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『マーサー王拉致られ編』
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01.
マーサー王を守る事を生きがいとしている側近クマイチャン・ピリリマデ・ユリーネ 
そしてそのクマイチャンの永遠のライバルであるナカサキ・キュフフ 
クマイチャン・ピリリマデ・ユリーネはその長身を活かして名刀「アンゼンピンヲノバシタヤツ」を力強く扱う事が出来るのだ 

正統派の戦闘スタイルのクマイチャンとは対称的にナカサキ・キュフフは技巧派 
普段はブースカにしか見えない容姿をしているが戦場に立った時には王国一の舞闘師となるのだ 
鮮やかに曲刀「レイトウバナナ」を振り回す姿は「キュフフの確変」とも呼ばれる 
ちなみにクマイチャン・ピリリマデ・ユリーネとナカサキ・キュフフの決闘の戦跡は100戦50勝50敗である 
そして今日、巌流島でクマイチャンとナカサキの101戦目が行われるのであった 


「いざ勝負!!!」 
ナカサキに一気に突進していくクマイチャン 
しかしナカサキはヒラリとかわす 
「相変わらずクマイチャンはピリリマデだなぁ」 
クマイチャンのふところに潜り込むナカサキ 
「クマイチャン、クマイチャンは手足が長いから接近戦に弱いよね」 
そう言ってクマイチャンの首を切り落とそうとするナカサキ 
(完全に捕えた!!!今日こそクマイチャンには死んでもらう!!!) 
渾身の力で曲刀レイトウバナナを振り下ろすナカサキ 
しかしそのナカサキのぽっこりお腹に強烈な勢いで衝突する謎の鉄球 
「キュフッ!?」 
「だ、誰が!?・・・・ああっ!」 
数メートル先に二人の戦士が立っていた 
ナカサキを狙撃した張本人チナミ・エナリズム・レッドウエスト 
そして王国きっての実力者ミヤビ・アゴロングであった 

吹っ飛ばされるナカサキを見て怒り狂うクマイチャン 
「ナ、ナカサキをいじめていいのはあたしだけなんだよ!!!」 
名刀アンゼンピンヲノバシタヤツで二人に切りかかるクマイチャン 
しかし猛虎・・・いや猛熊の如きクマイチャンをいとも簡単になぎ倒すミヤビ・アゴロング 
クマイチャンの名刀が金属音とともに遠くへ飛ばされてしまう 
「勘違いするなよクマイチャン、今夜我らがマーサー王が狙われるという情報が入ったんだ 
 お前達が決闘して死ぬのは勝手だが・・・それはマーサー王国が平和になる日までとっておけ」 
その一連の光景を見て信じられない顔をするナカサキ 
「あ、あのクマイチャンの突進を素手で!?・・・ 
 いや確かに金属音はしたはず・・・しかしミヤビは武器を持っていない・・・何故だ!?」 
「そりゃあミヤビはベリーズ6戦士の中で一番強いからだよ」 
ナカサキを手当てしながら言うチナミ・エナリズム・レッドウエスト 


02.
手負いの二人を担いでいくミヤビとチナミ 
「では本題に入ろう」真剣な顔で口を開くミヤビ 
「マーサー王に対して脅迫状が届いたのだが誰から届いたのかも何人で攻めてくるかもわからぬのだ 
 しかもベリー6戦士のうち今日城下町付近に居るのは私とチナミとクマイチャンのみだ」 
「キュート7戦士もほとんどが遠征に行ってるから私とオカールとウメサンしかいない・・・」 
「そう、だから全員が力をあわせてマーサー王を守るべきなのだ 
 ベリーズ6戦士とキュート7戦士がつまらない事で争っている状況ではない」 
「でも待って!」 
大声でミヤビを制するナカサキ 
「私は正直クマイチャンと組みたくないがマーサー王の命に関わるなら全力でベリーズと共に戦う 
 おそらくウメサンもベリーズと仲がいいから共闘になんの問題もなく賛同してくれると思う 
 しかしオカールは・・・オカール・ブラウンコッチェビはベリーズと共に戦いたがらないと思う 
 彼は貧民街からの出身だから上流階級揃いのベリーズ6戦士を嫌ってるのよ・・・」 

