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IE 帝國 その戦略と大衆支配の構造

Netscape は消える運命だが......

Nの闘争

Netscape社は'00年から'02年くらいにかけて MicroSoft社を独占禁止法で訴えてきました。 Windows に無条件で InternetExplorer が付属されてしまうが為に、 Netscape社としては手の打ちようが無く、不当に(ブラウザの)シェアを奪われてきたと訴訟を起こしたのです。 '03年には両社の間で和解案が成立、Microsoft が Netscapeの親会社AOL Time Warnerに7億5000万ドルを支払うことで決着がつきました。 代わりに AOL は今後 IE を使う方針を打ち出し、かつて自らの手で買収した Netscape を見捨てるという決断に至りました。 また、Apple社が自社開発の Mac用ブラウザ、Safari を登場させたコトも併せて考えると Netscape の火は消えてしまいそうな今日この頃です。


統計は語る、新興勢力の台頭

あるサイトに訪れたビジターのブラウザ
'04年6-7月調べ
ブラウザ(%)
IE5.53.6-4.8
IE6.076.2-83.4
Netscape系2.3-4.6
Mozilla0.9-2.3
Opera2.0-3.2
Safari1.6-3.1

この表は独自に集めたデータを集計したものです。 具体的な数値に関してはそれほど信頼性は高くありませんが、現在の大勢を知ることはできると思います。 他のサイトで見たデータも考え合わせると IE5.5 IE5 などの旧バージョンが合わせて 15-20% 位のシェアを持っており IE全体のシェアは 90-95% 位であると考えられます。 誰が行ったどんな統計にしても IE が独占に近い状態で最大シェアを誇るのは自明の理です。 先ほど述べたように Netscape の衰亡は流れとして硬いものですが、 Mozilla 、 Opera 、 Safari には頑張って欲しいものです。 中でも注目すべきは Mozilla と Opera でしょう。 この2つは、Winユーザーが IE から乗り換える可能性を有しているブラウザだからです。 一説には IE のユーザーは微減の傾向にあり、実際に Mozilla と Opera に乗り換えているユーザーも相当数いるとのコトです。

MicroSoft もこのようなムーブメントは当然のように察知しているハズですが、 実際のところは代替ブラウザの存在を鼻で笑っていることでしょう。 なぜなら、以下の3点から IE の優位性は確保できると確信できるからです。

ビジネスの現場においてマイノリティは無視してもいい存在であり、 ビッグ・マネーを呼び込む一般大衆が追随してくれればそれでいいのです。


栄枯盛衰もスピード化の時代

DTP業界では相変わらず Mac が根付いていますが、流れとしては以前よりも Win 寄りになってきているようです。 Adobe社のIllustrator も Photoshop も Windows版がリリースされていますし、慣習的なものを排除すれば Mac で作業を行う必然性というものは確実に薄れてきています。 このような流れを押し返して今後、Mac が爆発的な勢力拡大を行う可能性は低いものですし、 やはり IE 安泰の基盤は揺らぎそうもないワケです。

しかし、インターネット・バブルって言うんですか? それも落ち着いて成熟化に向かうかと言えば、 そうでもないでしょう。 Netscape社のように 10年の間に勃興と大成と衰退のドラマを演じ、天国と地獄を短い期間で見てしまう組織もあります。 結局は何一つ安定していない。 新しい製品、新しい仕様、新しいシステムが次々と生み出されては消えていく。 企業さんは利益を獲得する為に忙しいコトをやってくれればそれでいいんですが、 我々一ユーザーがこれらに振り回される必要があるんでしょうか。


10年後も読めるウェブサイト

HTML や CSS について書かれたウェブサイトを見ると、NN4 ユーザーが大勢いるだとか IE4 が登場したばかりだとか、 今となっては何の目安にもならないコトを記載しているサイトが多数存在しています。 たかだか数年前に書かれた文章が古文書になってしまうのは哀しいかな、現実です。 現在のトレンドを追っても虚しいだけです。

雑誌のようにあらかじめ発行部数が約束されている媒体ならば新しいことを追求しても意味はありますが、 超人気以外のウェブサイトでトレンドを書いても意味がありません。 よく、ウェブの特徴として速報性みたいなコトが言われますが、むしろ逆ではないかと思うんですよ。 HTMLファイルをアップロードしてすぐに日の目を見るコトは難しいですが、 もしかしたら2,3年後に大勢のビジターを獲得できるかもしれません。 検索エンジンの被リンク数によって上位表示を判断するロジックでは、 新しいページより古いページの方が有利だからです。

雑誌のように古いものが捨てられていくシステムが機能しないウェブにおいては、 ひたすら蓄積していくという特徴があります。 例外的に ”2ちゃんねる” なんかは古いものが捨てられていくシステムが有効に機能していますが(故に新しい情報が多い)。 案外、これが多くの利用者を獲得している主要因かもしれません。 結局、ウェブには速報性という側面もありますがそれよりも ”蓄積・累積” の面の方が色濃く反映されています。 10年後も読める文章を目指す。案外、これがウェブサイト作りの姿勢としては正しいのかもしれません。

さて、本題に戻りますが10年後も読めるウェブサイトを作る為には IE 依存ではよろしくないです。 IE が衰退する可能性うんぬんを言う前に、特定のブラウザに依存した構成では企業の仕様変更に振り回されるのがオチだからです。 IE というブラウザは強烈なクセを持っており、 しかしながら IE 以外のブラウザで確認してみないコトにはこのクセは実感できません。 非常に巧妙な罠にはめられた気分ですよ。


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