独断的漫画批評の部屋 GOGO! ぷりん帝国
4:そして・・・
ここでは、この漫画の紹介とは別に、この漫画の作者、くぼたまこと氏の作品を紹介していこう。
どの作品も力作ばかりである。このぷりん帝国より、これらの漫画のほうが面白いかもしれない。ただし、どれも入手は難しいだろう。
〜〜・〜〜
仮面レンジャー田中
連載誌:文藝春秋社 コミックビンゴ平成6年冬号〜平成8年11月号
コミック:全1巻(全18話) 定価580円
入手難易度:☆☆☆☆☆
(イメージ…というか落書き)
くぼたまことの原点とも言える作品である。
世界制服を狙う悪の組織・ゲルドに、正義のヒーロー・仮面レンジャーが立ち向かう。
という、ストーリーなら普通の漫画なのだが、さすがはくぼた氏。やはりまともなストーリー展開には持って行かない。
日本の一般市民に染み込み、庶民的で心暖まるキャラクターばかりの悪の組織が、性格の悪いレンジャーにボコボコにやられるストーリーになってしまっている。善悪逆転の発想にくぼた氏らしさが出ている。
というか、主人公はレンジャーではなくゲルド。第1話はレンジャーが主人公としてヒーローの生活を見せるのだが、第2話から、打って変わって話の視点はゲルド側に移行してしまうのである。1話にレンジャーが3コマしか出てこないような話もあるほどだから・・・。
しかも、最終回には主人公はゲルドだったと作者も白状してしまっている。
あっさりレンジャーにやられる怪人たちも見所。
ぷりん帝国の原点とも言える作品である。
〜〜・〜〜
戦え!キャプテン・ジャッキー
連載誌:エニックス 月刊少年ギャグ王平成11年2月号〜平成11年4月号
入手難易度:?
くぼた氏の幻となってしまった作品。自称・宇宙のヒーローキャプテン・ジャッキーが平和に正義を求めるストーリー。
作品は、月に2話連載で、1話目は、ジャッキーのストーリー。2話目は地球侵略を狙う用務員・X(エックス)の野望である。どちらかといえば、2話目の悪の組織編が、仮面レンジャーの時代に見せていた くぼた氏の持ち味が出ていて面白い。
どの辺が幻かといえば、連載3ヶ月目にして、連載誌が休刊してしまったためである。丁度油が出始めた頃であったために、非常に惜しまれる。全6話・全48ページになってしまった。おそらくは、どのコミックスにも掲載されないであろう。
この作品が読めた人は幸運である。
〜〜・〜〜
自分が知っているくぼた氏の作品はぷりん帝国を含め、これら3作品である。どの作品もくぼた氏の味が出ている。これからのくぼた氏の動向に期待したいところである。持ち味を生かした作品が読めることを祈りつつ、見守って行きたいと思う。