「ウチらも全員が全員上流階級ってわけじゃないんだけどなぁ・・・」困り顔のチナミ 
「とにかく戦力はオカール抜きの5人だと覚悟したほうがいいわ 
 残念だけど私とウメサンには彼を説得できそうにないから・・・ 
 今の彼が尊敬してるのはキュート戦士団長のあの人くらい・・・それほど警戒心が強いの」申し訳なさそうな顔をしながらナカサキ 
「キュート戦士団長は遠征の要だから仕方ないよね〜・・・せめてマイハさえ見つかれば・・・あっ」途中まで言いかけて自分の口を塞ぐチナミ 
「チナミ、マイハの話は禁止だと言ったはずだ」怖い顔で睨むミヤビ 
「ご、ごめんなさい」 
「納得いかないよそんなの」ボソッと言うクマイチャン 
「クマイチャン?・・・」 
「マーサー王の命が危ないってのに自分勝手に戦いたくないなんて許せないよ! 
 口で言って聞かないなら私が力づくでも戦場に連れてきてやる!!!」興奮しながら熊井ちゃん 

そんな熊井ちゃんを見て呆れるミヤビ・アゴロング 
「クマイチャン、もしクマイチャンがオカールに勝ったとしてもボロボロになったオカールを連れてきてどうする? 
 しかもクマイチャンだって無事じゃ済まないはずだ・・・そしたら逆に戦力が下がると思わないのか?」 
「えっ・・・そっかぁ」感心するクマイチャン 
「だったら刀を使わず拳で説得する!それなら戦場に来れるでしょ」 

「何を言ってるの!!オカールに素手で挑む馬鹿なんて聞いた事ない!」 
「クマイチャンそりゃ無理な話だよ!オカールってキュート7戦士の中で一番すばしっこいって聞くし」 
「クマイチャン冷静になるんだ・・・クマイチャンは今夜の襲撃まで体を休めるべきだ」 
呆れたようにモノを言うナカサキ、チナミ、ミヤビ 
しかし反論もクマイチャンには熊耳東風、自分の意見を曲げないのであった 
「大丈夫だって大丈夫だって、この長い腕があれば一撃も喰らわずフルボッコに出来るはずだから」 

「ケッ、誰がフルボッコになるって?舐められたモンだな」 
4人はドキリとした、なぜなら声の先には何故かオカール・ブラウンコッチェビが立っていたからだ 


03.
「逆に俺がてめーをフルボッコにしてやんよ」 
右手に取り付けた鋭いジャマダハル、その名も「ケーキノアルミホイル」をクマイチャンに向けるオカール 
「前々からベリーズ6戦士は痛い目に合わせたいと思ってたんだよ、おいデカブツさっさと剣を取りな」 

「いや、剣は使わない!オカール、お前を戦場に連れて行くために拳ひとつで適度にボコる!」 

ぶちギレたオカール、目にも止まらぬ速さでクマイチャンの人体急所5箇所をジャマダハルケーキノアルミホイルで突く 
そして何事も無かったかのように元の場所へ戻っていく 
「ベリーズ6戦士も所詮はこんなもんか、こりゃキュート7戦士だけに任せて解散したほうがいいんじゃねえのか?」 
心の底からクマイチャンを馬鹿にするオカール 

ぶちギレたオカール、目にも止まらぬ速さでクマイチャンの人体急所5箇所をジャマダハルケーキノアルミホイルで突く 
そして何事も無かったかのように元の場所へ戻っていく 
「ベリーズ6戦士も所詮はこんなもんか、こりゃキュート7戦士だけに任せて解散したほうがいいんじゃねえのか?」 
心の底からクマイチャンを馬鹿にするオカール 

クマイチャンに駆け寄るチナミ、オカールを睨みつけるミヤビ、そして複雑な心境のナカサキ 

「ここまでする必要は無かったはずだ、例えお前が認めなくても私達はマーサー王に選ばれし食卓の騎士なのだぞ?」 
冷静を装いつつも静かな怒りが見え隠れするミヤビ 
「そんな弱いやつ足を引っ張るだけだからさっさと抜けちまったほうがいいだろ 
 食卓の騎士は戦力外は抜ける規則があるんだろ?だからマイハもお前らが抜けさせたんだろ?」 
「マ、マイハの事は言うな・・・!」 
拳を握るミヤビ、いつの間にか戦闘の構えを取ってしまう 
「なんだお前も素手で俺に挑むのか?あのデカブツの用に一瞬でおねんねさせてやるよ」 
「素手ではない、武器は私の身に常に携えている!」 
対峙するミヤビ・アゴロングとオカール・ブラウンコッチェビ 

