ギリシアのエレウシスの秘儀の童神イアッコス(Iakchos)に因んでつけられた。 「永遠の少年」は成人することなく死に、グレートマザーの子宮の中で再生し、少年としてふたたびこの世に現れる。「永遠の少年」は決して成人しない。英雄であり、神の子であり、グレートマザーの申し子であり、トリックスター(いたずら者)であり、そのいずれにも成り切らない不思議な存在である。(河合隼雄『母性社会日本の病理』P35〜36) |
林道義『日本神話の女神たち』文春新書 H16.9/20(P167) |
「永遠の少年」というのは一口で言いますと、この世の現実から逃げている心理です。現実と対決しないで、現実というのは汚いものだと、大人の世界はごまかしばかりなんだと言って、現実のなかで生きることを放棄している。そしていつでもこの世からおさらばしていいのだと、今の姿は仮の姿なのだからというようなことを言って、自分は非常に高等で清潔なすばらしい存在だというふうに見ている。けれども結局は何もできない。永遠に純粋で清らかな少年でいたいのだという心理を表わしています。そういう少年は結局英雄になることができない、つまり母なる無意識から自立した大人になることができないわけです。 |