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第031話:灯台の下で

作:◆h8QB1rxvpA

卵王子…カイルロッドは、この状況に舌打ちをした。

「何が殺し合いだ……納得がいかない!」

急に集められ、そして殺し合いをしろなどという。
ふざけた事を言うあの人間に心底腹が立っていた。

「絶対にこの殺し合いを止めてやる……!」

湧き上がる心の中の焔は、もう止まらない。
そのまま無造作に支給品の袋をまさぐった。

「……乱暴な事はやめてくれませんか?」
「………ん?」

幻聴か?
何か声が聞こえた。どこからかわからないが、男性の声。
そういえばこの袋の中から聞こえてくるような……。

「ふぅ…窮屈だった」
「う……うわぁ!!」

中に入っていたのは、犬だった。
白いふさふさした毛を持つ、笑っているような顔の犬。
そして……喋っている。いや、それはこのさいどうでも良い。

「私の名前は陸、犬だ。シズ様は…どこだ?というかここは……」
「シズサマ?」

何やら自己紹介からさらりと独り言に移行している犬、いや…陸を見て、
カイルロッドはきょとんとした目で見ていた。


「ところで、あなたは一体?」
「ああ、俺はカイルロッドだ。呼び捨てで良い」
「ここがどこだか、そういった情報は?」
「いや、俺も訳が分からない」
「成程……」

しばらく唸る2人。
そして、また陸が口を開く。

「ところで、カイルロッド」
「何だ?」
「私はシズという男性の人間を探したいのですが、あなたはどうするんですか?」
「……そう、だな……」

ここで、彼に1つの提案が浮かび上がった。
ゲームを破壊するにしても、まずは仲間も必要だ。
ミランシャやイルダーナフの様な頼れる仲間が。

「じゃあそのシズっていう人を探そう。協力するよ」
「有難う御座います。頼りにしています、カイルロッド」
「だけど、あてもなく歩き回っても仕方が無いな……何か考えは無いか?」
「ではこの灯台を拠点にして動くことにしませんか?」

灯台。
そう、カイルロッドの降り立った場所には灯台があった。
砂浜から伸びるように建つ雄大な灯台。
成程、その案も悪くない。

「じゃあわかった、その案でいこう」
「わかりました」

1人と1匹は、行動を開始した。


【A-7/灯台/1日目・0:03】

【カイルロッド】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式) 陸(カイルロッドと行動します)
[思考]:陸と共にシズという男を捜す

[備考]:A-7を拠点とし、近くを捜索

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