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tomiyumi webあはれなる言 ― DQ呪文考(2)

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DQ呪文考(2) [比較級]


レベルが上がるにつれ、
だんだん効力の高い呪文を覚えることになる。
当然、呪文も「なんとなく高レベルっぽい」名前になっていく。

以下に、そんな呪文の名前を羅列してみた。
右に行くほど強力なものである。

火炎 メラ・メラミ・メラゾーマ
閃光 ギラ・ベギラマ・ベギラゴン
冷気 ヒャド・ヒャダルコ・ヒャダイン・マヒャド
真空 バギ・バギマ・バギクロス
爆発 イオ・イオラ・イオナズン
稲妻 ライデイン・ギガデイン・ミナデイン
即死 ザキ・ザラキ・ザラキーマ
HP回復(単体) ホイミ・ベホイミ・ベホマ
HP回復(全体) ベホマラー・ベホマズン
蘇生 ザオラル・ザオリク

他に、「効果の及ぶ範囲で名前が変わるもの」として、
守備力UP「スカラ・スクルト」
守備力DOWN「ルカニ・ルカナン」
睡眠「ラリホー・ラリホーマ」
がある。

こうしてまとめるとわかりやすい。
堀井氏が「強そうな、上級っぽい響き」と考えているのは、
」「」「ズン」などが主だ。
それらを接尾あるいは接頭語に用いているのである。


記念すべき一作目、DQ1では、勇者が覚える呪文は
「ホイミ・ベホイミ・ギラ・ベギラマ・ラリホー・
 マホトーン・ルーラ・リレミト・トヘロス・レミーラ」
の10種類であった。

1ではまず、「ホイミ」と「ギラ」の上級格として、
ベホイミ」と「ベギラマ」が用意されたのである。

おそらく、「ホイミ」の上級として「ベホイミ」を考えた後、
「ギラ」の上級について考えたのだろう。(妄想)
わかりやすく、ホイミと対にしたい。
だが、「ベギラ」では締まりが悪い。
じゃあ「」をつけて「ベギラマ」でどうだ、となったと想像する。


この「」は、2以降でも頻繁に使われるようになる。

まず、2で「ベホイミ」よりさらに上級の呪文が用意された。
「ベギラマ」のように、「」をつけて上級感を出そうとしたのだろう。

が、「ベホイミマ」は明らかにおかしい。

ミを削って「ベホイマ」も、なんとなくマヌケだ。
」が入っているのにマヌケだ。

じゃあ、イも削って「ベホマ」でどーだ!
おっ、いいんじゃない、これでいこうや。

という堀井氏の当時の思考の流れが読みとれるようだ。


他に、3では「バギマ」や「マヒャド」、
4では「ラリホーマ」、6では「ザラキーマ」が現れる。

しかし個人的には、「バギマ」「マヒャド」は良いが、
「ラリホーマ」「ザラキーマ」は無理矢理くっつけた感が否めないのだ。
今はもう慣れてしまったのだが、発売当時は、
」くっつけただけやん!と思ったもんである。

まあ、「バギマ」も「マヒャド」も「」くっつけただけなんだが、
こっちはしっかり溶け込んでいる感じがするんだよね。


ズン」についてはどうだろう。
イオナズン」「ベホマズン」しかないわけだが、
「イオナズン」の方が登場は早い。2のときである。

そもそも、2のときはイオ系はこれだけだったのである。
終盤に覚える最強の全体攻撃呪文だった。
だから、もともと「ズン」には強いというイメージがあった。
そして3のとき、全体回復呪文の最上級を考えるとき、
「ベホマ」に「ズン」をつける、というようにひらめいたのかもしれない。
「イオナズン」「ベホマズン」、語感似てるし。

ズン」が強いなら「ゴン」も強いだろう。
で、ギラ系最上級は「ベギラゴン」、と。
なんとなくわかっていただきたい。


バギ系最上級「バギクロス」も、
竜巻がクロスしてる様を彷彿させていかにも強そうではないか。


ライデイン」は「雷電」だろう。
その上級の「ギガデイン」、「ギガ」なんて弱いはずがない、
めちゃくちゃ強そうである。
ドラえもんでギガゾンビなんてのもあったが、ここでは関係ない。
ミナデイン」は全員で唱える呪文なので「ミナ」は「皆」である。
ギガ」とも韻を踏んでおり、語呂がよい。

メラゾーマ」も強そうなのだが、
3をやったことのある方なら100%、
ラスボスの「ゾーマ」を連想したはずだ。
当時、なんで呪文にラスボスの名前が入ってるんだろうと不思議だった。
今でも不思議だ。
でも、確実に強そうな名前だ。
で、ゾーマはメラゾーマを使わないのだ。
しかしザコは使ってくる。不思議だ。


2で初登場したものに、
「イオナズン」「ザラキ」「ザオリク」「スクルト」「ルカナン」がある。
どれも、語感がすべてという命名である。脱帽だ。

そして「イオ」「イオラ」や「ザキ」、「ザオラル」「スカラ」「ルカニ」は
3で初めて下位呪文として考案されたのだ。

モンスターズシリーズで、全体呪文である
すばやさUPの「ピオリム」とDOWNの「ボミオス」の
単体版として「ピオラ」「ボミエ」が登場したが、
それらしい語感として成り立っていてよかった。
堀井氏が考えたのかはわからないが。まあ監修はしてるだろうけど。


と、いろいろ妄想したわけですが、
僕が一番すばらしいと思うのは「ベホイミ」なのです。
まあ、もし「ベギラマ」よりも先に「ベホイミ」が生まれた、
というのが正しかった場合の話ですが。

まず、回復のイメージから「ホイミ」という語感を思いついたのがすごい。
なんとなく、回復しそうだしね。ってこればっかり言ってるな。

で、その強力版として、
何か接頭語なり接尾語なりをくっつけるってのは当然の流れだと思うが、
それが「」だというところに非凡さを感じますな。

たとえば、「ホイミガ」とかじゃないわけですよ。

」っていうのが盲点をつかれた感じがものすごくするのです。
ああ、それがあったか、って感じ。
……何言ってるかわからないと?


理屈じゃなくまったくの主観で話してますが。
ドラクエのいいとこって、
こういう独特のネーミングセンスがあるってのもあると思います。
ネーミングが独特というのが、
世界観を唯一無二のものにしている大きな要因である気がしますね。

まあ最近は「マジックバリア」とか「メイルストロム」とか、
非常にありきたりでドラクエっぽくない呪文や特技が増えて残念なのですが。
きっと同じ思いをしてる人も多いでしょう。
と、いつのまにかですます調になってしまった。
そしていつも通りまとまりのない文になった。
次回はラスボスの名前の考察だ!
まだやるのかよ……


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