大手のブランドでは50を超える双眼鏡がカタログにのせられております。
また、海外の有名ブランドでは20万を越える商品がある一方、100円ショップでも双眼鏡らしきものが売られています。
これだけの双眼鏡があればそれぞれに特色があり、良い品とそうではない品、使いやすい物とそうでない物が存在します。
どんな双眼鏡が高性能で、どんな双眼鏡がそうではないのでしょう。
双眼鏡のカタログには多くのデータが記載さえています。
倍率などは理解しやすいでしょうが、知識がないと分からない用語も多いでしょう。
双眼鏡の性能はどのように表現されるのか、順に見ていきましょう。
高倍率はダメ双眼鏡の証 −倍率について−
高倍率はダメ双眼鏡の証 −倍率について−
双眼鏡の諸元の中で最も分かりやすい数字でしょう。
それだけに、最も誤解されている数字でもあります。双眼鏡は「倍率が高いほど高性能」ではないのです。
双眼鏡を見ると 必ず「7X50」などと 掛け算のような数字が書かれています。
[X]の前の数字が双眼鏡の倍率を表し、この場合は7倍の双眼鏡で50mmの対物レンズを持っていることを示します。
7倍の双眼鏡であれば、対象を7分の1の距離で見たのと同じ大きさで見えることになります。
理論的には倍率が高くなれば高くなるほど大きく見えるわけですが、双眼鏡の多くは6倍から10倍くらいの倍率になっています。 これは倍率が高くなると
手ブレがひどくなる
視界が狭くなる
視界が暗くなる
などのデメリットが生じるためです。
そのため、手持ちでは10倍以上になると、細部は逆に見えづらくなっていきます。
ディスカウントストアで20倍から100倍などという小型ズーム双眼鏡を見かけますが
全く馬鹿げています。
××× 100 ZOOM |
希望小売価格(税別)¥60,000 |
||
■倍率 |
18〜100倍 |
■長さ |
120mm |
■対物レンズ径 |
28mm |
■幅 |
110mm |
■実視界 |
1.5〜0.5° |
■厚さ |
55mm |
■1000m先の視野 |
26.2〜8.73m |
■重量 |
305g |
■明るさ |
2.4〜0.078 |
■付属品 |
ケース・ストラップ・ |
某社の双眼鏡の一例
三脚ホルダーが付くのは最後の良心か。
一流メーカーのカタログには間違ってもそのような商品は載っていません(手ブレ補正機能内蔵型や固定使用を前提とした大型双眼鏡は除く)。
私はカタログの中で超高倍率の双眼鏡の割合が高くなればなるほど、そのメーカーの信頼性は低くなると考えています。
カメラのレンズではズームレンズが常識になっていますが、双眼鏡でズームは少数派です。
双眼鏡で6倍というと控えめな数字ですが、手持ちで快適に使える上限は10倍程度です。
この狭い範囲でズーム化してもメリットはほとんどありません。
手持ちでは、10倍の双眼鏡と比べ20倍の双眼鏡が良く見えるわけではないのです。
逆にズーム化のデメリットは見逃せません。
低倍率側でも視野が狭くなり、解像度が悪化するなどの弊害が生じます。
本体が重くなり高価格になるという点も無視できません。
このあたりは別な項で実験していますので参考にしてみてください。
このようにズーム双眼鏡は積極的にお勧めできる品ではないのですが、高倍率とともに分かりやすい訴求力があるため一般向けに広く売られています。
一部のメーカーではズーム双眼鏡(それも超高倍率の)がカタログの半数を占めています。
しかし、一流のブランドではズームの双眼鏡はごく少数で、ライカ・ツァイスはズーム双眼鏡はひとつもありませんし、47種の双眼鏡をラインナップするニコンでもズーム機種は4機に過ぎません。
ズーム機/ 掲載機 |
ズーム比 | 極悪機種数 |
代表機 |
|
ケンコー | 22/57 | 38.5% | 22 | 20〜100X28 |
オリンパス | 2/15 | 13.3% | 0 | 8〜16X25 |
ビクセン | 7/59 | 11.8% | 1 | 10〜30X21 |
ミノルタ | 2/17 | 11.8% | 1 | 10〜30X27 |
ニコン | 5/47 | 10.6% | 0 | 10〜24X25 |
ペンタックス | 3/30 | 10.0% | 0 | 8〜20X24 |
フジノン | 0/21 | |||
キャノン | 0/10 | |||
ライカ | 0/10 | |||
ツァイス | 0/16 | |||
スワロフスキー | 0/8 |
ケンコーはズーム比率が多いだけでなく、ズーム機は全て有効倍率をはるかに超えるという高血糖な双眼鏡(C)ばかり。
ここの問題はそればかりではありませんが・・・、ここまで凄いとは。