■プラチナ・ビーズstory 五條瑛 / 出版社 集英社(文庫有り)
計ってみたら3cmありました。 最早文庫だから読みやすいということもなく、値段もそう変わらないので単行本でもいいかと。 むしろ図書館などで借りればなお良いかと(笑) がしかし、厚さにひいていたら勿体ない!! 読みやすいさらりとした文体。テンポの良い会話。魅力的な登場人物。秀逸なストーリー。 思わず引きこまれ、長さを感じないほどにのめり込んでしまいました。 ジャンル分けはまた、非常に難しいですね・・・。国際スパイ小説?ハードボイルド?ミステリー?? その辺の要素がごっちゃになったかんじでしょうか。 読んだ頃タイムリーでしたが、北朝鮮問題が主軸になっています。 主人公は、米国防衛庁の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山。 少し後ろ向きな青年・葉山の「知りたい」という欲求には脱帽。 『情報』に非常に重きがおかれ、私達の見逃しがちな「諜報戦」という見えない戦争が リアルに描かれます。(筆者は防衛庁の情報、調査専門職に就いていた経験があるそうです) ▼ はじまりは、いつもと同じ聞き取り調査。 しかし、葉山はそこに出てくる『ある男』の存在に興味を持つ。 「なんというか、・・・彼は新鮮です。」 その情報を追ううち、北朝鮮の権力中枢に異変を感じ取る葉山。 同じ頃、坂下は脱走した米兵が惨殺された事件を追い、金沢にいた。 殺された米兵の残した言葉・・・『プラチナ・ビーズ』とは一体!? 米国・日本・韓国・北朝鮮の思惑が絡み合うなかで、全ての糸がひとつに収束していく様は爽快です。 『プラチナ・ビーズ』という言葉の意味するところを知ったとき、思わず涙がこぼれました。 彼らの上に静かに降り積もる、白金の粒たち(プラチナ・ビーズ)・・・神の贈り物。奇蹟の贈り物。 「神様じゃない。わたしが降らせるんだ・・・・お前のために」 ▲ というかまあ、正直言って、女の人が読むとキャラ萌えすること必至です。 んもう、魅力的な男達が盛りだくさん。
前述の主人公葉山は、外見はほとんど「ガイジン」だが中身は日本人。思わず保護欲を
そそられるのは読者だけではないようで、周りの人間からいじられ(愛され)ている。
慎重がモットーだがあまり成功はしていない。口癖は「メイビー(たぶん)」 というわけで、登場人物の魅力も満載。 ストーリーは専門的な知識などなくても充分楽しめる文句なしの面白さ。 五條瑛作品を読んだことのない方には、これから入るのがかなりオススメです。 2005.xx.xx 記 | ||
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