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大事なサインが出る前に
2002年10月27日

 車を趣味で乗り回していた若かりし頃 タイヤって 本当に寿命の短い消耗品でした。
 以前 書きましたが、走行中にヘマを仕出かせば 一瞬でワンセットお釈迦になってしまいます。


フラットスポットが出たタイヤ
もちろん補修不可能

 逆に、普通に乗っていても(?) 何年も持つということもありません。

 タイヤの寿命って「スリップサインが出るまで」なんて言われていますが、そんなの 大嘘

 種類にもよるんですが、普通の乗用車用で30000キロスポーツ系だと20000キロあたりから 性能の低下が目立ってきます。

 この時 まだ溝の半分くらいは残っているはずです。
 それでも 雨の日は工事の板やペイントで滑り始めることでしょう。
 薄く水が溜まる高速なんて 限界速度が大きく落ちます。
 乾いた路面でも 変なところで舵が粘ったり、轍に弱くなったり、段差で跳ねたり。
 よーく見てると 変なことが起き始めるのが この頃です。

 筆者のような運転をする人間は タイヤだけが命綱。
 実用上はともかく 思い通りに動かないのは最悪です。

 マメにタイヤを替えるのは環境負荷が高いんですが、自動車壊しちゃ話になりません。
 嫌なタイヤを長く使っていると 車自体を取り替えたくなってしまいますしね。

 というわけで、タイヤをとっかえひっかえしていたんですが・・・

ビート 純正石橋
ランサー 純正石橋オー賭博ッスPB火石
ユーノスロードスター 純正ビバンダム良い年ビバンダム横濱横濱

 振り返ってみると、10年で補修用タイヤ9セット(!!)
 家族の車も含めると、10年で15セットもリプレイスタイヤを消費していました。

 これだけタイヤを潰していると 本当に色々な製品に出会います。
 出来が良いのもあれば、すぐに捨てたくなる最低タイヤも数多く。

 タイヤって車の部品の中でも重要で高価なものなのに、情報って本当に少なく しかも偏っているでしょう。
 確かに 「良いタイヤ」の基準は人それぞれでしょうし、「良い・悪い」の感じ方も分かれることでしょう。

 が、「最低のタイヤ」は 好みで分かれるものではありません。
 普通の使用で安全性能を満たさない製品は、どんなブランドでも どんなに安くても「最低タイヤ」の範疇です。

 私が当たった中にも 思い出しただけで怒りが込み上げてくるタイヤが随分あるんですよ。


 オー賭博ス プライベートブランド

 6年前に あまりの安さに惹かれて買った史上最低の糞タイヤ。
 4本(165/70-13)で1万円ちょっと。
 後から知ったがOEM元は米国のC社。
 とにかく、最悪。
 寒い日に濡れた路面を走ると 新品でも とにかく滑る。
 少し古くなると 性能悪化は著名。高速道路で怖いことこの上なし。
 実は、同時期に同じ供給元から卸されたスタッドレスは殺人級の恐ろしさ。
 現在、オー賭博スPBタイヤは 違うメーカーが製造を担当している。


 火石  名前も思い出せない安物タイヤ

 これも記憶に残るサイテータイヤ。
 購入価格は4本(165/70-13)で2万円しなかった。
 オー賭博スの糞タイヤに嫌気がさして、「鯛ヤ館」で薦められるままに交換。
 が、こっちも目糞鼻糞の出来の悪さ。
 ホイールに 目一杯 バランスウェイトが付けられていたのが印象的。
 それでも まっすぐ走らない。経時劣化も早かった。
 火石社の特徴的な品質は その後の転倒騒動で世に知れ渡ることになった。
 品質基準が石橋ブランドと全く違うの?