「お前も脱退させてやる!」クマイチャンにやったのと同じように5つの人体急所を突くオカール 
しかし顎と胸を突いた時点でケーキノアルミホイルが折れてしまう 
「な、なにぃ!?」 
「残念だったな、私の顎と胸には鉄板が埋め込んである・・・これが私の武器であり防具だ 
 私の鋼鉄の胸を貫いた者は今までに一人もいないし私の刃の顎の一太刀を喰らって立っていた者もいない!」 
仕込み刀「猪木辻本」でオカールに峰打ちをするミヤビ 

ふと目覚めるクマイチャン、どうやら休憩室で寝ていたらしい 
「ば、馬鹿な・・・俺の突きを喰らったら死ぬか1週間は生死をさまようはず・・・」 
ねぼけ熊さんなクマイチャンの目の前には驚いた顔のオカール、そしてナカサキとキュート戦士の一人であるウメサン 
「そりゃそうよ、クマイチャンは私のライバルなんだからいくら素手とは言えオカールなんかに殺されるはずがないんだから」 
心なしか喜んでるように見えるナカサキ・キュフフ 
「クマイチャンは身長が高いからきっとオカールの人中突きが届かなかったのね」 
そう言ってクマイチャンの汗を優しく拭いてあげるウメサン・アラブ・ソイビーン 

「あ!そういえばオカール結局マーサー王を守るの!?守らないの!?」思い出して必死になるクマイチャン 
「お前には圧勝だったけどミヤビのやつには負けちまったからな、約束は守るよ」 
「圧勝じゃないじゃない!クマイチャンは剣を持てばオカールなんかちょちょいのちょいだよ!リーチが圧倒的なんだから!」 
クマイチャンをフォローするナカサキ 

「それよりさっきマーサー王が呼んでたよ、今城内に居る食卓の騎士は全員集合らしいから早くいかないとね」 
優しい口調で言うウメサン 


04.
マーサー王の間に集結する6人 
「ミヤビ・アゴロング、チナミ・エナリズム・レッドウエスト 
 クマイチャン・ピリリマデ・ユリーネ、ナカサキ・キュフフ 
 ウメサン・アラブ・ソイビーン、オカール・ブラウンコッチェビよ今日はよろしく頼むとゆいたい 
 相手の目星はまるでついていないがお前達が力を合わせれば確実に撃破できるとゆいたい」 
「分かりましたマーサー王、全員ではありませんがベリーズとキュートが共闘すれば倒せない敵などございません」 

「配置は・・・どうしようか?」ミヤビに聞くウメサン 
「城外にも兵は多くいるだろうし私達食卓の騎士は王の間の前に集結したほうが良いと思う 
 例え兵達が決壊しても私達が最後の砦として王の間を死守すれば問題ない 
 敵が王を殺すにはそこしか入り口はないのだから」 

「でも私とチナミの武器なら室内より室外向きだから空から兵を援護した方がいいんじゃないかな? 
 私とチナミを守りながら戦うのも大変でしょ?」 
「それもそうだな、ではウメサンとチナミには別行動してもらおう」 


ミヤビとウメサンがなんか難しい話をしてるので退屈なクマイチャン達 
「そういえばウメサンって強いの?いつもおっとりしてる感じでそんな強くなさそうなんだけど」 
そんなクマイチャンの何気ない発言にびっくらこくナカサキとオカール 
「強いに決まってるでしょ!たぶんベリーズで言う所のミヤビくらい強いんだから!」 
「ありゃ強いなんてレベルじゃねーよ!!俺なんか100回くらい模擬戦したけど1回も勝てなかったての!」 
二人が怒鳴るのでちょっとビビっちゃうクマイチャン 
「そ、そうなんだ・・・ナカサキとオカールがそんなに言うなら強いのかもね・・・」 
「当然だよ!しかも隊長とウメサンが組んだ時なんかそりゃもう凄いんだから」 

