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■永遠の昨日

永遠の昨日
story 榎田尤利 /illust 山田ユギ / 笠倉出版社クロスノベルズ


榎田さんの本は見かけたら必ず買ってしまいます。
だって自分的に外れたことがないんだもの。
こういう信頼感は嬉しいですv

◇あらすじ
を書くとものすごいネタばれなんですがどうしましょう。
なんとかがんばります。
幼い頃に母を亡くし、医者である父はほとんど家に戻らない生活を送ってきた(というと悲壮感漂いそうですがそうでもありません)満は、無愛想で無表情。 「一人」でいることに慣れていた。
けれど、高校に入って「友達になりたい」と申し出てきた浩一は、天真爛漫な性格で満の心の中に入り込んでいく。
いつのまにかお互いにかけがえのない存在になっていた二人。
ところが、いつもと同じ朝、同じように学校に向かう二人のもとに、一台のトラックが突っ込んできて・・・!?

以下ネタばれ多少込み感想。



とりあえず冒頭の
”トラックは歩道を走ってはいけない。
なぜなら歩道を歩いている人が死ぬからだ。”
で「やられた!!」と思いました。どうしてこんな文章がかけるんでしょうこの人。
・・・で、ここまで書くと大体話の筋が読めると思うんですがそこは榎田さん!!
「そんな馬鹿な(笑)!!」という展開になっております。
そこへまた、担任教師や一見軽そうな新米女教師や巫女な不思議ちゃんが絡んできたりでもう大変です。
そして笑いあり、涙ありと翻弄されているうちに、不思議と『満と浩一にとってお互いがどんなに大切な存在か』というのが、文章で一言も書かれてなくても染み込んできます。
そこからはもう、ずっと胸の疼くようなせつなさに支配されっぱなしでした。

「大好きだよ。」繰り返される陳腐な言葉。知らなかったんだ、その本当の意味を。
「なにもない、死んだらもう、なにもないんだ。」
「ごめんな・・・ミッちゃん。死んじまって、ごめんな。」
そして出会う、許しがたい人間と、罪のない新しい命。
「イッていいよ浩一。おれは、大丈夫だから。」

・・・泣。
最後に両親の秘密が明かされるのも素直に感動でした。

今回も、「ボーイズラブ」という観点でいくと「絡みが少ない」のは確かですが、
期待を裏切らない面白さでした。
人の死ってなんなのか。死んでいく人の悲しみと残されるものの悲しみ。
そういったものをセカ○ュウよりわかりやすく感動的に描いた作品だと私は思います(言いきっちゃったよこの人)。
2005.xx.xx 記

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