船舶油濁損害賠償保障法のまとめ http://syobon.zive.net:85/src/syobon5375.txt (このページのテキストの原文)
改正の概要・条文など
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/10/100223_.html
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/10/100614_.html (施行令)
平成16年3月9日の参議院予算委員会議事録
(民主党新緑風会福山議員がこの法律に関する質問をしている)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/159/0014/15903090014006a.html
成立時の京都新聞の記事(共同ソース?)
http://www.kyoto-np.co.jp/news/flash/2004apr/14/CN2004041401000031A1Z10.html
この法律に関する2chの書き込みをまとめたもの
http://www.startingweb.com/bbs.cgi?job=viewthread&bbsid=3842&mid=6307
概要
来年3月から日本に入港する100トン以上のすべての船に適用
予算委員会の質疑によれば北朝鮮の97.2%の船舶がこの法律に該当します
ちなみに日本に入ってくるほとんどの船は100トン以上です
Q1)100トン未満の船がうじゃうじゃ来たらどうするのか?
A1)日本海、特に冬の日本海というのは、海が激しく荒れるため世界的にも非常に航行が難しいので有名な海域。だからこそ海難事故が頻発する海域でもあるが、北朝鮮から日本に渡ってくるためには100トン以上の排水量のある大型船でなければ転覆の可能性が高まる(というより、北朝鮮の港をそもそも出港できない)。100トン未満の船は、「来ようにも来られない」のが実態なので考慮しなくていい。
Q2)2月に駆け込み契約や新造があるのでは?
A2)北朝鮮の所有する船の船齢と状態では、ロイズなど英国法に基づく契約をほとんど結べない。マンギョンボン92号などの造船は、日本国内の在日朝鮮人(総連)の寄付で行われた(バブル時代の収益による寄贈品)が、今から駆け込みで慌てて作れるほど、大型船の建造は短期間ではできない。その費用も莫大で、仮に実際に新造船を造らせ、保険に入らせるだけで相当額の経済的負担を「北朝鮮当局」と「日本国内の北朝鮮協力勢力」に課すことができるため、北朝鮮に経済的負担をおわせる(=制裁)の実効効果は充分にある。船の出入りを止めること=貿易の差し止め、ではなく、「それに伴う費用の高額化」という部分で負担を負わせるというカラクリになっている。
Q3)2005年2月に駆け込み入港があるのでは?
A3)2月は金正日国防委員長の誕生日があるので、それに備えた「貢ぎ物需要」による入港が相次ぐのが例年の風景。ただ、冬の日本海を越えられる船となると北朝鮮でも数少ない上に、まず新潟港などが寄港地となるが、新潟への入港制限は2005年1月1日には開始される(新潟県条例)。2月の駆け込み入港では、すでに間に合わない恐れがある。
(溜池通信で紹介されたのを機に、内容の重複を承知で補足しました 2004/12/23)
(難破・海難事故に遭った場合の)油漏れに関する保険がない船は日本に入港できない。
油濁損害賠償保障法施行令によれば油漏れに関する保険には以下の条件のいずれかに該当する必要があります
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/10/100614/03.pdf
(保険者等)
第二条法第十四条第二項の政令で定める者は、次に掲げる者とする。
要約
1−一は、日本船主責任相互保険組合の事です。(http://www.piclub.or.jp/)
1−二は、各都道府県の「漁船保険組合」の事です。(http://www.ghc.or.jp/list/list.html)
1−三は、金融庁に認められた損害保険会社の事です。
1−四は、「国際油濁補償基金」が補償する事を認めた保険組合の事で、例えば、中国船東互保協会(China
P&I Club)などがこれにあたります。(http://www.cpiweb.org/)
1−五は、国際油濁補償基金に加入していない米国のP&I
Clubの事です。
2−二に相当する組合・会社は、今のところ存在しません。
船級という被保険船に対する格付けを貰わないと、この保険はかけられない。
保険をつけるということになれば1−一か1−三か1−四になりますが
1−一において日本船主責任相互保険組合(http://www.piclub.or.jp/index.htmlの一般の方へ→保険の種類)によれば原則として国際船級協会連合(IACS)加盟の船級又は同等の機関(JG等)並びにISMコードを保持し国際航海に従事する船舶が対象です。
ということになっており船級(またはそれに準ずる機関による格付け)が必要になります
1−三においては
http://www.startingweb.com/bbs.cgi?job=view&bbsid=3842&mid=4003
>
バンケイ入港に伴う、保険の不備を保証した近洋海運のデータです。
> 資本金 3,000万円
>
