国務司令室設置ニ関スル件
昭和20年6月29日 閣議決定
第一 方針
一、新ニ国務司令室(以下司令室ト称ス)ヲ設置シ中央官庁ノ最少限要員ヲ之ニ集結シテ、当時合同執務セシメ今後愈々激化スベキ敵空襲下ニ於テモ枢要国務ノ維持遂行ヲ期ス
二、前項ノ為本格的堅牢施設ヲ急速完成(八月末ヲ目途)スルコトトシ差当リ暫定措置トシテ現存施設ヲ利用シ七月十日ヨリ発足ス
第二 措置
三、司令室ニ執務スル人員ハ別紙第一ノ人数ヲ基準トシ各省トノ連絡不可能ナル場合ニ於テモ枢要ノ政務ヲ専決続行シ得ル如ク各庁ニ於テ之ヲ決定ス
四、司令室(設営主担任)差当リ別紙第二ノ如シ
五、司令室設営要領左ノ如シ
(一)執務者ガ空襲下ニ於テモ業務ヲ続行シ得ル如ク設営ス
(二)執務者ノ為其ノ施設内已ムヲ得ザレバ其ノ附近ニ宿営給養施設ヲ設ク
(三)自庁内ニ集合執務所ヲ設置セラルル官庁ハ特ニ防空上ニ於テ集合執務所設備ヲ優先セシム
六、通信ハ逓信院ノ担任ニ依リ左ノ如ク施設スルモノトシ非罹災各庁ハ所要ノ通信器材ヲ之ガ為ニ供出ス
(通信網構成要領図別紙第三ノ如シ)
(一)司令室相互間
(二)司令室ト本省間
(三)司令室ト国内主要地点間(無線ヲ含ム)
(四)司令室ト対外通信機関間
七、司令室設置業務予定表別紙第四ノ如シ
備考
一、此際特ニ地方ヲ強化シ各省ハ中央ノ執務態勢ヲ徹底的ニ簡素化スルト共ニ堅牢建築物ノ利用、地下施設ノ自力建設及分散等ニ依リ防空態勢ヲ強化ス
二、本格的堅牢施設ノ完成ニ就テハ別途速ニ其ノ方途ヲ決定シ陸海軍等ノ協力ニ依リ急速実現ヲ期ス
(編注)別紙省略。なお国務司令室は昭和二〇年八月十五日の閣議で廃止が決定された。