なんやかんやで夜になり本格的に兵士達は自分達の配置へ 
そしてウメサンとチナミは城の城壁上へ、残りの食卓の騎士は王室前へ 
「ねぇナカサキ、どっちが多く敵を倒せるか競争しない?」こんな状況なのに勝負をけしかけるクマイチャン 
「どうせ勝負しても無駄よ、だってクマイチャンの武器じゃ一人づつしか倒せないけど私の武器ならいっぺんに倒せるもの」 
「おい面白そうじゃん!俺も混ぜて混ぜて」はしゃぐオカール 
注意をしようか迷ったが騎士達のモチベーションが上がるのなら、とほっとく事にしたミヤビ 

賭けようと意気込んだものの敵は全く侵入してくる気配なし 
あんまり集中力の持続するほうじゃないクマイチャンは不満を言い出す 
「もう夜中だよー?なんで誰もこないのさー」 
「誰も来ないのが一番だ、ここから外は見えないがおそらく敵なんて誰も来てないのだろう 
 イタズラ目的の手紙に本気で取り組んでしまったのは悔しいが臨時の訓練だと思えば良い」 
クマイチャンとは違って大人なミヤビ 
しかし血の気の多いほかの3人は納得できるはずもなく暇をもてあましていた 

もうこのまま何も無いのかなと思っていた時4人の居る間の扉が大きな音を立てて開く 
現れたのは味方の兵士、それもかなりボロボロになった兵士だった 
「敵襲です!外はもはや壊滅状態です!」 
「なんだと・・・敵は何百人だ!」 
「それが・・・たった3人なんです」 


05.
ボロボロの兵士に詳しく事情を聞くミヤビ 
「3人とはにわかに信じられんが事実そうなのだろうな、相手の特徴はどうなっている?」 
「はい!やつらは剣を持った親玉らしき者とハンマーを持った太った者、そしてもう一人は透明なんです」 
透明と聞いてざわつく食卓の騎士達 
「透明だぁ?魔法でも使えるってのかそいつは」呆れた感じに言うオカール 
「いえ、それが本当に透明なのです・・・我々も何も無い所から銃で撃たれて・・・被害の5割はその透明人間から被りました」 
「と、透明だったらいくらウメサンでも倒せないんじゃ・・・」真剣な顔で言う兵士の言葉に恐れるナカサキ 
「それともう一人やっかいなのが太った者なのですが先ほどから城を壊しています!」 
「えっ!?」 
「しかもそいつはいくら攻撃を受けても全く効かないようで・・・我々一般の兵には倒せるとは思えません・・・」 
「ウメサンとチナミが援護にまわっているはずだがそれでも駄目なのか?」 
「はい、ウメサン様とチナミ様もこのままでは・・・」 

「やむを得ない、出来れば4人で固めて置きたかったが何人か外を援護しに行ったほうが良さそうだな」 
ミヤビのその言葉を聞いて大喜びのクマイチャン 
「やったあ!これ以上待ってろって言われたら首が伸びる所だったよ」と首以外も十分長いクマイチャン 
しかしナカサキとオカールはあまり喜んでいない様子 
それどころかどこか不安げな表情 
「あのウメサンでも苦戦するなんてどれだけ強い敵だというの?・・・」 
「安心しろ、いくら苦戦と言っても盾となってくれるお前らがいれば形勢を十分変えられるはずだ 
 ここは私が一人で守るからお前達3人はウメサンとチナミを援護しに行くんだ」 


城外に着き数百の兵が疲弊し尽くし倒れている惨状を目撃するクマイチャン達 
「こりゃ酷い・・・かつてここまでの痛手を受けたのは帝国との大戦以来じゃないか?」 
「その時よりずっと酷いよ、なんせ相手はたった3人なんだから・・・」 
目の前で城を破壊している真っ最中のオカダの元へと走るクマイチャン達 
「でもおかしいな、敵は3人って聞いてたのにこの人しか見えないよ?透明人間って二人もいるの?」疑問に思うクマイチャン 
「そんなのどうでもいいんだよ!とっととこいつ殺しちまおうぜ」 
そう言ってオカダの懐に瞬時に立ち寄りすぐさま人中・顎・喉・胸・水月をジャマダハルケーキノアルミホイルで滅多突くオカール 
巨体を誇るオカダだがさすがに倒れこんでしまう 
「たぶんこいつは一番雑魚だな、次は透明人間探してぶっ倒さないと」 

