったりというミスに類するモノもあるのですが、重要なのは半ば意図的に作られたクセの方です。 大雑把に言うならば、IE は素人が適当に作った HTML であってもそこそこ見られるように組み立てます。 例えば、意図的に狙ったりしなければ文字と文字が重なるという事態を見事に回避してくれます。
例えば世の中にある ”ホームページを作ろう”系の書籍なんですが、これらは入門書から専門的なものまで多種多様です。 この手のテキスト本を多角的ブラウザ検証論的観点からレベル分けすると以下のようになりましょう。
レベル5までいくと神の域です。 W3C という組織の存在くらいのものでしょう。 人間レベルでは、分かっているつもりでもついつい間違えてしまうものなのでレベル4くらいが限界ではないでしょうか? ちなみに、私が入門書として 1500円くらいで買った本はレベル1でした(今考えると悔しい限り)。 レベル2くらいの人というのは、IE 以外のブラウザの存在を軽く意識はしつつも、 圧倒的優性なのが IE であることも知っているので IE でまともに表示されれば問題ないと考えるでしょう。 このくらいのウェブマスターが非常に多いのではないかと勝手に推察します。 レベル、レベルとくだらない論旨で恐縮ですが(私もレベルは低い)、 MicroSoft はこのような考え方を裏でしているハズだと言いたい訳です。 公私を問わず、大半のウェブマスターがレベル3までだと考えているハズです。
さて、北朝鮮のような独裁国家で育った国民のごとく IE で育ったウェブピープルは IE に洗脳されています。 この例えは無いんじゃなーい? と、思われるかもしれませんが、選択肢が無い(と思っている)という意味では同一の現象です。 IE でウェブの全てを覚えた人は、やがて自分でもウェブサイトを作ってみようだとか、 あるいは仕事でそういう成り行きにぶち当たるワケです。 そして彼らが作るウェブサイトは IE 環境下で閲覧すると最も見栄えがよく、レイアウトが崩れる可能性も低いワケです。 ついつい、独自拡張の要素・プロパティなども使ってしまいます。 そして、ウェブサイト作成を教えるような人・本・サイトも IE の影響を色濃く受けているワケです。 こうして、IE 色の強いウェブマスターとウェブサイトが拡大再生産されていくワケです。 つくづく、育った環境というモノは人に多大なる影響を与えるモノだと納得してしまいます。
ウェブを IE で見ているうちはただのお客サンにすぎませんが、 IE 色の強いウェブサイトを作り、しかも大勢のビジターを獲得してしまった日には MicroSoft のよき営業マンです。 そのサイトが IE 以外のブラウザで見るとボロボロなんていう場合はもう、IE の宣伝に十分すぎるくらい貢献しています。 知らず知らずの内に Windows ユーザーは MicroSoft社 の尖兵として IE の地位を固めるべく広報活動を行なっている状況です。 世の中には Mac 好きの人たちも大勢いますが、 彼らが Mac から Win に乗り換えてしまう、あるいは逆に、Win から Mac に乗り換えない理由の一つに現在のウェブ環境があります。 Windows(IE)ユーザーに圧倒的に有利で、圧倒的に便利な現在のウェブ環境が......。
しかし、このままでいいのでしょうか? 金持ちがより金持ちになるだけのハナシじゃないですか。 日本の貧乏人たちのマネーは米国の超巨大企業に吸収されていくばかり。 なぜ、こんなコトに? もともと、ウェブや HTML の開発は欧州の研究機関で行われており、商業ベースの運用ではありませんでした。 ところが、アメリカで Mosaic 、 NetscapeNavigator 、 InternetExplorer といったブラウザが開発されると情勢は変わってきます。 利権や契約が乱れ飛び、多くの人間がビッグ・ビジネスの臭いを嗅ぎ取ったのです。 新進分野のビジネスにおいて後発組が不利なのは別に論じるほどのコトではありませんが、 ブラウザの世界においてアメリカ以外の企業があまりにも勝負できていないのはアン・フェアーだと言わざるを得ない。 そんなこと、Windows という OS がコンピューター業界を席巻しているんだから当然のコトだなんて考えてはいけません。 全く別の問題なんです。こればっかりは。
Windows の表計算ソフト、Excel が Mac のパソコンでは扱えない、互換性が無いというのはそれだけの話です。 しかし、HTML なんてものは別々の言語(仕様)を持つコンピューター間において、同じようにデータを閲覧できるように設計されたものです。 いわば統一規格なんですが、これを商業主義の名の下に乱してしまった米国企業があるわけです。 これによって後発組がブラウザを開発しても、それを流通させるコトが非常に困難になりました。 統一規格が維持されていて、ブラウザそのものの機能(素早く画面表示をする機能やセキュリティ面の優劣、画面の拡大・縮小機能やインターネット一時ファイルの保存法など) が純粋に争われていれば、ウェブにおける利便性・可読性・選択性は今よりも発展していたでしょう。 共用システムに独自性を巧妙に混同させて、企業体質のもとに商業ベースのグローバル・スタンダードを作る。 それが、アメリカのやり方です。 我々には、アメリカ主導のグローバル・スタンダードに唾を吐く気構えが必要です(明日のために)。
気が付けば政・官・財のあらゆる分野でアメリカの飼い犬にされている日本人。 飼い犬でも飼い主に噛み付くコトができると見せてやらねばなりません。 なかでも MicroSoft の超巨大にして超利権体質の企業姿勢は目に余るとともに、世界中のコンピューター企業の世界進出の芽を摘み取っています。 そんな巨大な帝國に一矢報いる為に、このサイトを目に穴が開くほど熟読していただけたら幸いです。
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