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国鉄があった時代
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国立国会図書館から引用

昭和15年度物資動員計画ニ関スル件

昭和15年6月29日 閣議決定

昭和十五年度物資動員計画綱領
  第一章 総則
第一 昭和十五年度物資動員ハ本綱領ニ準拠シ之ヲ実施スルモノトス
第二 本綱領ハ「昭和十五年度以降国家総動員計画設定ニ関スル件」(昭和十四年六月十六日閣議決定)ニ基キ昭和十五年度ニ於ケル重要物資ノ需要供給ノ関係ヲ別冊「昭和十五年度物資動員計画需給対照表及補填対策一覧表」ノ通定メ当該計画実施上必要ナル措置ノ大綱ヲ規定スルモノトス
第三 本綱領ハ左ノ各号ニ重点ヲ置き設定シタルヲ以テ実施ニ当リ特ニ考慮スベキモノトス
 (一) 軍需ノ充足ニ努ムルコト
 (二) 凡ユル施設ヲ講ジ輸入力ノ増加ニ努メ特ニ輸出貿易ノ振興ヲ図ルコト
 (三) 現下並将来ノ国際情勢ニ照応シ速カニ重要物資ノ自給率向上ヲ図ル為生産力拡充計画遂行上必要ナル物資ノ供給ニ努ムルコト
 (四) 大陸ヘノ物資供給ニ関シ対満物資供給ニ付テハ目下進行中ノ産業五年計画ノ遂行ニ資スルヲ主トシ対支物資供給ニ付テハ治安維持及円系通貨価値維持其ノ他事変処理上必要ナル物資並ニ資源開発又ハ物資取得上必要ナル物資ノ供給ヲ主トスルコト
 (五) 国民生活必需物資ノ最少限度ヲ定メ之ヲ確保スルコト
第四 物資ノ生産、配給、消費ニ付テハ内外地ヲ通ジ重点主義ニ依リ速カニ之ガ統制ヲ強化シ、実施ノ完璧ヲ期スルモノトス前項ニ関連シ更にニ財政経済、其ノ他ノ諸般ノ行政機構ノ刷新ヲ断行スルモノトス
第五 本綱領ノ実施ニ当リテハ物資需給関係ノ時期的変遷特ニ海外事情ノ変化等ヲ顧慮シ関係庁ノ協議ニ依リ四半期毎ニ実行計画ヲ設定スルモノトス
第六 前項ニ関連シ輸入及為替許可ニ付キ次ノ如ク実施スルモノトス
 (一) 本計画実行上輸入ノ重要性ニ鑑ミ毎四半期ノ確実ナル要輸入額ヲ決定スルモノトス
  右ノ為企画院ニ関係庁ノ協議会ヲ設ク
  協議会ニ於テハ次ノ事項ヲ協議決定ス
  イ 要輸入額ノ軍需、民需及内外地区分
  ロ 民需要輸入額ノ物資別数量、金額ノ区分ノ概要
 (二) 為替許可ノ運用ニ当リテハ物資担当官庁ト緊密ナル連絡ヲ執リ当該官庁ノ物資配給計画ノ適実ナル実行ヲ期スルモノトス
第七 海外情勢ノ変化ニ依リ海外依存物資ノ取得困難ヲ予想セラルル場合ニ於テハ適時繰上輸入等ノ措置ヲ講ズルト共ニ国際情勢ノ変化ニ対応シ、重要物資ノ海外特ニ英米依存ヨリ脱却シ以テ我ガ国防ノ安固ヲ期スル為、東亜及南洋ノ範囲ニ於ケル自給態勢ノ確立ニ関シ積極的努力ヲ払フモノトス
第八 生産力拡充計画実行上ノ監督ハ当該計画ノ重要性ニ鑑ミ特ニ緊要トスル処ニシテ之ガ為企画院及主務官庁ニ特別ノ常時指導監督ノ機構ヲ整備スルト共ニ民間統制機関ニ対スル指導監督ヲ厳ニスルモノトス
 生産力拡充計画ノ核心ハ之ヲ重工業基礎物資ニ置キ特ニ鉄鋼五百万瓲以上ノ生産確保ニ努ムルモノトス