役員 すべて、総連幹部
> 従業員 7名
> 売上 7億円
>
前年度損益 マイナス3億円 つまり、大損こいてる会社ってことだ
現在近洋海運という万景入港に伴い保険の不備を保証している会社がありますが、これは船舶代理店であり、また損害保険会社になるにも上記の状況では保険業法第5条(免許審査基準)の一、二に抵触する可能性があります
保険業法第5条(免許審査基準)
http://gyoho.hp.infoseek.co.jp/hou/005.html
一
当該申請をした者(以下この項において「申請者」という。)が保険会社の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、申請者の当該業務に係る収支の見込みが良好であること。
二
申請者が、その人的構成等に照らして、保険会社の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。
保険会社が恣意的に保険をつける可能性も考えられますが、それが日本の保険会社であった場合には世論の非難を浴び、信用を失墜させることにつながりますし、勝手に北朝鮮内で損害保険会社を作って保険をつけたとしても金融庁はその保険会社を認めないでしょう。
上記の近洋海運の役員欄を見る限りでは他に引き受ける先はないとも考えられます。
1−四においては
P&I Club の加入要件は、各組合が自主的に定めるものですので加入要件によってはもしかすれば保険を付与してくれるような保険組合があるかもしれませんが非常にリスクが高いと判定されるのでかなりの外貨が必要になるのではないでしょうか
また恫喝等で恣意的に保険をつけさせようとすることも考えられますがそのようなことをすれば国際油濁補償基金は国家が加盟するものですからその国が不適切なP&I Clubを承認しているとして国際会議で叩かれることになるでしょう。
また国際P&Iクラブグループ・プール再保険機構という個々のP&I Clubが加盟する再保険機構がありこの機構に再保険を断わられることにもなりかねません(大口案件のリスク分散ができなくなる)これを覚悟してまで北朝鮮の船に保険を付ける国やP&I Clubがあるのかどうか・・・
船級を与えられるのは英国法に基づいて認定された会員国準会員国のみ
全世界には50以上の船級協会があると言われています。その内、IACSに加盟している船級協会の船級だけが「慣習として」外航船舶保険に有効な船級だとして認められています。この仕組みはロイズが船級協会を発足させた時代にまで遡る「慣習」です。
ですからたとえ北朝鮮が船級を与えるために船級協会を作って勝手に船級をつけたとしてもIACSに加盟を認められない限り保険会社はその船級を認めないため全く意味がありません
また船級協会がIACSに加盟を認められるためには30年以上にわたる実績が必要になります。
韓国や中国も他国に船級を与える事はできるのだが、瑕疵(不備により条件を満たさないなど)を知りながら恣意的に与えると、船級与える協会から即日追放に。最低でも50年は復帰できない。
中国船級協会が1956年設立、韓国船級協会は1960年設立です。
この船級協会がに加盟を許されたのが1988年で、国際保険引受協会の前身であるロンドン保険協会に認められたのが中国は1994年、韓国は1990年です。
国際的に認められるのに、中国は設立から38年、韓国でも30年も掛かっています。
船級協会の信用というのは、そうした実績に基づくものなのです。
政治的理由で恣意的に船級を発行する船級協会は世界に数多くあります。
外航船舶の保険に有効な船級をIACSや国際保険引受協会の認定する船級協会が発行した船級に限るのは、そうした低質な船級協会の船級から業界が身を守る為であります。
ロンドン保険協会の船級協会の認定が、まさにそうした目的でした。
IACS加盟船級協会が政治的理由で恣意的に船級を発行した例はありませんが、こうした経緯から考えれば、最低でも30年以上は復帰を許されないでしょう。
30年というのは実績のないところから始めた場合であり、除名処分からの復帰となればもっとかかると考えられます、50年という数字も結構いい推測ではないかと思います。
また前述のとおり保険会社は低質な船級協会の船級から業界が身を守る為にIACSや国際保険引受協会の認定する船級に限って認めているのですから恣意的な船級発行をIACSが見逃せば業界はIACSがつけた船級も認めなくなり、IACSの存在意義がなくなってしまいます。
ちなみに船体強度の不足が原因で起こったリーダーエル号海難事故においてIACSはポーランド船級協会を即日準会員から除名しています。
http://www.asahi-net.or.jp/~mm2y-inb/oushuu.html
さすがに船級協会の上部団体でありますIACSは、6月1日に開催されました理事会で、 沈んだリ-ダーエル号の検査を担当しておりましたポーランド船級協会を、業務上重大な過失があったとして即日準会員から除名しました。
そもそも、艦齢が15年とか30年以内でないと船級もらえない場合があるので、老朽船の多い北の船の90%以上は、まず絶望的。
http://www.nipponkoa.co.jp/catalogue/marine_dic/e_il.htm#institute_class
協会船級約款によれば
2)船齢制限