透明人間を探そうとキョロキョロするオカール 
「どこにもいねぇじゃねぇか、しかもウメサンとチナミも居ないし」 
視力2.0なのに見つからないのでイライラするオカール 
するとそのオカールの横っ腹に激痛が! なんと生きていたオカダが全身全霊の力でハンマーを振り上げたのだ 
「な・・・なんっ・・・だと・・・」 
「さっきのはちょっとビックリしたわぁ、でもな全然効かん」 
実はオカダの防御力の秘密はその脂肪にあったのだ 
ただでさえクッション性のある防具に加え自身の脂肪、これによりオカダの急所を突くのはとてつもなく難しい 
どんな弾丸も脂肪のとちゅで止まってしまうしオカールのような短い刃なら内臓まで攻撃が届く事が無いのだ 
特に今までの19年間、胸から血を流したことは一度も無かった 
胸についた脂肪は並みの人間のざっと10倍だと言う 

「たぶんあんたらのも痛くないんやろなぁ、今までに痛いと思ったのはリカチャン様の駄目出しくらいやわ」 
そう言ってクマイチャンとナカサキを小馬鹿にするオカダ 
「特にそこのブースカみたいな子はえらいちっちゃいおっぱい持っとるなぁ、肩凝るから羨ましいわほんま」 
「え・・・う・・・そんなの関係ないのに」 
身体的特徴を馬鹿にされ悔しくて苦やしくて涙が出ちゃうナカサキ 
オカダの相手の戦意を喪失させる作戦にまんまと引っかかってしまったのだ 
しかしナカサキの涙を見てクマイチャンの剣を握る拳に力が入る 
「ナ カ サ キ を 虐 め て い い の は あ た し だ け な ん だ よ !!」 
猛熊の勢いでオカダの胸に向かって名刀アンゼンピンヲノバシタヤツを突きつけるクマイチャン 
(攻撃しても無駄ちゅうのわからんのかなこのノッポさんは、返り討ちにしたるわ) 
そう思い余裕で待ち構えるオカダ 
しかしオカダの思惑とは裏腹にオカダの胸に刺さったアンゼンピンヲノバシタヤツはぐんぐん伸びていきついには背を貫通してしまったのだ 
「な・・・そんな・・・」 
オカダは近づいて初めて気づいたのだ、クマイチャンの身長がとても大きい事に 
そしてそのクマイチャンの扱う剣が身長に比例して普通の剣よりとても長い事に気づいたのもその時だった 
しかしそれももう遅く、胸から血を流しながら気を失ってしまうのであった 


06.
「オカール大丈夫?戦える?」オカールのほっぺたをペチペチするクマイチャン 
「気を失ってるみたいね、あんな強烈なの貰ったからそこに寝かしておいた方が良いかも」 
とりあえず城壁辺りにオカールを寄りかからせておくナカサキ 
そして残りの敵を探すために移動を始めるクマイチャンとナカサキ 
「とりあえずウメサンとチナミを探して合流した方が良いと思う」 
そのナカサキの意見に反論するようにクマイチャン 
「いやちょっと待ってよ探してる間に敵がお城の中に入っちゃったら大変じゃない?だからこの辺で待ち構えて・・・」 
クマイチャンが言い終わる前に何も無いとこから放たれる弾丸 
クマイチャンは反応仕切れずお腹で受けてしまう・・・ 
「ど、どこだ!?」お腹を抑えて辺りを見回すクマイチャン 
「居ないよぉ・・・敵なんてどこにも居ないよ」焦るナカサキ 

