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■スローグッドバイ

スローグッドバイ
著者 石田衣良/ 集英社文庫


石田衣良の恋愛短編集。

恋愛小説はあんまり読まないんですが、短編集やエッセイってつい買ってしまいます。
仕事の空き時間(待ち時間)とかに読めるので、常に携帯。

石田さんはやっぱりウエストゲートパークが一番面白いと思うのですが、さらりと読めてどこか懐かしい・学生時代を思い出すような恋愛が素敵な短編集でした。
高校生だと少し大人の、大学生や社会人成り立てなら等身大で切ない、私のようなそれ以降だと懐かしくて愛しくなるような話。

あーこういうのわかる!!という話がひとつはありそうです。
以下、私が印象に残ったものをいくつか。

<You look good to me>
いつものようにネットの談話室を訪れる『ぼく』。
そこでは『アヒルの子』の発言をきっかけに小さな論争が起こっていた。
「人間は外見か中身か?」・・・『アヒルの子』は清々しいまでの論理で「外見だ」という。
「わたしは醜いから」そんな言葉を一瞬で出てくるように登録してある『アヒルの子』と『ぼく』はそれから ネットで話すようになって・・・

顔の見えないネットだからこそのお話。
短編って、ちょっとあらすじ言うとそれがネタバレになってしまうから難しい・・・。


<夢のキャッチャー>
シナリオライターという夢に向かって突き進んでいく女性と、それをどこか寂しい気持ちで見守る男性の話。

男性が書いたとは思えない・・・。
いや、だからこそこういう話になるのかな?
女性もできる恋愛SLGのシナリオを考えるシーンが面白かったです(笑)


<ローマンホリデイ>
この短編集の中で一番好きなお話。
実は「すばる」で立ち読みしたことがあるのですが、やっぱり面白かった。

>私と『ローマの休日』をしませんか?
掲示板に記されていた、一行の文章にひかれる瑞樹。
その日から、有希と交わすメールが彼の毎日の楽しみになった。

短編らしい一転・二転はある意味「読める」展開なのですが、そこからが素敵。
最後のオチもくすりと笑えて胸が温かくなるお話でした。



2005.06.xx 記

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