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第515話:導き

作:◆AInrN85iiA

『――その調子で励んでくれたまえ』


「うう・・桜くんうるさい・・・・」
 スクール水着を着て休憩室で眠っていたドクロちゃんは、眠い目をこすりながら起き上がりました。
 近くにある乾燥機はその役目を終えて、静かに眠っています。
 それに気がつくとドクロちゃんは、スクール水着を乱暴に脱ぎ捨てて、乾燥機の中にある服に着替えました。
 ドクロちゃんは結構着痩せするタイプです。痛、だれですか鉛筆をぶつけたのは!?

「もっと遊びたいけど、その前にエスカリボルグを見つけないと!」
 ドクロちゃんは休憩室を出ると、海洋遊園地地下の中心地に向かいました。そこには大きな案内板がありました。
「どこにもない・・・・僕のエスカリボルグ・・・」
 さすがの案内板にも、この天使の凶悪な武器のありかについては書いてありませんでした。
 このあと海洋遊園地地下内を探してみたものの、どこにもありませんでした。
 約一秒間、絶望に打ちひしがれたのち地上に出ることを決意しました。
 そういえば、オンボロ船の事についてはどうしたのでしょうか。20時頃に到着するんだよね?
「ばいばい、良い子にしてるんだよ」
 駄目です。忘れてます。
 ドクロちゃんにたくさんの思い出を、プレゼントしてくれた海洋遊園地地下に別れを告げると出入り口へと向かいました。
 その右手には、エスカリボルグの代用であるシームレスパイアスが握られていました。
「あれ?」
 出入り口の扉が開きません。

 ぴぴる ぴる ぴる ぴぴるぴ〜♪

 反応なし

 ぴぴる ぴる ぴる ぴぴるぴ〜♪

 反応なし

 ・・・・・・・・嫌な予感がします。

「ばかあああああああ!」
 ドクロちゃんは、シームレスパイアスで扉を殴りつけました。
 扉はまたたくまに崩れ落ちました。もはや行くてを阻むものはなにもありません
「うわあ・・・・・・」
 そこに広がっている風景は、地獄絵図そのものでした。
 多くの建物が破壊され、燃えてる場所さえあります。
 もしかしたら、死体が埋まっているかもしれません。有名心霊スポットになりそうです。
 ドクロちゃんは忘れてるかもしれませんが、生きて帰れるのは1人だけなのです。
 いつ殺されるか分からないのです。あんなことやこんなことを、されちゃうかもしれません。

「…………ッ!」
 ドクロちゃんの表情が険しくなりました。狼でも見つけたのでしょうか。
「木工ボンドの精霊さん!」
 追いかけるように走りだしました。
「まってよー」
 鉄の塊を振り回しながら、どんどん加速しています。
 今のドクロちゃんは危険です。ドクロちゃんにだけ見えるという、木工ボンドの精霊を追いかけることに夢中なのですから。
 遠くに人影が見えようが、気にしません。前進あるのみです!
 今の姿を人に見られたらお嫁にいけなくなるかもしれません
「どこいったのー?」
 どうやら、精霊を見失ったようです。目の前にはとても大きな木が一本ありました。
 ドクロちゃんは木にもたれるようにして座りました。


【E−3/草原・巨木の下/1日目・18:20頃】

【ドクロちゃん】
[状態]:健康。足は大体完治。
[装備]:愚神礼賛(シームレスパイアス)
[道具]:無し
[思考]:少し休息してエスカリボルグを探そう!
[備考]:誰かとかすれ違ったかも

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