商品表示の偽装学・その1
日本の闇鍋商品考
このところ、牛肉だの豚肉だのは勿論
香料や保存料まで、食品品質の話題が新聞に載らない日はないようです。
意図的な偽装表示は 立派な犯罪。
組織ぐるみで荷担していた企業には
怒りを禁じ得ません。
ま、粗食に耐える我が家には縁遠い話かと思っていたのですが、かなり早い時期に直撃弾を喰らっていたのでございます。
その記事がこれ。→http://www.kyodo.co.jp/kyodonews/2002/label/news/20020305-22.html
ちょいと昔、ハンバーグになった挽肉に偽装商品が混じっていたというのです。
勿論、現物は水洗トイレの彼方に消えてしまっておりますが、後日しっかり返金されておりました。
ところが、当家の財務省は 安さを追求する調達方針を堅持しておりますので、お金が返ってくるなら 目一杯 買っておけば良かったと後悔していたようであります。
コレだけの事件が芋蔓式に事件が発覚しましたから 関心が食品問題に集中しておりますが、世間には まだまだ「闇鍋」同然の売り物が存在しております。
それはペイオフ絡みで注目を集めた 今流行りの金融商品
その名も「投資信託」
こちらも取り扱いを間違えると命に関わる危険物件なのですが、そのアブナイ中身を見てみましょう。
この文章は娯楽を目的に書かれております。
細かい点は無視して、雰囲気をお楽しみください。
投資・投機・賭博は ご自身の責任で行ってください。
MMF編
「投資信託」なんて小市民には縁遠いものでしたが、今では生命保険会社や銀行でも売り出されています。
銀行で定期口座を作ろうとしたら、「外貨預金」や「投資信託」を薦められるという
ギャグのような事態も起こっております。
中でも、最も身近なものが「MMF」や「中期国債ファンド」といったものでしょうか。
この手の商品は、国債はもちろん
様々な会社の債券に投資されています。
最大の特徴は 元本の安全性が高く、一定期間が過ぎると
引出しが自由に出来る点でしょう。
証券会社にとって、
銀行の定期預金を取り込むための投資入門商品として売り出されたわけです。
一度、証券会社に口座を作らせ
投資信託に馴らしておけば、後は
ハイリスクの商品へのハードルが低くなりますからねえ。
利用者にとっても、多少なりとも利率が有利で
毎月ごとで目に見える分配が受けられますから
使い勝手の良い商品だったのは確かです。
ところが、この「安全」なはずの投資信託にも 突然の危機が訪れます。
それが、大成火災と米国エンロン社の相次ぐ倒産です。
これらの会社の社債やCPを組み込んでいたファンドは
大きく元本を割り込む羽目になりました。
某生保系の運用会社では
10%近い欠損を生じたほどです。
もちろん、「MMF」や「中期国債ファンド」は投資商品。
預金と違って元本割れもありうるのですが、そこまで詳しい説明を
窓口で受けた人はどれだけいたのでしょう?
こんなことが起こると、どっかの評論家やファイナンシャルプランナーが とんでもないことを言い出します。
「MMFに組み込まれた証券を確認しましょう」とか・・・
「目論見書をよく読んで
運用会社を選びましょう」とか・・・
こんな連中が 他人様の資産運用に助言をしているのですから、笑いが止まりません。
こんなことを言う人達って
本当に自分の財産をどう運用しているのでしょうか?
自分達はMMFの組み入れ債券を
本当に全部チェックしているのでしょうか?
この人たちが 言っていることが正しいのか、実情を見てみましょう。
これはエンロン倒産の余波で元本割れしたUFJパートナーズ投信のMMF、元本割れ直前の目論見書です。
組み入れ証券の目録を見てみると・・・
H13年5月31日の組み入れ有価証券
これだけある!
しかも、エンロンの「エ」の字もない!!
コレだけの債券の格付けを調べ 安全性を調べるなんて、個人の力では絶対に不可能でしょう。
おまけに、CPなんて満期まで せいぜい数ヶ月。
年次報告書が送られて来る頃には
証券の大部分が入れ替わっている寸法です。
また、更に悪いことに 倒産するのが危ない会社だけとは限りません。
去年の大成火災の倒産は ほぼ完全に突然死。
倒産時の株価が200円を超えていたことからも驚き具合が分かるでしょう。
しかも、大成火災の格付けが引き下げられたのは倒産の後。
注意深い投資家が目論見書を入念にチェックして、「大成火災」の名前を見つけても
危険性は予知できなかったはずです。
一部では
以前から経営危機の噂は流れていたようですが、この手の「ネタ」は真偽も不確か。
今日も 多くの会社の風説が一人歩きしています。
少しでも悪い噂がある会社を避ける方針では、大部分の会社が投資不適格になりそうです。
チョット、別の例を見てみましょう。
下の証券目録は 堅実な運用で名高いMMFの物です。
トヨタ・日立・三井住友・第一勧銀と 錚々たる面子が並んでいますが・・・
実は 黒塗りの下に 一時期
株価80円以下まで売り崩された某銀行の名前が入っています。
当時は
激しい噂に晒され、株価からも赤信号のように見えたものです。
これを見た貴方は、投信を解約しますか?
世間が「アブない」と思っている会社が組み込まれている例は、コレだけではありません。
同時期の大手証券会社系MMFには
大成火災と並び称されていた某損保が組み込まれていたのです。
どちらも 目論見書にも はっきり記載されていたのに、総資産額が減ったという話は聞きませんでした。
結局、この手の投資信託は 目論見書をどんなに詳しく読んでも完全にリスクを回避することは出来ません。
これを「闇鍋」と言わずに 何と言うのでしょう。
次回は 更に魑魅魍魎が棲まう株式型投資信託を取り上げます。
最近は、「武蔵」だの 「デジタル革命」だの
「夢楽章」だの。
鉄火場の本性を覆い隠す
耳障りの良い名前ばかりが目立っています。
が、名前から受ける印象は
何処まで正しいのでしょうか?
そして、その中身は
投資家を裏切らない内容なのでしょうか?