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第109話:邂逅

作:◆Aoc3zcD1/Y

運が良かった。

竜堂終は反省するのは得意ではないが、危機を脱した今は、格別そう思えた。

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この理不尽なゲームが始まった直後、自分が飛ばされたのはG-8だったが、
そこは一帯ほぼ草原で見晴らしがよく、ある物といえば物見やぐらだけ。

とりあえずやぐらの上に陣取り持ち物の中を確認し、名簿に従姉妹と兄の名前を確認したからには、一刻も早く合流したかったが、
こんな夜中に闇雲に動いてもうまくいかないと判断し、ここでしばらく休むことにした。

「腹が減っては戦は出来ぬ、っと。もぐもぐ。」
食事をとりながら、荷物を更に確認する。
「なになに、『この剣の名前はブルードザオガー(吸血鬼)といいます。この剣はただの剣ではありません。・・・・』」


荷物の確認をし、あたりを警戒しつつも数時間休んだ頃、
2人の人影が接近してくるのに気づいた。
武器をつかんで、すぐさま飛び降りて声をかけた。
「すみません。おれ竜堂終って言います。戦うつもりはないです。
鳥羽茉理と竜堂始のどちらかを知りませんか?」

終としては礼儀正しく問い掛けたつもりだったが、礼儀は正しく返されなかった。
「ふむ、悪くはない。じゃが、子供には用はない。」
後ろを歩いていた女性と思われる人影がそうつぶやいた途端、前の男が持っていた武器で斬りかかってきた。

終とて油断していたわけではないが、その男の攻撃は思いのほか鋭く、左腕の上腕部を浅く斬られてしまい、服の破れた部分の皮膚が白い鱗状の光を放つ。
ダメージはほぼ皆無だが、
「まずいな。」
女の方も接近してくるのを感じ、2対1は不利と判断する。
動きや気配から女の方も、いや、女の方がより危険な存在であることを、終の本能が告げていた。


三十六計逃ぐるにしかず。
即断すると、素早く上段から男に斬りかかる。
十分にスピードとパワーののった必殺の一撃。
だが、男は難無く常人離れしたその斬撃を受け止める。
「はあああああああああっ!!」
気合を込めて終が叫ぶと、ブルードザオガーの剣身から衝撃波が放たれ、男の体を切り刻む。
吹っ飛ばされ、それでもすぐさま体勢を整えた男が見たものは、遠くに一目散に逃げ去る終の背中だった。

「よい。追うでない。もう夜明けも近い。今は安全な寝床を確保するのが先決じゃ。」
「・・・しかし面白い。西海白竜王、あの小僧とこんな所で邂逅するとはよもや思いもしなかったわ。」
「はっ?」
「いや、ちと昔を思い出しただけじゃ。どのみち生きておればまた会う事になろうて。」

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一目散に逃げ出し、池?を泳ぎ上陸して、一息ついた。
武器をうまく使えたのは良かったが、必殺の威力はないし、なかなか疲れる代物だった。
そう何回も連発したくはないと思った。
そして武器以外の全てをなくしてしまった。現在位置も定かではない。
「まず誰かに会って、協力を頼まないと、場所も時間もわからないなぁ。」
それでも生来の気質から、落ち込むことなく前向きに行動することにした。


418 :イラストに騙された名無しさん :2005/03/29(火) 03:18:33 ID:7kZZJEuM
【美姫】
 [状態]:通常
 [装備]:なし
 [道具]:デイパック(支給品入り)、
 [思考]:己の欲望のままに/そろそろ寝床を探す

【アシュラム】
[状態]:軽傷/催眠状態
[装備]:青龍堰月刀
[道具];冠
[思考]:美姫に仇なすものを斬る

現在位置 【G−8/草原/一日目、05:00】

【竜堂終】
[状態]:通常
[装備]:ブルードザオガー(吸血鬼)
[道具]:なし
[思考]:協力者探し/竜堂始と鳥羽茉理との合流

現在位置 【E-7?/海岸/一日目、05:30】

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