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■終戦のローレライ

4062749661終戦のローレライ (1)
福井 晴敏

亡国のイージス 下  講談社文庫 ふ 59-3 亡国のイージス 上  講談社文庫 ふ 59-2 Twelve Y.O. 川の深さは 月に繭 地には果実〈上〉

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以前も日記で少し書いたのですが、この小説を薦めるのにただ言いたいのは、

「面白いからとにかく読んでくれ」

ということ。
いや、そう言われてもねぇ・・・どこがどう面白いんだか言ってくれないと。という気持ちはよーくわかります。
私だってそう言われたら怒る。

けれど、少しでもヒントになることを言ってほんのちょっとでもあの面白さが逃げていってしまったら・・・
なんて勿体ない!!!!・・・そんなこと人間としてとてもできないよ。
そう思うほどに楽しめた作品でした。

その意味では、映画の紹介でたくさんヒントが出てしまってあまつさえ人物紹介までされてしまっているのは残念でさえあります。

もしも、たまたまこのページを読んだという方で興味がある方は、それ以上情報収集せずに小説を読まれることをお薦め致します。
映画を見て面白かったー!!という方はぜひぜひ小説を読まれることをお薦めします。映画では80%くらいカットされてるイメージです私のなかで。
小説を読んだよ。という方はきっと福井晴敏にはまっていることと思いますので何も言うことはありません(笑)

誰もが感動するなんてことは言えません。(私は号泣しましたが)
ただ、この小説がそれを抜きにしても素晴らしいエンターテインメント小説であることは誰も否定できないと思います。
最初はとっつきにくかもしれませんが、『終戦前の日本という重いテーマに真正面から向き合い、綿密に組み立てられた先の読めない構成』・『 正に映画的な、映像が目に浮かぶような切迫した状況とそれを脱していく爽快さ』・そして何より、『たった数行出てくる人物にまでその人生を感じさせる 心理描写』にぐいぐい引きこまれていくこと請け合いです。

個人的には、「銀河英雄伝説」が面白かった人はきっと楽しめると思います。似ているわけでは全然ありませんが。
とはいえ、50代半ばのうちの母も思いきりはまりこんで読んでいましたから、そういったカテゴリ分けは無用だとは思うのですが。
色々なエッセンスを集めていながらも、はっきりとしたメッセージ性・しっかりとした描写力が感じられる作品です。

・・・と、これで終わるのはあんまりなので、極力ネタばれしないように内容に触れたいと思います。

1945年7月、終戦間近の日本。
この戦争を始めたのは正しかったのか・・・そんな問いはなんの希望にもなりはしない。
ただそこには、疲弊しきった日本の姿があった。
そんな時、降伏後のドイツから一隻の潜水艦・UF4が日本に到着する。
アメリカ潜水艦の執拗な攻撃により、搭載されていた秘密兵器・『ローレライ』を海底にを遺棄したまま。
日本の運命を変える唯一の希望・『ローレライ』回収のため、UF4は伊507として生まれ変わる。
なんの為に生きるのか見いだせないままに特攻しようとする若者・犯した罪への罪悪感を拭えぬ者・帰るべき故郷を失い生きるためにあがく者・・・重い過去を背負った男達を乗せ、伊507は出航する。
秘密兵器『ローレライ』とは一体なんなのか。日本が迎えるべき終戦の形とは・・・!?

『命を引き替えにしてもかまわないと思えるなにか、それが今の自分にはある。』



2005.xx.xx 記

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