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始源児(Miracle Child)

 未来への大いなる可能性を秘めた子供。その象徴する物は未来への発展性
 なお、始源児は【永遠の少年】とも類似し、ユングも混同しているフシもあるが、私は別物だと解釈する。確かに、両者は未熟という点では共通するが、違いもある。それは成長するかしないかである。始源児はいわゆる英雄や神などの偉大なる存在に成長しうる(例:ヘラクレスや桃太郎など)が、永遠の少年は「永遠」に「少年」のままである。
 なお、『続・元型論』では始源児を「童子モチーフ」と表現している。
未来的性格
 「童子モチーフの本質的な性質の一つは、その未来的性格である。童子は未来の可能性である。それゆえ、個人の心理に童子モチーフが現われるということは、たとえそれが初めは後ろ向きの姿に見えようとも、一般的には未来の発展の先取りを意味している。」(『続・元型論』)
小より小さく、大より大きい
 「幼な子イエス」は小さな体ではあったが、クリストファーが背負ってみると、とてつもなく重かった。つまり、同時にそれだけ重大な存在なのである。また、赤ん坊のヘラクレスは、ヘラの遣わした毒蛇を絞め殺したが、捨てられた時にはお腹が空いて母乳を必要とした(その時はなんとヘラが母乳を与えたのである)。
 このように始源児は大いなる力を秘めていて、時にはその力で怪物退治や救済などをもたらすが、同時にある面では弱小で時には保護を必要とする、逆説的存在なのである。

この童子が夢に出てくると…
無個性な多数の小人、少年が現れた場合
 人格の分裂(断片化)の可能性がある。精神異常の人間にとっては分裂病に将来陥る(もしくは陥っている)かもしれない。
 正常人の場合、アイデンティティの確立ができておらず、いまだに集団の多数性に無意識的に同一化している状態に留まっているのである。例を挙げるなら、「私は誰?」という問いに、「私は日本人」「私は○○社員」「私は○○大学の学生」といった程度の答えに終始し、本質的な答えを出せない状態、といってよいかもしれない。
一人で現れた場合
 「それは前もって完成した姿をとっている無意識的な人格総合(注:【自己】のこと)を表わしており、臨床的にはあらゆる無意識と同様に、可能性を意味している」(『続・元型論』)

表徴としての例
神童、幼な子イエス(聖クリストファーの伝説)、桃太郎、一寸法師、赤ん坊のヘラクレス(ギリシア神話)、小人、ホムンクルス(錬金術の小人)、小さ子(柳田國男)、ホルス(エジプト神話)
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