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バーチャルスター声優学2

魅惑の声質

声質とは

声質とは文字通り、声の質ということになるが、声優(女性)の声の質はどのように定義したらよいだろうか。この時に声優同士の比較が可能であると分かりやすい。「キンキン声」「ハスキーボイス」「アニメ声」「萌え声」などの感じを伝える言葉あるが、どちらかというと絶対座標なので比較は難しくなる。またあまりパラメータ数が多くても大変なので、2軸による評価を考えたい。

となると、やはり声の高低は欠かせないだろう。一般に人間の声は子供の声は高く、変声期を迎えると低くなる。アニメにおいてはちょうどそのあたりの微妙なお年頃のキャラがメインになることが多いので、声の高低はキャラクターのイメージを決定する重要なファクターになる。もっとも比較的「声の高低は操作しやすい」という難点があり、声優の声質そのものとは若干乖離する可能性もあるが…。

残る1軸は悩ましいところであるが、声が「柔らかい」「固い」としたい。高低のような物理量と言うよりは多分にイメージが絡んでくる評価軸ではあるが、これもまた重要であると考える。おおざっぱに言えば子供の声やキンキン声・ボーイッシュな声は固い、ガーリッシュ・深窓の令嬢タイプは柔らかいとなる。もっとイメージ的には「お母さん」の声は柔らかいことが多いが、「かあちゃん」の声は固いことが多い。感覚的ではあるが、高低よりは操作が難しい特徴だと考える。経験的には声の高さが変わっても、固さ・柔らかさは変わらないことが多いと思う。もちろん矢島 晶子のように守備範囲が広い人はこの限りではないが…。

これが声優声質分布だ!

とにかく、声質を「高低」と「固さ(柔らかさ)」で分類してみよう。以下は筆者が分類してみた結果である。カッコ内は代表的は役名を表記している。なお記載している声優は筆者の好みで選択させてもらった。なお、言い遅れたが女性声優に限っている。

当初は声優の守備範囲の広さを考え、それを矩形範囲で表すことを考えていた。しかしそれはあまりに難しいことがすぐ分かり(すべての役を知っているわけではないし、そもそも代表点を決めるだけでも難しかった)、その声優が演じている特定キャラの座標を示すにとどめた。そんなわけで括弧表記は実は逃げなんである。

「高く」て「固い」声は元気系のキャラが集まっている。極めると西原久美子のようなキンキン声となる。「高く」て「柔らかい」声にはガーリッシュなキャラが集まっている。逆に「低く」て「固い」とボーイッシュな感じであり、極めると榊原良子のような(正確には南雲(パトレイバー)のような)凛々しいキャラになる。「低く」て「柔らかい」と物腰の柔らかい大人の女性タイプになってくる。該当が少ないが、池田昌子などはその典型となる。

また高い・低いで言えば高いほうが人数が多い。これはアニメとして少女がメインの話が多いので当然の結果であろう。

…どうだろう、みなさんの感覚と一致するだろうか?

魅惑の声質(カズくんのケース)

さて上の図から魅惑の声質を割り出してみよう。もっとも「好み」の話にほとんどイコールになってくるのであくまでもカズくんの場合である。実は一目瞭然で、私の好みで声優を挙げた以上、一番人数が多い「高く」て「柔らかい」ところがスイートスポット、ということだ。もっと言えばより「柔らかい」ほうがよい。ということはガーリッシュな声(キャラ)が好きと言うことにもなる。この辺り、声質の分布と各人のキャラの好みの分布が一致するのかは興味のあるところである。

魅力は2軸だけでは決まらない

今まで述べたように、上図は比較はなかなかやりやすい(的確なポイントを設定するのは難しいが…)のだが、声の魅力としてはもちろんこの2軸だけでは決まらない。例えば、現実には上手い・下手というのもある(図に挙げた声優たちはみな上手い…幅はあるが)。また喋り方による違いもある。以下の図を見ていただきたい。

これは井上喜久子のみずほのセリフ「最優先事項よ」を分析した結果である。上は波形、下(赤線)はピッチといって声帯の基本振動を示している。素人が喋るとピッチは一本調子つまり平坦になるが、声優やアナウンサーなど訓練された人が喋るとこのように上下に変動する。よって変動するのはプロならば当然なのだが、変動の度合いが大きくまたかなり途中で上下しているのが分かる(「さ」のところなどはU字型だ)。このセリフが印象的なのは、もちろん物語上の意味から当然なのだがそれだけではなく、このくねった喋り方も大きな要因なのである。

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