■風神秘抄
勾玉シリーズの続編・・・と言っても本作だけで楽しめます。 シリーズ未読、手を出そうか迷っているわ〜という方にもお勧めの一冊。 少年と少女の出会いと育まれる絆、そして愛。 少年の笛の音と少女の舞が一体となって花吹雪が舞うシーンは、この世のものとは思えぬ美しさで心奪われました。 和製ファンタジーの香りの中で、ボーイミーツガールの醍醐味を存分に味わえます。 草十郎が、武芸の鍛錬をするシーンを読んだ時「これって踊りに通じるものがあるなぁ・・・」と思ったのですが、あとがきによると宮本武蔵の『五輪の書』で能と剣術の足の運びが似ているとの言及があるそうで、『武術』と『芸能』が巧みに絡み合っている描写が興味深かったです。 自分の身体の中にまっすぐあるものを感じる。芯を意識する。 立ち方ひとつとっても、なんとも清涼感を感じます。 『武』と『芸』の力の対比は、後白河上皇の存在も絡めて全編を通して語られている気がします。 草十郎自身の心も剣から笛へと惹かれていき、何のために戦っているのかという迷いから脱して糸世と共に在る為にどうすればよいのかを求めていきます。 草十郎が最後に選んだ力とはなんだったのか?は読んでからのお楽しみということで。 勾玉3部作を読んでいるとにやりとするシーンもちらほら。 特に鳥彦王の登場はたまらなかったです!! 草十郎と鳥彦王の関わりも微笑ましく、とっても愛おしくて見応えありでした。 蛇足ですが、PS2ゲーム遙かなる時空の中で3がお好きな方はちょっとにやにやしながら本作を読めると思います。 もしくは、本作が好きな方には騙されたと思ってこのゲームをプレイしてみて欲しい(笑) 2006.06.08 記 | ||
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