一点に留まらず四方から発射される弾丸に避けるのが精一杯なクマイチャンとナカサキ 
しかし数発に一発はどうしても受けてしまう・・・ 
「避けてるだけじゃ駄目だ!ちゃんと見極めてはじき落とさないと!」 
そう言って曲刀レイトウバナナで弧を描くように空を斬るナカサキ 
だんだんとコツを掴み何個かはじき落とせるようになった所でナカサキは意外な発見をする 
「タマが見えないはずだわ、この弾丸茶色なんですもの」 
「なるほど、だから見えなかったのかぁ・・・ってことは撃ってるやつも茶色なんじゃないの?オカールよりも」 
「そうだわ!きっとそうに違いない」 
大発見に大はしゃぎのクマイチャンとナカサキ、そして更に事態は好転する 
どこかへ行ったか不明だったウメサンとチナミがやってきたのだ 
「ウメサン!チナミ!」 
「ナカサキはヤツの弾丸を弾き続けて、対策なら練ってきたわ」 
いつものほんわか顔からは考えられない真剣な顔をするウメサン 

大型の拳銃「マメデッポー」を取り出すウメサン 
この拳銃マメデッポーは連射性能に優れているうえに着弾と同時に炸裂する"ショットガン"だ 
更にウメサン本人の実力によってどんな素早い相手にも百発百中の命中率を誇る、敵が見えてればの話だが 
「チナミ、自分が撃たれてる時は相手がどこにいるか分からなかったけど今はナカサキがタマを弾いてくれる 
 だから大体の相手の位置はわかるでしょ?・・・当たらなくてもいいから撃ちまくるんだよ」 
そう言って自分も命中を気にせずショットガンを撃ちまくるウメサン 
「相手の銃は連射が効かないし私達の猛攻をよけ続けないといけない、完全に詰みね」 
ショットガンを打ち続けるウメサン、鉄球を打ち続けるチナミ、相手の弾丸を弾き飛ばすナカサキ、何もしてないクマイチャン 
そうしているうちにやがてチナミの鉄球がミヨシの肩に当たってしまう 
(くっ・・・だが向こうもほとんど満身創痍なんだ、一発くらった程度でひるんでたまるものか!」 
気合を入れなおすミヨシ、しかしその瞬間ウメサンの10連射が全てミヨシにヒットする 
しかも全ての弾丸がチナミに負わされた傷の中に入り込み体内で炸裂したのだ 
「なっっ!!!・・・透明なはずなのに何故・・・」 
ミヨシは何も分からぬままその場で倒れてしまう 
「凄い、ウメサンの言うとおりだ!!一発でも当たればヤツの血が目印になるってね」 
自分も少しは役に立ったので大はしゃぎのチナミ 


07.
王室の前で一人待つミヤビ 
自分以外の3人を行かせたのは二つの理由がある 
一つは自分一人でも侵入者を倒せるという自信 
そしてもう一つは自分以外の5人の実力ならどんな敵だろうとこの間に通す事は無いだろうという安心感だ 
ベリーズとウメサンの実力は熟知しているしオカールともさっき手を合わせたばかり 
そしてナカサキがクマイチャンと互角の実力と言うなら5人揃えば十分すぎる戦力だからだ 
おそらく多少怪我を負ったとしてもクマイチャンやチナミが笑顔でその扉を開いてくるのだろう 
なので完全に気を抜いて無いとは言えいつもの5割ほどの緊張感で待ち構えてるのであった 

しかし数分後に扉を開いて中に入った者は今までに見たことのない輩・・・つまりは敵であった 
恥の感情を捨てたとしか思えないバニースーツ、そしてミヤビにも負けぬ屈強な顎を持った女性であった 
「き、貴様!!・・・まさか外の騎士達を全員倒したというのか!?」古武術の構えを取り警戒するミヤビ 
「いいえ、なんか必死で戦ってて誰も私の事に気づかなかったみたい」すました顔で言う侵入者 
「そうか、お前が透明人間か」 
「透明人間はミヨシちゃん、まぁミヨシちゃんも凄いけどまだまだね 
 だって私ほどの達人になるとあんな小細工しなくても気配と足音を消すだけで誰にも気づかれないんですもの」 
相手がよほどの手練という事はミヤビも気づいていた 
何故ならこの侵入者が間に足を踏み入れた途端ミヤビの足がすくみ汗な流れ全身が震え始めたからだ 
「貴様…名はなんと言う?」 
「リカチャン・ノオカゲデ・4714世よ、ミキティのお友達って言えば話は早いかしら?」 
ミキティ、その名を聞いた途端完全にミヤビの腰は抜けてしまった 

