remove
powerd by nog twitter

第153話:糸口へのプロローグ

作:◆PZxJVPJZ3g

「……」
「……」
「……」
「……なんていうか、やるせないですよね。こういうの」
「そうだな……」
「あんたらがもっと早くここに来てりゃ、こうはならなかったかもな」
「おいおい、それじゃあ俺達が来るのが遅かったからあの女は死んだって言いたいのか?」
「いや、そういう意味じゃねえよ。ただな……」
「ただ、何なんですか?」
「あんたらと会う前に、こっから上の方で女二人とやり合ったんだよ。その後からなーんかあの女の様子が変わってな。だから、その前にあんたらと会えば、回避出来たんじゃねーかってな」
「話を聞いた感じじゃ分からねえが、それはねえと思うぜ俺は」
「なんだよオッサン、俺の考えが間違ってるって言いてぇのか」
「いや、そうは言ってねえよ。多分俺等と合流しても、俺等が誰かと戦えばあの二人が決闘するハメになったと思うぜ。あと俺にはイルダーナフって名前があるんだ、ちゃんと名前で呼んでくれよ」
「あの二人の決闘は避けられなかった、という事ですか?」
「ああ、あの女は結局行き詰まってたんだろうよ。このゲームに乗って人を殺して勝利するか、誰も殺さずにここから脱出するか、相反する意志の挟間でな」
「……」
「……やるせねえよな、こういうの」
「そうだな……」
「……」
「……」
「……」


「なぁ」
「何ですか?」
「このゲーム、何の意味があると思う?」
「このゲームの意味……」
「100人以上の人間を、一人になるまで殺し合いをさせる事にか?」
「ああ」
「あいつ等の道楽じゃねえの?」
「それはないな、わざわざ俺達を集める理由がない」
「……」
「違う世界に住む奴らを集めて、死と絶望と悲劇をばらまく。その理由は何だ?」
「戦わせる事に意味がある、とか……」
「たとえば?」
「参加者の誰かが特殊な力を持っていて、その力を目覚めさせるとか。或いは」
「或いは?」
「或いは、最後に残った一人になにか用があるとか」
「流石にそれはないんじゃないか?」
「ほう、それはまたどうしてだい?」
「最後に残った一人が全く人を殺さず、ずっと何処かに隠れたとして、そんな奴にあいつ等が興味を持つとは思えねぇ」
「確かにそれは一理あると思います」
「あいつ等はなんだか知らねぇがとにかくヤバい。多分人を殺した人数も両手じゃきかねえはずだぜ」
「……何かの儀式、ってのは考えられねえか?」
「儀式って何のだよ?」
「そこまでは分からねえさ。だがあいつらにとって意味のある儀式だろうとは思うぜ」
「……結局は何も分からずじまいか」
「仕方ありませんよ、なぜ僕達がここに連れて来られたのかの理由も分からないんですから」
「……」
「……」

「それで、この後はどうするんだ?」
「どうするって……」
「言われてもなぁ……」
「……」
「……」
「……」
「とりあえず後を追うか」
「だな」



【キノ (018)】
[装備]:『カノン』 師匠の形見のパチンコ
[道具]:支給品一式
[思考]:ショック状態

【ヴィルヘルム・シュルツ(010) 】
[装備]:ベネリM3(残り6発)
[道具]:支給品一式

【イルダーナフ(103)】
[装備]:ヘイルストーム(出典:オーフェン、残り20発)
[道具]:支給品一式


【オーフェン(111)】
[状態]:普通
[装備]:なし
[道具]:支給品一式


[チーム行動方針]:とりあえずキノを追う/イルダーナフの知り合い(カイルロッド、リリア、アリュセ)を捜す。


【備考】

今の会話はキノには聞こえていません。また残りの三人は、キノを捕捉できる位置にいます。

【C-5/階段付近/1日目・05:45】

←BACK 目次へ (詳細版) NEXT→
第152話 第153話 第154話
第122話 ヴィル 第222話
第122話 キノ 第222話
第122話 イルダーナフ 第222話
第122話 オーフェン 第222話