remove
powerd by nog twitter



「エリオルからの贈り物<さくら編>3」


「ほ、ほええ〜!ケロちゃん、なにこれ!?」

次に流れてきた映像を見て驚いたさくらがケロに問いかけた。

「わ、わたし、小狼くんにおんぶしてもらってるよ〜。なんでぇ〜?」
真っ赤になってうろたえているさくらの視線の先には、なるほど、式服を着た小狼がさくらをおんぶして夜道を歩いている姿が。 さくらの頭上には、パタパタと羽を羽ばたかせたケロがいて、心配そうな顔でさくらの寝顔をのぞき込んでいる。 側には知世もついていて、いつも変わらない情熱でもってさくらの寝顔を撮影している。
式服姿の小狼に対して、背負われているさくらも知世お手製のコスチュームを着ているようだ。

「どーしたのわたし、なんなの、これぇ〜?」
「さくらカードに変えてた頃やんか。初めの頃、さくらすぐ寝てしもうてたさかい、こうやって家に連れて帰ってたんや」

半ばパニック状態に陥っているさくらにケロが説明した。

「だって、だって、いつもケロちゃんが大っきくなって運んでくれたって」
「今やから言うけどな、そりゃ無理やでさくら。わいが真の姿でその辺歩いてたり飛んでたりしてたら、目立つでぇ。 そんなとこ誰かに見られてみぃな、町中パニックや。これが一番ええ方法やったんや」
「だったら、ちゃんとほんとのこと教えて欲しかったよぉ。…はうう、恥ずかしいよぉ」
「今頃恥ずかしがってもあくかいな。第一、さくらに黙っとこって言うたんは小僧やったんやで」
「しゃ、小狼くんが?」
「そや。ほんまのこと言うたらさくら恥ずかしがるやろさかい内緒にしよて、あいつが言うたんや。 それで知世とも相談してそれがええやろいうことになったんや」
「…そうだったんだ…わたし、色々迷惑かけてたんだね。…小狼くんだけじゃなくて、ケロちゃんや知世ちゃんにも…」
「迷惑なんかやない!第一、小僧にしてみたら役得みたいなもんやで、な、せやろ?」

また涙ぐみそうになるさくらを見てケロが慌てて言いつのった。

「やだぁ、ケロちゃんったら」

そのおどけた言い方にさくらも思わず微笑を浮かべた。
その後もビデオは小狼を映し続けた。
クマのキットを買ってしまい、自分でも不思議がっている小狼。
目に見えない何かにふさがれている、ペンギン大王の前にあいた穴を素手で叩き続ける小狼。
雪兎にクマの形のクッキー型を手渡す小狼。
最後に、「お誕生日おめでとう、さくらさん。わたしからの贈り物は気に入っていただけましたか?」という エリオルからのメッセージが流れた。

「ま、このビデオで小僧が株を上げよったわけやな。ほんま14歳のええ誕生日プレゼントやったな、さくら」

「うん」

(ありがとう、小狼くん、ありがとう、エリオルくん)
今度エリオルにあったらビデオのお礼を言おうと思うさくらだった。
そして、小狼にも。

みんな、ありがとう…………。

15歳のバースディ、さくらは甘い想いにひたったまま眠りについた。
indexに戻ります novelページの目次に戻ります 前のページ


秘密(でもないか)のオチ

「ようあないなシーン再現しよったな。ま、相変わらず魔力が強いままなんはええんか悪いんか。
せやけど、編集はきっと手作業やな。暇なやっちゃ。さくが変わりもんのクロウの生まれ変わりやで。
案外知世とも気があうん違うかぁ」(ケルベロス談)