「ミキティの名前を聞くだけでそんななっちゃうなんて…まるで犬っころね」 
腰が抜けてるミヤビを見てニヤニヤするリカチャン 
なんとか立てたは良いものの今にも恐怖の重圧に押しつぶされそうになるミヤビ 
しかしミヤビはいくら体が負けそうでもせめて意思だけは敵を制しようと強く思った 
「ミキティが各国の強い戦士を集めてるのくらいは聞いた事あるでしょ?それが私 
 あぁ、そういえばミキティの選んだ戦士の中に元食卓の騎士って子もいたなぁ」 
その言葉を聞いた瞬間ミヤビの体は恐怖に打ち勝ち格上であるリカチャンの喉元に仕込み刀「猪木辻本」を突き刺していた 
「お前達だったのか…メグをたぶらかしたのは…」 
怪訝な表情をして喉を後ろに引くリカチャン 
「なにそのアゴ?面白い体してんのね……でも弱い」 
そう言って自慢の顎でミヤビの仕込み刀を乱暴に打ち砕くリカチャン 
おまけにミヤビの鋼鉄の胸もリカチャン愛用の剣オルファノカッターで貫かれていた 

もう一人がどうしても見つからないのでひとまず城内へと戻るクマイチャン達 
「なんだよ敵強いけど結構余裕じゃん」な雰囲気だったが床で寝転がっているミヤビを見てそんな気では居られなくなった 
「ミヤビ!?ミヤビ!だれにやられたの!」すぐさまミヤビに駆け寄るクマイチャン 
「お前達は早く王のもとへ・・・急ぐんだ」虫の息で4人に指示するミヤビ 
全身が刃物に斬られたような傷で覆われており鋼鉄の顎も破壊されている、誰がどう見ても重傷だ 
だがミヤビの指示を聞いたからには彼らも食卓の騎士だけあってミヤビを気にする事なく王室へと向かった 
彼らの第一の目的は王を守ることだからだ 
王に何かあってからでは遅いのだ 


王の間に着くとマーサー王が玉座の下に倒れこんでいた 
そして王を見下すように立っているリカチャン・ノオカゲデ・4714世 
「お、王!」倒れている王を見て絶望するクマイチャン達 
「あ、王様は死んで無いから安心してね、ただちょっと拉致らせてもらうけど」 
そう言ってマーサー王をかつぎだすリカチャン、華奢な腕をしているがマーサー王を片腕で持ち上げるほどの力があるらしい 
だが王が攫われるのを当然食卓の騎士達は黙って見逃すわけにはいかない 
散弾銃マメデッポーを構えリカチャンの顔面を狙い一瞬にして5発もの弾丸を撃つウメサン 

しかし全ての弾丸がリカチャンのオルファノカッターにより弾き飛ばされる 
並の人間なら反応できず大怪我を負う事必至なのだがリカチャンの超反応の前ではそれすらないのだ 
「しょうがないなぁ・・・さっきの顎の子だけ痛い思いをするのは不公平よね 
 貴方達もあの子のように綺麗に刻んであげる」 
そう言ってウメサンの背後に目にも止まらぬ速さで駆け寄り一太刀で薙ぎ倒すリカチャン 
ここまで来るとリカチャンの猛攻は止まらない、クマイチャンとナカサキの斬撃を華麗に避けお返しにと二人の脚を斬り裂く 
最後のチナミの腕を斬り付け小型大砲ビービーダンも破壊 
ここまで合計してたった30秒程度の出来事であった 
「ミヨシちゃんとオカダちゃんがやられた時はちょっと冷や汗出たけどやっぱり大した事なかったわね 
 じゃあ心置きなく王様は拉致らせてもらうからよろしくね」 
リカチャンはマーサー王とミヨシ、オカダの3人をかついで夜の森へと消えていく 