第九 国民生活必需物資ノ生産ニ付主務官庁ハ確実ナル計画ヲ樹立スルト共ニ之ガ実行ニ付キ必要ニ応ジ機ヲ失セズ強制的手段ヲ断行シ且之ガ配給ニ付切符制度ヲ徹底スルモノトス
第十 現在並ニ予想セラルル将来ノ米穀事情等ニ鑑ミ米穀及其ノ他ノ食糧ノ生産、配給、消費ニ付、内外地ヲ通ジ総合的食糧政策ヲ確立シ之ニ準拠シ必要ナル措置ヲ急速ニ断行スルモノトス
第十一 運輸特ニ海上輸送能力ノ逼迫セル現状ニ鑑ミ船舶統制ニ徹底セル措置ヲ講ジ且荷役力其ノ他輸送能率ノ向上ニ努力スルト共ニ本計画ニ計上セル船舶船舶購入資金ノ運用ニ当リテハ毎四半期初頭ニ於テ概ネ購入資金ノ四分ノ一ヲ標準トシテ先ヅ外国船購入見込額ヲ計上シ其ノ残額ヲ以テ国内船舶建造用資材購入費ニ充当シ且其ノ輸入手続ヲ早期ニ行フ等ノ措置ヲ講ジ以テ迅速ニ船腹ノ増加ヲ図ルモノトス
第十二 物資ノ取引ニ関スル脱法行為乃至背徳行為ノ横行ハ単ニ物資動員計画ノ破壊ノミニ止マラズ世道人心ニ及ボス影響深刻ナルモノアルニ鑑ミ之ガ矯正防止ニ付テハ徹底的措置ヲ講ズルノ要アリ之ガ為速カニ措置スベキ事項次ノ如シ
 (一) 統制違反ノ制裁強化ニ関スル具体的方策ヲ速カニ樹立実施スルモノトシ之ニ関連シテ裁判、検察並経済警察ノ整備拡充ヲ図ルコト
 (二) 警察官吏ニ対スル指導訓練ニ付テハ従来ノ機構ヲ強化シ其ノ徹底ニ努ムルコト
 (三) 低物価政策実施ノ反作用トシテ生産ノ減退ヲ来サザルコトニ努力シ必要ニ応ジ機ヲ失セズ生産確保ノ為特別ノ手段ヲ講ズルコト
 (四) 販売業者ノ非行防止ノ為登録制度ヲ実施スルト共ニ配給機構ノ整備ニ当リテハ特ニ卸売部門ニ付キ可及的個人取引ヲ排シテ団体取引ニ依ラシムル様措置スルコト
 (五) 精神総動員運動ニ於テハ脱法及背徳行為ノ是正ニ付一層之ヲ強調シ其ノ徹底ニ努ムルコト
第十三 物資需給調整及物価統制ノ強化並ニ生産力拡充産業其ノ他諸産業ノ重点主義徹底等ノ犠牲トシテ生ズベキ、中小企業ノ転失業者対策ニ付テハ主務官庁ニ於テ従来ノ施設ヲ一層拡充強化スルト共ニ、中小企業ノ整理統合ヲ行フ等根本的且徹底的措置ヲ講ズルモノトス
第十四 本綱領ノ実施ニ伴ヒ要スル経費ニ付テハ極力既成立予算ヲ以テ支弁スルコトトスルモ万止ムヲ得ザル場合ニハ必要ナル予算的措置ヲ講ズルモノトス
  第二章 物資供給力ノ確保及増進ニ関スル事項
第十五 本綱領ニ計画セル物資供給力ノ確保ハ計画遂行上必須ノ要件ナルニ鑑ミ其ノ実現ニ付テハ所要物資ノ優先配給ヲ行フ等万全ノ措置ヲ講ズルモノトス
第十六 物資ノ供給ニ付テハ本綱領計画数額ニ止メズ更ニ其ノ増額ニ付キ十分ナル努力ヲ払フモノトシ之ガ実現ニ当リテハ成ルベク重要物資ヲ要セザル様諸般ノ方策ヲ講ズルモノトス
第十七 支那ヨリノ物資取得ニ付テハ現状ニ鑑ミ計画数額ノ確保及増額ニ関シ興亜院ニ於テ現地機関ト連絡ノ上万全ノ措置ヲ執ルベキモ現地ノ実情ニ応ジテハ陸軍省又ハ海軍省ニ於テ必要ノ措置ヲ執ルモノトス
 本綱領ニ計画セザル重要物資ノ取得ニ付テモ又前項ニ準ジ積極的方策ヲ講ズルモノトス
