■女王陛下の薔薇三浦 真奈美 読み始めたら止まらなくて、二日くらいで読んでしまいました。 正直言って、純文学の皮をかぶった少女小説やポルノ小説より地に足ついたライトノベルのがよっぽど面白いと思う今日この頃です。 某芥川賞最年少受賞作とかひどかった・・・・。あれは純文学の皮すらかぶってないとは思いますが。 思わず芥川賞について調べ直してしまったよ。(→純文学短編。無名・新人作家対象) 純文学か大衆文芸かって、面白いかどうかとは結局関係ないと思う。 という話は置いておいて。 16世紀頃の英国(+ヨーロッパ諸国)のイメージがばっちり浮かんでくる設定です。 陰謀により王位継承から遠ざけられていたが、弟の思わぬ病死により帝国初の女王となったセシリア。 その幼なじみであり、無二の親友。大会社の理事の娘、エスティ。 帝国の植民地・パガン藩主の娘、ブランカ。 この三人を主軸に、主人公エスティは次々と襲いかかってくる苦難をしなやかに乗り越え、小さな蕾から大輪の花へと変わっていきます。 この『苦難』がですね・・・例えば偶然襲ってくる災害。というより(それもありますが)、非常に『地に足がついた』ものなので思わず共感してしまうのです。 女性は家の中にいるもの。外で働くことははしたないとされる時代の風潮。 帝国と植民地の文化の違いと差別。 そういった社会の枠組み自体がエスティを厳しい状況に陥れるわけですが、それに対してエスティは決して気負ったりヒロイックに立ち向かうわけではないのですね。 ただ、その時譲れないもの、大切なものが何かを考え、ひとつひとつの困難を乗り越えていく。 そして、それがいつの間にか世間を揺るがす大きな流れを作りだしていくので感動します。 時の人となったエスティが、その分非難を集めるのも、それが最後まで解決するわけではないところもリアルです。 もちろん、その時のエスティは謂われなき中傷に耐える強さを身につけていますが。 そこらへんすっごく面白いのですが、さくっと説明できないのであとは萌えポイントだけ紹介(笑) 女性が「家庭の天使」であることが最上である時代、生命に関わる秘密を抱えながら女王として走り続けるセシリアが痛ましい・・・。 しかし、そんな彼女の「ただひとつの聖域」がエスティなのですね。 エスティがいるからこそ、生きていられる。彼女が他に愛する人を見つけ、自分が無条件に一番に愛されなくなるのが怖いと思っている。 うおーん、切ない。あ、百合ではありませんたぶん。 そして、エスティを愛するもう一人の人物、エイダン・グレイ。 この人、当初からつぼに入りすぎてエスティに転んでいったときには大喜びでした。 40歳前後、不精にのばした髭と日に焼けた肌、悪戯っぽい笑顔に人を食ったような物言い。 それでいて、『西ホルトジョイの巨人』と呼ばれ経済・情報を一手に握るキレ者。 うわーん、めっちゃ素敵だよこの人!! 女王セシリアと似たもの同士、闇の部分を持つ彼はエスティに惹かれずにはいられないのです・・・!! 40前後で18の女の子に振り回される姿はロリコン疑惑がでそうですが(笑)、エスティがおじさまが惹かれるのも納得できる 魅力の持ち主でかつ、二人の会話がとても微笑ましく乙女心をつかれるので、俄然許せますv こんなに面白い本が一冊100円で埋もれているなんて・・・・勿体ない!! 「風のケアル」とか「異端者シェン」(こちらもぜひチャレンジしたくなりました)のが同じ三浦さん作品でも売れてそうだ。 やっぱり『薔薇』とかついてるのがいかんのか・・・(笑) 最近は「マリみて」人気あるようですし(←未読ですが)、これも再版したらどうでしょう?と思うほど面白かったですv ラストがちょっと急ぎ足なので、もう一巻くらい読みたかった〜!! 女性にオススメの一品です。 2005.xx.xx 記 |
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