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筆者リハビリ企画
「3」はドコまで円周率か?(前編)
小学生以下の大人のための円周率

 

 今でこそ、理数系の人間みたいな顔をしてホームページなんぞを作っている筆者ですが、高校時代は化学が大の苦手でした。
 物理・生物・地学は どちらかというと得意な方だったんですけど、どうしても「バケガク」だけは鳥肌が立ってしまうのです。

 化学の何が嫌いって、細かい計算の多いこと。
 「アボガドロ数」とか 「ボルツマン定数」とか、高校時代は 小数点以下の数字をひたすら計算していた記憶しかありません。
 もちろん、高校物理にも「重力加速度」なんかは存在しますけど、文字式だけで 回答すればいい場合も多いんですよね。

 計算嫌いの人生をたどっていくと、根っこは小学校時代までさかのぼります。
 3桁の掛け算・割り算は憂鬱でしたし、分数も 計算の煩雑さが嫌いでした。(好きな人はいないでしょうが)

 そして、計算嫌いを決定付けるのが「円周率=3.14」って奴です。
 丸い形が黒板に描かれるたびに、いつも 小数点つきの計算が待ってるんですよ。

 今、思えばよく登校拒否にならなかったものです。

 ところが、新聞を見ると 来年からは「円周率=3」で計算してもよくなると言うではありませんか。
 何で筆者の時代に こんな改革をしてくれなかったのでしょう。
 悔しくてたまらないのですが、世間の反応は芳しくないようです。

 筆者の周囲でも、生粋の理系人間どもが「数学的な理解が深まらない」とか 「計算力が落ちる」とか、もう言いたい放題。
 「3.14」世代の教育を受けたからといって、「数学への理解」が深まるわけではないことは私自身が身を持って証明しているんですけど。

 そこで、今回はいつものように デタラメな理論で 円周率について考えてみましょう。

 

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    3.14は ドコまで円周率なのか?

 街頭で「円周率って知っていますか?」と 手当たり次第に聞いて回ると、いくら学力低下が心配される日本といえども 8割程度の人間は「知っている」と答えるでしょう。(我が家の妻だって知っているんだから・・・)

 ところが「円周率を知っている」はずの人に、「円周率は幾つですか?」と聞くと 自信を持って「3.14」と答えるはずです。
 「3.1415」なんて答える人は かなりの変人でしょう。

 が、本当の円周率って、もちろん「3.14」じゃないですよね。

 3.141592654・・・・・・・

 世間に広まっている「3.14」だって 小学生に理解できるように「大体 このくらい」と決められた数字のはずです。
 小学生に「Π(パイ)」記号を使わせるわけにいかないんですから、どこかの桁で 妥協するしかありません。

 そもそも、妥協の産物なら 「3.14」で計算していたものを「3」にしたって大差じゃないんだ!!

 ・・・・

 でも、ちょっと不安になってきましたね。

 そう、円周率を「3」で計算するのと、「3.14」で計算するのではどれだけの差があるのでしょう。

 

 ここでは アルキメデスに習って 円に内接する正多角形の周囲長から円周率を求めてみましょう。

  

 と、角数を多くしていくにしたがって 徐々に円に近づいていきます。

 正多角形の角をnとすると、周囲長は「nCOS(90°-180°/n)」で求められます。(nは3以上の整数)

   周囲の長さ 
 正三角形  2.598
 正方形  2.828
 正五角形  2.939

 ううん、こうやって段々と3.14に近づいていくんですねえ。

 ところで、正六角形になると、「COS60°=0.5」ですから・・・

 ええええええ、「円周率=3」って六角形と同じなんじゃないかああああああ。


 ま、三角関数で計算するまでもなく、辺の長さ1の正三角形を6個 並べて考えればわかることなんですけど。


1辺の長さが1の正三角形を並べたと思ってください。
正六角形の周囲の長さは6になりますね。
円周は(2X半径X円周率)ですから・・・

 

 ううん、六角形を円に近似するのはちょっと無理が・・・

 緑色の部分の面積だって、ずいぶん大きいでしょ。

 

こんなものが円の仲間のはずがありませんよね

こんなのとか、

こんなのとか、

こんなのとか、

こんなものまで。

 六角形で円周率を決めてしまうのは、ちょいと行き過ぎではありませんか。文部省のお役人さま。
 アルキメデスだって、正96角形まで 計算してるんですから。


 「円周率=3」を批判するだけでは ちょっと不公平なので「円周率=3.14」の方を計算してみましょう。

   周囲の長さ 
 正三角形  2.598
 正方形  2.828
 正五角形  2.939
正六角形 3.000
正10角形 3.090
正20角形 3.129
正30角形 3.136
・・・・・ ・・・・
正57角形  3.140002 

 正56角形で「3.139945」、正57角形で「3.140002」となります。

 このくらいの数字になると もう頭の中では実感が湧きません。
 賢いコンピューターに 作図をお願いしてみましょう。

「円周率=3.14」の世界 「円周率=3」の世界

 

 このサイズでは もう完全に円に見えてしまいます。
 圧縮後では 緑の部分は確認できません。


 ううん、やっぱり昔のように「円周率=3.14」が良いのでしょうか?

 いいえ、答えは断じて 「NO」です。
 後ろ向きの考え方では、計算に悩む小学生を救うことはできません。

 次回は、当愛好会が 融通の利かない文部官僚に成り代わって 非常に斬新な円周率像を考えて見ましょう。

請う ご期待!


「3」はドコまで円周率か?(後編)
 
 計算しやすい円周率を考える

 

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