第十八 在庫物資ノ利用ニ付テハ本綱領ニ定ムルモノノ外十分努力ノ要アルト共ニ将来ニ備フル為成ルベク長期間ニ亘リ最モ有効ニ利用シ得ル如ク万般ノ努力ヲ払フモノトス
第十九 物資現存額ノ調査ハ逐次品種、及場所ノ範囲ヲ拡大シ定期的ニ又ハ随時之ヲ行ヒ以テ正確ナル数額ノ捕捉ニ努ムルモノトス
第二十 代用品ニ付テハ代用品工業ノ指導奨励ニ依ル品質優良ニシテ適正ナルモノノ生産ヲ増進シ且其ノ普及徹底ヲ図ル様諸般ノ措置ヲ講ズルモノトス
第二十一 物資ノ回収ハ第三国ヨリノ輸入ヲ減少シ又ハ輸入力ヲ増進シ得ルコトヲ主ナル目途トシ内外地官民各方面ニ亘リ徹底的手段方法ヲ採沢スルモノトス満洲支那ニ於ケル物資ノ回収ニ付テモ右ニ準ジ積極的措置ヲ要望スルモノトシ特ニ支那ニ於ケル回収ニ付テハ興亜院ニ於テ現地機関ト連絡ノ上万全ノ措置ヲ執ルモ現地ノ実情ニ応ジテハ陸軍省又ハ海軍省ニ於テ必要ノ措置ヲ執ルモノトス
  第三章 物資ノ配給ニ関スル事項
第二十二 物資ノ供給力(輸入ヲ含ム)ニ増減アリタル場合ハ特別ノ事情無キ限リ其ノ増減額ヲ本綱領ニ定メタル配当額ニ比例シテ割当ルモノトス之ガ為需要区分毎ニ厳重ナル割当制度ヲ設定シ配給上ニ於ケル区分ヲ明瞭ナラシムルモノトス
 輸入計画数額ノ達成ヲ図ル為輸出品用原材料及産金用資材ニ付テハ所要数額ノ優先的配給ヲ行フモノトス
第二十三 同一用途ノ為二以上ノ物資ヲ要スルモノニ付テハ物資間ニ於ケル相互ノ調和ヲ保持セシムルコト必要ニシテ之ガ為計画ノ実施ニ当リ用途別又ハ事業別ニ各種物資ノ配当数額ヲ明瞭ナラシメ要スレバ適宜調整ヲ加フルモノトス
第二十四 本年度特ニ配給額ヲ増加シタル特免綿製品其ノ他ノ特定物資及供給ノ激減シタル物資例ヘバ酒類ノ如キモノニ付テハ供給先ヲ指定シテ配給スル如ク特別ノ措置ヲ講ズルモノトス
第二十五 外地及満、支ニ対スル供給物資中内地ニ於テ加工ノ上成品トシテ供給スルモノニ付テハ計画上其ノ素材ヲ配当シアルヲ以テ実施ニ当リテハ内地製造能力ト関連シテ毎配当時期ノ素材配当額ヲ決定シ実施ノ円滑ヲ期スルモノトス
第二十六 関係各庁ハ各種消費部門ニ対スル物資ノ配給状況、之ガ影響対策等ニ関スル調査ヲ行ヒ概ネ四半期毎ニ左ノ区分ニ依リ取纏メ毎四半期経過後一月以内ニ企画院ニ提出スルモノトス
 内地 公共団体ニ関スル事項           内務省
    農林水産ニ関スル事項           農林省
    船舶、電力、航空及電気通信ニ関スル事項  逓信省
    鉄道、軌道、車輌及自動車運輸ニ関スル事項 鉄道省
    医療ニ関スル事項             厚生省
 朝鮮、台湾、樺太、南洋             拓務省
 満洲(関東州ヲ含ム)              陸軍省対満事務局
 支那                      興亜院
 全般                      商工省
第二十七 官庁需要(陸海軍々需ヲ含ム)トシテ各庁ニ於テ物資ヲ入手シ又ハ物資割当証明書ヲ発行シタルトキハ四半期毎ニ其ノ品種数額ヲ取纏メ毎四半期経過後一月以内ニ内地ニ在リテハ商工省、外地ニ在リテハ当該統轄官庁ニ通知スルモノトシ商工省及当該統括官庁ハ其ノ写ヲ企画院ニ送付スルモノトス
