【洞窟に魔物の影が〜死の塔〜暗黒の世界〜洞窟に魔物の影が】 ダンジョン曲メドレーである。 まず「洞窟に魔物の影が」は洞窟の曲。 弦が16分で細かく上下し、恐怖感を表現している。 その上で木管が、半音をふんだんに使ったメロディを奏でる。 恐怖を表現しながらも美しいメロディである。 2ループ目に入ると逆に弦がメロディを、木管が伴奏を担当する。 「死の塔」は塔の曲。 3拍子で、弦をバックにオーボエがメロディをうたう。 これも恐ろしくも綺麗な曲だ。 マイナーキーだが、メジャーへの転調が随所に盛り込まれており、 これが逆に恐怖感を助長している気がする。 SFCの音源では、イントロなどで ベンディング(で合ってるかな?)が使われていた。 なめらかに音程が変わるアレである。 それが非常に印象深かったものだ。 この曲を聴くとレヌール城を強烈に思い出す…… 「暗黒の世界」は魔界での曲だ。 これは奇妙な曲である。 ほとんど半音で進行するホルンをバックに、 木管がオクターブユニゾンで変わったメロディを奏でる。 最後、 |D7|G7|C7|F7| というセブンスのドミナントモーションの上で #ソラレ#ソラレレレという同じメロディが繰り返される部分も奇妙で良い。 どうしようもない悪のイメージというよりは、「狂った奴」みたいな印象か。 そしてまた「洞窟に魔物の影が」に戻り、メドレーが終わる。 何度も書くが、 ただ恐ろしいだけでなく、きれいな曲だ。 生で聴くと、それがさらに強烈に感じられた。 ここでまた「おはなし」。 ドラゴンズが調子いいという話からナベツネ批判に。 「選手の分際で」発言の「分際」に怒っていた。 【空飛ぶ絨毯〜大海原へ】 そして第一部最後の曲。 「空飛ぶ絨毯」は文字通り空飛ぶ絨毯の曲である。 バイオリンとハープが上昇して曲は始まる。 そのままバイオリンが高音を弾き続け、 それとピチカートをバックに木管が歯切れの良いメロディを歌う。 そうしたまさに空を飛んでいるような爽快な曲調から、 一転して不安げな三連のハープ上でバイオリンが伸びやかに奏でられる。 続いて三連のフルートの流れるようなメロディの後、 ピチカートをバックにしてクラリネットやフルートの跳ねるようなソロがある。 これがなんというか、寂しい感じなのだ。 すぎやま氏はなぜか、空の曲に寂しいものが多い。 3のラーミアの曲「おおぞらをとぶ」もそうだ。 単に爽快なだけの曲ではない。 (6の「空飛ぶベッド」、7の「魔法のじゅうたん」は寂しくないが。) 何かあるのだろうか。 まあ、それがとても良いんだが。 そんな「空飛ぶ絨毯」から、 テンポが落ち、弦主体の場面に。 ホルンやハープも加わり、F/Gのコードが鳴り響く。 そして「大海原へ」に。 このつながり方は本当に素晴らしい出来だ。 「街角のメロディ〜……」のメドレーもそうだったが、 この交響組曲DQ5においては、曲間のつなぎが 他のシリーズと比べても群を抜いていると個人的には思う。 さて、この「大海原へ」。 バスと木管の上でチェロ(ビオラも?)が雄大なメロディを奏でる。 そしてホルンが静かに吹かれると、 転調し、オーケストラ全体が盛り上がりを見せる。 ここは圧巻であり、この曲の見せ場(聴かせ場?)のひとつである。 そして生音はやはりすごかった。 この日のここまでで一番ビリビリ来た。 そして三連のフルートが静かにメロディを奏でる。 と思いきや、またオーケストラ全体が三連でF/Gを鳴らし、冒頭に戻る。 ここも見せ場である。 DQ5はオープニングが船の上なので、 この曲はほとんどオープニング曲でもあると言える。 だからかどうか知らないが、オープニング曲という印象がどうしてもある。 雄大な曲想が、これから始まる壮大な物語を予感させてくれるのだ。 泣けてきます。 この曲は全体的に、三連符が多い。 それも、一定の周期で音程が上下する三連符。 これがまさしく波のような感覚を与えているようだ。 思えば、DQの海の曲には三拍子が多く、 四拍子の曲でも三連がふんだんに使われている(例えば4の「海図を広げて」)。 海と言えば「3」なのだろうか。 ともかく、生オーケストラによるこの曲は圧巻だった。 この曲までで第一部は終わり休憩に入ったわけだが、 ずっと余韻に浸っていた。 休憩中もハープの人がすごく練習していた(?)のがすごく印象に残った。 |