船齢10才以下の撒積貨物船もしくは撒積兼用船、または船齢15才以下のそれ以外の船舶(但し、以下を除く)
(1)
一般貨物の輸送目的で使用され、定期性が確立された特定の港の範囲内の航路を運航されており、船齢が25才以下の船舶、または
(2)
コンテナ船、自動車輸送船、2重側壁オープンハッチ・ガントリー・クレーン船(OHGC船)として建造され、定期性が確立された特定の港の範囲内の航路をその種の船舶として恒常的に運航されており、船齢が30才以下の船舶
とあります。
北が政治的圧力を掛けても、被保険の条件に関する部分はすでに英国法の運用にだけ任されたので、日本の官庁は関知しないし官庁をたらいまわしにされるだけ。
この法律は入港の際には油漏れに関する保険をつけることを求めているだけであり、特定の船の入港を恣意的に阻止することを目的としたものではありません。
"たまたま"保険会社の「慣習」によって北朝鮮の船には油漏れに関する保険をつけるのが非常に困難になっているだけです。
たとえ抗議や圧力をかけたところで国交省は関知できませんし、「油漏れに関する保険さえつけていただければ入港できます」と言えばいいのです。
諦めて外貨を吐き出して船級の取得できる船を新造・購入しない限り、日本には入れない。日本が経済制裁しなくても自動的に制裁(と同様の効果が*)発動。
こういったことで外貨を消費することは外貨獲得手段を封じられてきている北朝鮮にとってはかなりの痛手になります。
チャーターでは1回入港するたびに外貨を消費しますし、新造できるほどの余裕があるとも考えにくいので(余裕があるのなら老朽船を使い続けないでしょう)他の国にはほとんど影響はありませんが、北朝鮮にとっては特定船舶入港禁止法に負けないくらいの効力があるというすごい法律になってます。
IACS加盟の船級協会の歴史:
1760年、ロイド船級協会(LR)創立
1828年、フランス船級協会(BV)創立
1861年、イタリヤ船級協会(RINA)創立
1862年、アメリカ船級協会(ABS)創立
1864年、ノルウェー船級協会(DNV)創立
1867年、ドイツ船級協会(GL)創立
1899年、帝国海事協会創立
1913年、ロシア船級協会(RS)創立
1915年、帝国海事協会船級部設置
1919年、帝国海事協会、ABS協会、RINA協会、後にLR協会と合併するBC協会との間で四船級協会連盟を結成。これが最初の国際船級協会機関。
1920年、NK船級第1船“華南丸”竣工
1926年、NK船級の船級符号NS*がロンドンの海上保険業者の協会から正式に認められ、国際的に活動する船級協会としての地位を確立。
1936年、ポーランド船級協会(PRS)創立
1939年、第二次世界大戦中には帝国海事協会に対し、外国の保険業者協会の認定が取り消される。
1946年、帝国海事協会は現在の日本海事協会に改称
1949年、クロアチア船級協会(CRS)創立
1952年、サンフランシスコ条約発効と同時に、NS*は再び外国の保険業者の業界から認められ、国際船級協会として再出発。
1956年、中国船級協会(CCS)創立
1960年、韓国船級協会(KR)創立
1968年、国際船級協会連合(IACS)創立
メンバーは、LR,
BV, RINA, ABS, DNV, GL, NK, の7協会
1969年、ロシア船級協会(RS)がIACSに加盟
1988年、韓国船級協会(KR)と中国船級協会(CCS)がIACSに加盟
リンク:
国際船級協会連合(IACS)http://www.iacs.org.uk/
ロイド船級協会(LR) http://www.lr.org/
フランス船級協会(BV) http://www.bureauveritas.com/
イタリア船級協会(RINA)http://www.rina.it/
アメリカ船級協会(ABS) http://www.eagle.org/
ノルウェー船級協会(DNV)http://www.dnv.com/
ドイツ船級協会(GL) http://www.germanlloyd.org/
日本海事協会(NK) http://www.classnk.or.jp/
ロシア船級協会(RS) http://www.rs-head.spb.ru/
中国船級協会(CCS) http://www.ccs.org.cn/ccs/
韓国船級協会(KR) http://www.krs.co.kr/
ポーランド船級協会(PRS)1936
http://www.prs.gda.pl/
クロアチア船級協会(CRS)http://www.crs.hr/
インド船級協会(IRS) http://www.irclass.org/
※このテキストの原文は、「拉致連絡板」で収拾された油濁法に関する情報をわかりやすく解説・理解するために、「小泉総理は運が強すぎる」スレの住人の一人が、さらにまとめ直して一覧としたものです。
原文のテキストはすでにリンク先から失われていますが、原文の元となった拉致掲示板の情報は今も閲覧することができます。油濁法の詳細と効果についてのより詳細な情報が必要な人は、拉致連絡板に蓄積されている情報を参照されるとよいでしょう。
なお、このテキストを運スレまとめページに収蔵する際に、いくつかのハイパーリンク、文意強調、誤字の訂正などが行われています。
また、2004/12/23に運スレ住人による原文に、HTML化を担当した運スレまとめ人によって一部追加・補足が加えられました。