第二十八 公共団体ニ於テ物資ヲ入手シ又ハ物資割当証明書ヲ発行シタルトキハ第二十七条ニ準ジ内務省ニ於テ之ヲ取纏メ企画院ニ送付スルモノトス
第二十九 陸海軍省ニ於テ充足軍需ノ為物資ヲ取得□□場合ニ於テハ其ノ数額ハ概ネ本綱領附属文書起債ノ範囲内トシ此ノ場合ニ於テ第二十七条ニ準ジ取得ノ実情ヲ通知又ハ送付スルモノトス但シ物資ノ種類ニ依リテハ充足軍需トシテ計上シ難キモノアルヲ以テ之ガ取扱ニ付テハ別途ノ協議ニ依ルモノトス
  第四章 物資ノ使用消費ニ関スル事項
第三十 物資ノ使用消費ニ関シテハ単ニ計画物資ノミナラズ汎ク一般ノ物資ニ付各庁ニ於テ率先シテ節約ヲ励行スルハ固ヨリ国民精神総動員運動ノ強化徹底ニ依リ国民ノ自覚ヲ促シ以テ趣旨ノ貫徹ヲ期スルヲ要ス尚必要ニ応ジテハ法令ノ発動ニ依リ統制ヲ強化スルモノトス
第三十一 物資ノ使用消費ニ関シ供給力ガ著シク需要ト均衡ヲ失スル虞アル場合ニ於テハ機ヲ失セズ切符割当制等ノ適用ニ依リ消費統制ヲ断行スルモノトス
第三十二 物資ノ使用消費ヲ経済的ナラシメ併セテ製造能率ヲ向上セシメル為ニハ原材料及成品ニ付其ノ標準化並ニ単純化ヲ図ルコト極メテ緊要ナルニ鑑ミ之ガ具体化ニ付速カニ適切ナル方策ヲ講ズル ノトス
  第五章 統制機構其ノ他統制一般ニ関スル事項
第三十三 物資ノ供給及配給ハ現行ノ民間自治的統制機関ヲ整備拡充シテ政府ノ指導ニ依リ之ヲ活用シ以テ所期ノ目的ヲ達成スルヲ主トスルモ必要ニ応ジテハ国家総動員法其ノ他関係法令ノ発動ニ依リ一層国家的統制ヲ強化シ其ノ徹底ヲ期スルモノトス
第三十四 物資ノ最モ有効適正ナル使用ヲ図リ且我国重要産業ノ健全ナル発達ヲ期スル為既設工場ニシテ業績不良ナルモノノ整理及重要物資ヲ使用スベキ工場ノ新増設ノ規制等ニ関シ必要ナル措置ヲ講ズ
第三十五 民間統制団体及一般国民ニ対スル指導監督ノ強化ハ現下ノ実情ニ鑑ミ必須ノ要件ニシテ特ニ配給物資ガ所定ノ目的ニ使用セラレアリヤ又其ノ使用方法ガ物資不足ノ現状ニ鑑ミ適切ナリヤ等ニ関シ十分ナル監督ヲ為スヲ要ス而シテ之ガ為ニハ第一線ノ統制経済指導監察機構ヲ整備拡充スルモノトス
第三十六 輸出用物資ノ内需転用及品質ノ悪化ヲ防止スル為現行制度ノ整備拡充ト相俟ツテ輸出用物資ノ製造加工過程中ニ於ケル監督検査ヲ徹底的ニ強化スルモノトス
第三十七 本綱領実施ト併行シテ特ニ左記諸政策ノ徹底ヲ期スルモノトス
 (一) 労務需給ノ不均衡ヲ是正スル為労務調整ノ徹底ヲ期スルコト
 (二) 輸送力不足ノ現状ニ鑑ミ各種輸送機関ノ全能力発揮ヲ目途トスル交通動員ノ徹底ヲ期スルコト
 (三) 資金調整ノ運用ニ当リテハ特ニ本計画ト緊密ナル連繋ヲ保ツコト
 (四) 不足資源ノ補填、重要資源ノ急速開発ヲ目標トスル科学研究ノ促進ヲ期スルコト
 (五) 諸政策ノ強行ニ付、国民ノ自発的協力ヲ求ムル為国民精神総動員運動ノ強化ヲ図ルコト

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