 良い年  デユカロF1

 ロードスターに乗り換えて2本目の交換タイヤ。
 購入価格は1本7000円くらい。(185/60-14)
 何の予告も無く タテヨコに滑る。
 雨にも弱く 熱にも弱く 寒さにも弱い。
 スポーツタイヤを思わせる名前が 誤解を招く糞タイヤ。
 国内の製造元は住友ゴムだが、本家の安タイヤの方が数倍マシ。


 ビバンダム  ビラージュ

 ロードスターの4セット目。
 購入価格は一本15000円くらい。
 この社のタイヤでも 出来の悪い製品があることを初めて知った。
 乾いた路面では国産安スポーツタイヤと同程度だが、濡れた路面には からっきし弱い。
 水溜りの上では 公道でスキッドトレーニングが出来る。
 発売直後は車雑誌が絶賛していたのに なぜか あっという間に絶版になった。
 本当の意味での「サイテータイヤ」ではないが、ブランドのイメージを大きく裏切ったのは重罪。


 おおむね 安いタイヤに「サイテー」な製品が多いのは常識通りなんですが、安くても多くの製品はここまで危険ではありません。
 では どうすれば最悪のタイヤを避けることができるか考えてみましょう。

     とにかく安いタイヤが欲しい場合

 値段でディスカウントを求めるなら 味の良いタイヤを求めてはいけません。
 最低限の安全性があれば良しとしましょう。

 まず、品質の悪さに定評のあるブランドは絶対に避けなければいけません。
 普通のサイズであれば 米国火石・米国C・インドネシアSなどは要注意です。
 国産でちゃんとした製品があるんですから、出来の良くない製品を海外から選ぶ必要はありません。

 国内に目を転じると 大手三社の自社ブランドでは最安価品でも粗悪タイヤは姿を消した様子です。
 中堅ブランドでも 最悪レベルのものは まず見当たりません。
 もちろん どれもこれも贅沢を言える製品ではありませんが。

     そこそこの値段で普通のタイヤが欲しい場合

 人それぞれの使い方があるので一般論は難しいのですが、普通の値段の普通のタイヤを選べば そこそこの製品にあたります。

 唯ひとつ要注意なのは、手ごろな価格のスポーツ系タイヤ。
 一般乗用車用のサイズもあるんで ちょっと惹かれたりするんですが、国産の製品では本当にロクな物がありません。
 特に 一世代前の製品は 悲しくなるレベルのものが散見されます。

 普通用途の製品をビバンダム・石橋・横濱・段六腑から選べば 大きな問題がないでしょう。

     タイヤに味を求めてみようと思ったら・・・

 交換する際、国内ブランド・外国ブランド問わず高級品にしてみましょう。
 安物の3倍程度の価格がついていますが、その差は誰にでも分かるはず。

 そこから先、好みのブランドは 自分の経験で見付けるしかないようです。
 気に入ったタイヤを見付けても、次の交換時には まず絶版になっています。(特に国内メーカー)
 頼りになるのはメーカー名だけという、実に悲しい現実です。

 個人的な好みですが 安心感があるのはビバンダム。
 ただ日本専用品だとハズレがあるので 英国辺りのサイトと比較をする必要があります。
 最新の品ではなく、寿命の長い製品の方が印象が良いのですが。


 ま、こんなに苦労して選んでも、寿命は やっぱり3年程度なんですけどね。
 あっという間に そのタイヤの美味しい時期は終わってしまうんですよ。

 なんで、こんなことを書いているかといいますと、今 乗っている車のタイヤの 賞味期限が最近切れてきた様子。
 新車で購入以来 走行距離は29000キロ
 溝は半分近く残ってますが、濡れた路面がめっきり弱くなりました。

 そんなに飛ばしていなかったのになあ・・・(ウソは巻末の写真を参照)

 で、給料日を待って新しく履いたのが このタイヤ。

 若干張り込みすぎかと思ったのですが、やっぱり この社の国際標準品は安定しているなあ。
 もうすぐ製造中止の成熟品で、3年以上売られていた製品ですし。

 細かく見ると 転がり抵抗を追及しすぎたのか、横Gの出方が変だけど。


 え、何でここまでタイヤにこだわるかって?


専用コースにて撮影


サーキットにて撮影

 このスピードになると 車両の運動エネルギーは 想像をはるかに超える大きさです。

 時速170Kmで走る1.7tのファミリーカーも 時速215Kmの1.2tのスポーツカーも、どちらも200万Jに迫るエネルギーを持っています。
 この運動エネルギー量って、一昔前の戦車砲弾に匹敵するんですよ。(砲弾重量4Kg・初速1000m/s)

 そんなモノがたった4本のゴムで支えられてるんですから。
 出鱈目なタイヤに命を預けたくはないでしょう。

 え、自分は飛ばさないって?

 でも、時速100Kmでさえ 攻撃機の機関砲弾(砲弾重量700g・初速1100m/s)より強力なんですけど。 


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