【 主音と調性 : 主音が主役 】 では、「調性」についてです。 曲にはそれぞれ主音があることは書きました。 で、その主音から見て、 他の高さの音は長六度とか完全四度とか言うわけです。 それでは、調性とはなにか。 調性とは、主音に対して他の音が従属的になり秩序付けられる、 という音楽の性質です。 ……といってもわかりにくいですね。 たとえばこの曲では、 「CDEFACAF……」とメロディーがいろいろ動いたり、 和音もいろいろ変わっていきますが、 最後はメロディーは主音のCで、 和音はC+E+GというCを基本にした和音で終わります。 このように、曲はその流れにおいて、 主音に向かおうとするはたらきがあります。 聞く側の頭には、 「主音はどの音か」というのが(無意識にでも)常にあり、 その音で終われば最も「終わった感じ」を受けるはずです。 (主音で終わらない曲もしぬほどあります。 それでも「終わった感じ」はしたりします。 でも、主音は基本的には存在します。 仮にその曲の最後に無理やりにでも主音を基本にした和音をくっつけたら、 そっちのほうが「終わった感」は強いはずです。 これもきっと万人が共有する感覚……のはず。) そういう、なんていうかなあ、 主音を基準として曲が成り立っている、 という音楽の性質が、調性なんです。 【 音階・長調と短調 : 曲の感じを決める音たち 】 そして、その調性にはまた2種類あります。 かの有名な「長調」「短調」のことです。 これを決めるのが、先に説明した音程なのです。 曲に主に使われている音がどれなのか、によって決まるのです。 その音程の組み合わせを高さ順に並べたものが「音階(スケール)」です。 これもまたいろいろある…… のですが、基本的なものは次の4つです。 長調の音階(メジャースケール)は、 「P1 M2 M3 P4 P5 M6 M7 P1」 となります。 先にやった普通の「ドレミファソラシド」のイメージどおりですね。 一般的には、「明るい感じ」とでもいいましょうか。 短調の音階(マイナースケール)は3つあります。 どれも、「暗い」とか「悲しい」とか「重い」みたいな感じといいましょうか。 まずは、自然短音階(ナチュラルマイナースケール)は、 「P1 M2 m3 P4 P5 m6 m7 P1」 です。こんな感じです。 次に和声的短音階(ハーモニックマイナースケール)、 「P1 M2 m3 P4 P5 m6 M7 P1」(こんな感じ) そして旋律的短音階(メロディックマイナースケール)、 「P1 M2 m3 P4 P5 M6 M7 P1」(こんな感じ) これらはすべて、長、短、完全などを抜きにすれば、 一度、二度、三度、四度、五度、六度、七度、一度という並びです。 そこで音階はギリシャ数字を用いて、 「I・II・III・IV・V・VI・VII・I」 とそれぞれの音程を表わします。 つまり、例えば旋律的短音階のIII度は短三度(M3)であり、 VI度は長六度(M6)である、ということになります。 このギリシャ数字の表記は後ほど重要になってきます。 三度の音は重要です。 三度がメジャー(長)なら長音階、 マイナー(短)なら短音階といっていいでしょう。 で、長音階を基本の音の組み合わせとしている曲の調性を「長調」と、 短音階が基本なら「短調」と呼んでいるのです。 さきほどのこの曲は長調です。 そしてこの曲を(和声的)短調にすると、こうなります。 なんとなくおわかりいただけるでしょう。 今の曲は主音が「C」でした。 「C」は日本語では「ハ」です。 よって、主音がCの長調は「ハ長調」、 主音がCの短調は「ハ短調」と呼ぶのです。 そして、主音が変わればその主音を頭に据えた名前になるのです。 例えば、主音がFの長調は「ヘ長調」です。 ちなみに、日本語で#は「嬰(えい)」、bは「変(へん)」と言うので、 主音がbDの短調は「変ニ短調」というようになります。 ここで、長音階のVI度から順に並べて音階を作ると、自然短音階になります。 当然逆には、自然短音階のIII度から音階を作れば、長音階になります。 こうした長音階と短音階の関係を、「平行調」といいます。 例えば、ハ長調の平行調はイ短調、といった具合です。 【 英語でいう調性 : キーというやつ 】 英語では、調のことを「キー(key)」といいます。 カラオケで、高すぎる曲のキーを下げたりしますが、まさにあれです。 カラオケのキーを下げるという操作は、 一度、二度……という音程の枠組みはそのままにして主音を下げることで、 全体の音の高さを一気に下げるという操作なのです。 それで、英語では、 長調は「Major(メジャー)」、短調は「Miner(マイナー)」 と言うので、たとえば「ハ長調」は「C Major」に、 「ヘ短調」は「F Miner」になります。 僕は、ロ短調とか言っても、 「えーとロは、イ、ロ、ハがA、B、Cだから……B Minerか」 といちいち考えてしまう(定着してない)ので、 ここでは英語のほうで書くことにします。 で、Majorは省略、Minerはmと書きます。 すなわち主音がCのメジャーのキーは「C」、 主音がbBのマイナーのキーは「Bbm」と記述します。 これでようやくコードの話をする準備ができたかな。 ていうかなんでこんな楽典の話をしてるんだ僕は。 こんなの他にいいサイトが星の数ほどあるじゃないか…… と言いつつ、けっこう楽しいので書いていきます。 あ、嘘を言ってるかもしれないので詳しい正しいことは他の良サイトで。 じゃあ、次ページからコードの話を。 |