08.
夜は明け次の日に 
食卓の騎士の中で最も重症なミヤビの寝ている病室に皆が集まる事になった 
「ミヤビ、早くマーサー王を取り戻そうよ!早くしないと殺されちゃうよ!」 
気持ちが早まってミヤビの襟元を掴み大声を出すクマイチャン、そしてそれを制するチナミ 
「クマイチャン落ち着いて、ミヤビは全治半年の重症なんだよ!?」 
「クマイチャン、確かに早く連れ戻さなくてはならないが私どころかお前達皆が重症なんだ 
 このまま相手のもとへ乗り込んでも何も出来ないまま終わるだろう」 
叱られてシュンとしちゃうクマイチャン、しかし理屈は分かっているが不安感は抑えられない 
「で、でも・・・このまま何もしないわけじゃないでしょ?」 
「ただ一つ安心してもいいのはマーサー王は捕らわれられてはいるが殺されはしないという事だ 
 殺すのが目的なら王室の時点で殺されていただろうしヤツの口ぶりでは生かしておくような事をほのめかしていた」 
それを聞いてちょっと安心感なクマイチャン 

「あとは…手がかりがまったく無いという事ではない・・・」 
ミヤビはリカチャンがミキティの友達と言った事から推理できる相手の事情を皆に説明し始めた 
ミキティ・ロマモ・トレインランチ元帝王、彼女はこの世で最大の勢力を誇るモーニング帝国の5代目帝王まで登りつめた女性だ 
しかし帝王になって一ヶ月もしないうちに謎の失踪事件を起こしたという 
先代の4代目帝王ヨッスィー・フットチェケラの時代を支えた腕の立つ剣士なので邸国民の誰もが期待していた所での失踪事件だ 
しかも奇妙な事にミキティが各国の優秀な戦士を集めているという噂も立ち始めた 
何が目的なのかは一切わからないが確かにミキティの失踪した時期と各国の戦士が消え始めた時期が一致している 
そのミキティが今回のマーサー王拉致事件に絡んでいるとしたらとても強大な存在を敵にまわしている事になる 
「そして、メグもミキティ側についているとヤツは言っていた」 
「「「えっ!?」」」驚くナカサキ、ウメサン、オカール 
「ミキティが強い戦士を集めてると言うならメグが誘われても不思議ではない 
 悔しいが・・・メグは我々よりミキティを選んだらしいな」 
一気に暗い雰囲気になる室内 

「とりあえず今は私達の出来る事をやるしかない、皆ショックだろうが耐えてくれ」 
ミヤビの言葉を聞きハッとするウメサン 
「そうね、私達キュート7戦士はメグの旅立ちを受け入れているはず 
 例えミキティの所へ行ったのが本当だろうが嘘だろうが覚悟しないといけないよね」 
その決意を思い出し頷くナカサキとオカール 
キュート達の間に何があったのかはよく分からないけど仲良いなぁとほっこりするクマイチャン 
「そこでだ、私達に出来る事は大きく分けて二つある 
 一つはミキティ達の本拠地を掴むための情報収集だな、モーニング帝国は敵国だが停戦の必要があるかもしれない 
 そしてもう一つはミキティに対抗するための戦力の強化だ、各地に散らばっている食卓の騎士を集結させる必要があるだろうな」 
「だったら遠征軍に連絡して引き返すようにしたほうがいいよね、これでキュートが全員揃うし」 
「ベリーズはリシャコをまず呼ぼうと思う、ピチレモン国の安定のために送り込んだがあの国はもう大丈夫だろう 
 リシャコの力は必ず我々の助けになるはずだ」 


09.
その後食卓の騎士達は3つに別れて行動する事になった 
クマイチャンとチナミは食卓の騎士の一人であるリシャコを呼び戻すために友好国であるピチレモン国へと遣外 
ナカサキとオカールは遠征に行っている残りのキュート戦士に戦争を一時中断させるためにとある大国へ 
現在最も重症であるミヤビとウメサンの二人は更なるミキティの手がかりを求めるために過去の文献を調べる事に 
そしてここではクマイチャンとチナミの道中を追う事にする 

「疲れたー・・・もう3日も歩いてるんだよ?ピチレモン国って近隣諸国じゃなかったの?」 
ただでさえ棒のような足が棒になったので愚痴をタラタラ言うクマイチャン 
「しょうがないよクマイチャン、いくら隣の国でも馬も車も無かったら結構歩くよ 
 だけどこの前のオカダとか言うやつが兵士達じゃなくて馬も車も傷つけたからねぇ・・」 
「わかってるけどさー・・・私たちも食卓の騎士なんだから名馬サトタとかに乗らせてもらってもバチは当たらないと思うのになぁ」 

ピチレモン編
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