独断的漫画批評の部屋 GOGO! ぷりん帝国
2:どこがそんなにおもしろいのか
この漫画は、連載期間も長いので、知っている人も多いかもしれない。
ただ、残念ながら、長期連載だからといって誰もにうける漫画ではない。
おそらく、人によってかなり好き嫌いの差が出るだろう。その理由は大きく言って二つ。
まず、絵が単調なこと。「漫画の面白さは絵のうまさである!」とお考えの方には申し訳ないが、オススメできない。(ただし、書こうとすれば、うまい絵を書ける人ですが。)
しかも、話が進むことに絵は簡略化されていく。 作者の持ち味が出始めたと誉めるべきか。
そして、ネタの当たりはずれが激しいこと。こう書くと失礼かもしれないが、自分も、この漫画のネタが全て面白いとは思わない。作者がネタ出しに困ってるという予測が容易に立てられるようなときも多々ある。つまらないネタは、かなりつまらないのだ。
一方で、面白いネタは滅茶苦茶面白い。コンビニで立ち読みして、笑いがこらえきれなくなって、思わず、本を閉じ、気が落ち着いてから読みなおすくらいの面白さである。(これは自分だけの特異な経験だと思うが・・・。)
これらを乗り越えることの出来る人こそ、この漫画の真の読者である。では、この漫画の面白いところを例によって例のごとく挙げていこう。
注:ここでは、今後この漫画を読む方のために
ネタバレに配慮しながら読みどころを紹介していきます。
其の一 登場人物の大きなギャップ
この漫画は、地球侵略を目指す悪の組織「ぷりん帝国」を舞台に、ぷりん帝国の住人たちが織り成すスペクタルロマン(ある意味)である。
仮面ライダーや秘密戦隊などに出てくる「悪の組織」をイメージすると分かりやすいかと思う。
この組織は、帝王を中心に参謀や怪人や将軍で構成されているのだが、このキャラクター達がやけに庶民的なのである。
例えば、帝王はマスクに素顔を隠す「スターウォーズ」の「ベイダー」のような姿なのだが、年は幼く、迷子になってしまうような子供であるし、
星を一撃で破壊するような凶悪怪人も、家族を持っていて子供のしつけにピリピリしているような家庭的なお父さんという一面を持っていて、とても悪者には見えないが、何はともあれ「悪の組織」なのである。
この妙なギャップを生み出すセンスは、作者の「くぼたまこと」の独自の感性であろう。
其の二 庶民的なネタ
この漫画はどうもタイムリーなネタが多い。そのため、本誌で読むと面白いネタでも、コミックスで読んでしまうとその面白さが半減してしまうのである。
だが、半減しても面白いものは面白い。
しかも、「むじんくん」や「ウメッシュお出かけランラン」などのCMネタが魅力的。
地球人が作り出したCMに、執拗なまでに悩む怪人達の姿が笑いを誘う。
どちらも、かなり古いネタだが。
其の三 作者の妙なこだわり
そして、作者が妙に細かいところにこだわるのも見所の一つだろう。
タイトルが全く話の内容に関係なかったり、
帝王の着ている鎧の胸にかかれた文字がコマごとに変化したり(やっぱりガモウか・・・)、
全然捻られていない偽名(「GO!ヒロミ」とか「ノイキエヤーマッスル」とか)をわざわざ使ったり。
どうだろうか。それとなく、面白い漫画だとお思いになっていただけると憂いない。
自分がこんなにストレートに褒めちぎってしまうと、期待ハズレだと思う方も多いとは思うがそれだけこの漫画が面白いということである。
ちなみに、今回は真面目に誉めるつもりなので覚悟して読んでいってほしい。
(というか、一つ、泣き言を言わせてもらうと、ギャグ漫画をギャグ漫画として捕らえると、普通の批評になってしまうんですよ。自分の味になってないのかもしれないですが・・・。)