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第297話:殺戮者と姐さん

作:◆a6GSuxAXWA

 石碑より脱出した二人は、森の陰に隠れて互いの情報を交換していた。
 互いの捜索する相手や、これまで出会った者たちの様相、行動。
 そして――
「物部景という少年が死亡。放送の分を加え、現在確認された死者は24人か」
「ええ。私がもう少ししっかりしていれば、アイツも死なずに……」
 蒼い殺戮者は、何を言えばよいのか分からない。
 ――昔にも感じた困惑だ。
 と、その思いを敏感に感じ取ったのか、風見が苦笑を浮かべ。
「ごめん。今言うべき事じゃないわね……とりあえず暫く時間を置いて戻って、アイツを埋葬して、それから――?」
「そのまま地下を探ってみたい。何か有益な情報が得られるかもしれない」
 火乃香、パイフウは放っておいても死にはしないだろうという確信がある。
 むしろ禁止エリアが増えてからの方が探し出せる確率は高いだろう。
 しずくがこの状況で生存できるかは不安要素が多いが、焦燥から無茶な探し方をしても我が身を危険に晒すだけで益は無い。
 ……ならばやはりエリアが狭まるのを待つべきだと、蒼い殺戮者は判断する。
「次の放送を待ち、禁止エリアの指定によって発生する人の流れを地下に潜って回避」
「そして地上が再び落ち着くまで地下を探り、狭まったエリアの中で目標の七人を捜索、ね」
 蒼い殺戮者は、得られた情報を元に再び思考。
 まず、自分の目的は正常な命令系統への復帰。
 そしてそのために情報を収集し、それを火乃香に届け、恐らく脱出のために動いているであろう彼女に協力する。
 途中、可能な限りはパイフウ、そしてしずくとの合流を果たしたい。
 ここまでが単独行動時の思考。
 これに加え、風見の話に出てきた佐山、新庄、出雲、オドーの四人を捜索対象に追加。
 恐らく彼女の思いは、自分がしずくを気にかけるものと同質だと判断し、優先順位は同格に。
 更に、風見は己の武器である槍を探しているという。
 原始的な武器だが、火乃香のカタナのような事例もあるため侮るわけにはいかない。
 優先度を一段落として、捜索の対象に。
 そして二人は、静かに放送を待つ――

【D-4/森の中/1日目・11:05】
【蒼い殺戮者(ブルーブレイカー)】
[状態]:少々の弾痕はあるが、異常なし。
[装備]:梳牙
[道具]:無し(地図、名簿は記録装置にデータ保存)
[思考]:風見と協力して、しずく・火乃香・パイフウを捜索。脱出のために必要な行動は全て行う心積もり。
[備考]:BBと風見は次の放送を待ってもう一度地下に潜るつもり。

【風見千里】
[状態]:精神的に多少の疲労感はあるが、肉体的には異常無し。
[装備]:グロック19(全弾装填済み・予備マガジン無し)、頑丈な腕時計。
[道具]:支給品一式、缶詰四個、ロープ、救急箱、朝食入りのタッパー、弾薬セット。
[思考]:状況を整理したい、仲間と合流。景を埋葬したい。
[備考]:BBと風見は次の放送を待ってもう一度地下に潜るつもり。

2005/05/05 修正スレ90

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