■花と狼の帝国著者 TEAM D.O.C〔藤田貴美×山下友美〕 /出版社 白泉社この漫画。ものすごく面白いんですが、なんと一部終了のまま未完です。(4巻まで刊行) 諦めきれず身悶えること数年、ようやく忘れかけていた頃、『ローレライ』で思い出しました。 がしかし、本当に良い作品なので軽く紹介をしたいと思います。 『 1941年。ナチス政権下のドイツ。 これから起こる歴史的大虐殺を、人々は想像すらしていない。 それを予想し、阻止せんとする一部の人間を除いては。 主人公のテオは、孤児院出身でただ一人の肉親である兄を慕う、ごく普通の少年。 だが、ある日最愛の兄が何者かに射殺される。 犯人がユダヤ人だったと知り、幼なじみであるユダヤ人の少女へ複雑な思いを抱くテオ。 折しもヒトラーユーゲントの寮へと誘われ、テオは謂われなき差別を目の当たりにする。 そして兄に関わりのある「白ばら」という言葉を調べるうち、事件の真相を知ったテオは・・・!?』 というお話です。 これに、もう一人の主人公とも言えるラインハルト(ピアニストになることを強制されている。軍人貴族の息子。が、母親はユダヤ人)が加わり、 この二人を中心に、テオの孤児院の仲間、教会の司祭やその息子、二人の研修医、ナチのSSなどが絡んで物語は展開していきます。 この漫画、表紙が毎回寄り添うテオとラインハルトなのでやけにBLくさいですが、中身は全くそんなことはありません。(妄想するのは可) また、この時代の話ですから重く・暗そうだと思われるかもしれませんが、しっかりとしたストーリー構成・それぞれの複雑な立場や心情が客観的に描き出された登場人物に引きこまれ、自然と共感・感動が生まれます。読んだ当初いろんな箇所で号泣してました。 とにかく文字いっぱい・伏線いっぱいで「一体どうなるの!?」「うわあ、危ない!!」「その人信じちゃ駄目ー!!」とはらはらドキドキ目が離せないうちに読み終えてしまった覚えがあります。 4巻まででも読む価値あり。あるとしたら古本屋だと思いますので、安いでしょうし。 完結していないとやだ!という方にはお薦めできませんが。 では、もうちょっとネタバレした感想いきます。 反転↓(Ctrl+A) テオの兄・アンドリューは反ナチスの抵抗組織「白ばら」のミュンヘンにおけるリーダーです。 それが発覚して、ナチのSS・ルドルフに射殺されてしまう。 そして、二人の研修医クラウスとミハエルは白ばらのメンバー。 その真実を知ったテオは、自分の心に正直に、ヒトラーユーゲントを辞める。 また、彼らに関わるうちにラインハルトもひとつ壁を乗り越える。 そして、二人で襲撃を受けるユダヤ人の少女・ルイーゼを守るように立ちはだかる。 という非常にカタルシスのある、すっきりとしたところで第一部は終わるのですが・・・。 未解消なところがたくさんあり、そこがまた面白そうなので気になるのですよ!! まず第一に、「白ばら」の二人が手に入れた秘密文書。これには二つの抵抗への道筋が記されていました。 その道筋を知る『マエストロ』とは一体!?・・ってああ、気になる(泣) そして第二に、テオの出生の秘密。テオは、乳飲み子の時にひとつの指輪と共にアンドリューに預けられたのですが、 どうやら軍人には手の届かないところから関わるなとお達しが出るほどのご身分なよう。 また、SSのルドルフも異常なまでの潔癖性といいなにか過去がありそう。 ラインハルトのユダヤ人の母親が強制収容所に連行されそうな場面もあり、と本当に続きが気になるーー!! ということで、続きが気になるわけです。 が、作者のお二人は続きは出さないと宣言されているとのこと。 そこに至るまでの経緯は色々あったそうですが触れない方向で(笑) また、同人誌にて第5巻・完結までのあらすじのペーパーなどもあるそうですが、私は読んでません。 むしろ教えて下さい。くらいな勢いです。 手に入れることも・・・できるのかもしれないですが、難しそうですね。 そこらへん気にならない方にはお薦めの作品です。面白いとは思いますので。 2005.xx.xx 記 |
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