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■プラチナ・ビーズ

story 五條瑛  / 出版社 集英社(文庫有り)
4087473449プラチナ・ビーズ
五條 瑛

スリー・アゲーツ―三つの瑪瑙 スリーウェイ・ワルツ 夢の中の魚 スノウ・グッピー 断鎖(Escape)

by G-Tools
とりあえず、文庫でのあまりの厚さに血の気がひきそうになります。
計ってみたら3cmありました。
最早文庫だから読みやすいということもなく、値段もそう変わらないので単行本でもいいかと。
むしろ図書館などで借りればなお良いかと(笑)

がしかし、厚さにひいていたら勿体ない!!
読みやすいさらりとした文体。テンポの良い会話。魅力的な登場人物。秀逸なストーリー。
思わず引きこまれ、長さを感じないほどにのめり込んでしまいました。

ジャンル分けはまた、非常に難しいですね・・・。国際スパイ小説?ハードボイルド?ミステリー??
その辺の要素がごっちゃになったかんじでしょうか。
読んだ頃タイムリーでしたが、北朝鮮問題が主軸になっています。
主人公は、米国防衛庁の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山。
少し後ろ向きな青年・葉山の「知りたい」という欲求には脱帽。
『情報』に非常に重きがおかれ、私達の見逃しがちな「諜報戦」という見えない戦争が リアルに描かれます。(筆者は防衛庁の情報、調査専門職に就いていた経験があるそうです)


▼ はじまりは、いつもと同じ聞き取り調査。
しかし、葉山はそこに出てくる『ある男』の存在に興味を持つ。
「なんというか、・・・彼は新鮮です。」
その情報を追ううち、北朝鮮の権力中枢に異変を感じ取る葉山。
同じ頃、坂下は脱走した米兵が惨殺された事件を追い、金沢にいた。
殺された米兵の残した言葉・・・『プラチナ・ビーズ』とは一体!?
米国・日本・韓国・北朝鮮の思惑が絡み合うなかで、全ての糸がひとつに収束していく様は爽快です。
『プラチナ・ビーズ』という言葉の意味するところを知ったとき、思わず涙がこぼれました。

彼らの上に静かに降り積もる、白金の粒たち(プラチナ・ビーズ)・・・神の贈り物。奇蹟の贈り物。
「神様じゃない。わたしが降らせるんだ・・・・お前のために」
 ▲


というかまあ、正直言って、女の人が読むとキャラ萌えすること必至です。
んもう、魅力的な男達が盛りだくさん。

前述の主人公葉山は、外見はほとんど「ガイジン」だが中身は日本人。思わず保護欲を そそられるのは読者だけではないようで、周りの人間からいじられ(愛され)ている。 慎重がモットーだがあまり成功はしていない。口癖は「メイビー(たぶん)」

葉山の属する情報機関における上司エディは、典型的なWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)。 完璧な容姿と頭脳を誇るが趣味は、部下いじめ。メイビー。

米海軍調査軍に所属する坂下は、葉山と真逆。実の両親は日本人だが、中身はアメリカ人。というより根っからの軍人。 口も素行も下品で悪いが、エディと気が合い葉山を気に掛けている(気がする)。

は表向きはジャーナリスト、だが実際は韓国国家情報部に深い関係のある情報屋。 小柄で童顔・害のなさそうな外見に反して中身は腹黒。バイでSM愛好家で革フェチと自ら吹聴して回る彼の 底の深さは推して知るべし。

そして最後に、葉山の追う謎のフェロモン男。彼の魅力は圧倒的です。 彼の正体は話の中枢に関わってくるものなので明かせませんが、 この方『革命』シリーズにも登場してその魅力を遺憾なく発揮してらっしゃいます。



というわけで、登場人物の魅力も満載。
ストーリーは専門的な知識などなくても充分楽しめる文句なしの面白さ。

五條瑛作品を読んだことのない方には、これから入るのがかなりオススメです。


2005.xx.xx 記

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