remove
powerd by nog twitter

IE 帝國 その戦略と大衆支配の構造

フォントはどこに収納してあるんですか?

OS とブラウザのハッスル・ドッキング

例えばとある HTMLファイルに日本語のテキストが記述されています。 そのファイルを InternetExplorer などで閲覧するとします。 HTMLファイルに記述された日本語は画面上に「活字」として描画されます。 「活字」とは日本語の文字として読めるように構築された点描画のパターン様式です。
フォント一覧
このパターンには様々なバリエーションがあり、フォントと呼ばれています。 分かりやすく話を進めるために極端な例を考えてみます。 例えば、お手持ちのPCに一つも日本語フォントが収納されていなかったとしたら...。 これは欧米の人間にしてみれば、十分考えられる事態でもあります。 要するに、一つも和文フォントが無ければ日本語を活字として表示することができないワケです(つまりは文字化けで表示される)。

問題はブラウザにでは無く、OS にフォントがインストールされているというトコロにあります。 それなら IE から代替ブラウザに乗り換えても、 手持ちのパソコンに収納されているフォントは同じものを使うのだから、フォントに関しては変化が起きないのかというと...。 いつだって、思惑どおりにはいきませんよ。

理由は色々あるのでしょうが、'CHRISTINA' という欧文フォントを試したところ、 IE6 では表示されましたが Firefox0.9.3 では表示されませんでした。 別に欧文フォントの全部がダメってワケでは無かったのですが。 フォントってのは、OS に収納されている情報なのでソレをうまく引き出せるかどうか...、という課題が生じます。

下の図は同一のPC(Windows XP)を用いて IE6 と Firefox で同一ファイルを開いたときの比較図です。 いくつかのフォントに関しては Firefox では反映されていないコトが分かります。 フォント表示比較

また、Arial などのフォントでは r,i,l などの横幅が短く、文字によって幅が異なります。 このような性質を持つフォントをプロポーショナル・フォントと呼びます。 'MS Pゴシック' の「P」はプロポーショナルの略であり、'MS Pゴシック'を等幅に直したモノが 'MS ゴシック' となります。 日本語(和文フォント)は基本的に等幅フォントですが、句読点や記号・数字に至るまで徹底して同じ幅に設定してあるのが、 等幅フォントの特徴です。


和文フォントと欧文フォント

和文フォントは平仮名・カタカナ・漢字・記号・全角アルファベットなどを網羅しているのですが、 基本的には半角英数字(欧文フォント)をサポートしていません。 なので、和文フォントの適用範囲に半角英数字を記述した場合、 半角英数字に限ってはデフォルト・フォントが適用されます。

また、欧文フォントの適用範囲に全角文字(和文フォント)を記述したら、 全角文字にはデフォルト・フォントが適用されます。 デフォルト・フォントとはフォントの指定を一切行わない場合に表示されるフォントであり、 実際には何か固有のフォントが割り当てられています。

それで、考えるべきはウェブサイトを作る際にフォント指定を行うべきかどうか? と、いう部分であります。 欧文フォントは実に様々なバリエーションがあり、デザイン的にも優れています。 また、特筆すべきはどのようなフォントでもそこそこ読みやすいというトコロです。 結局はアルファベットの構造がシンプルなので、凝ったデザインでも可読性が高いのでしょう。 欧文フォントはデザインとして取り入れる余地があり、 アルファベットに限らず、半角数字にも意匠を凝らすコトができるので面白いと思います。
字体見本

問題は和文フォントです。言うまでも無く複雑な構造を持つ漢字の宿命。 あまりに凝ったデザインにすると読みにくいコト戦国巻物の如く、必然的にシンプルなデザインを選ばざるを得ません。 印刷業界では和文フォントが高値で取引されていますが、 これらは PSフォントと呼ばれる幾何学的なプログラミングで設計されたプロ仕様のフォントです。 仕事でDTPをやる人は何十万も払ってPSフォントを揃えますが、 プリンタの解像度が2400dpi とかあるのでフォントにこだわるワケです。 一方、パソコンのディスプレイは'04年現在、96dpi が主流なので事情が全く異なります。

解像度が 96dpi だと、最低でも 16pt 程度の大きさで表示しないと和文フォントの特徴が活かされません。 また、cursive系(毛筆体)の和文フォントでは 16pt より小さいと読めたものではありません。 serif系(明朝系)のフォントも 12pt とかでは読みにくい感じがします。 以上を総括すると、HTMLファイルで和文フォントを指定する場合、<h1> などの題字を除いては 活用する機会が無いと考えてもよさそうです。 結局本文は 10pt 程度でも読める sans-serif系か monospace系にするしかなさそうです。 さらには、固有のフォントを指定する意味がほとんど無いのですから、ジェネリック・フォントで済ませてしまうのが いいんじゃないでしょうか?


IEのジェネリック・フォントはエクセレント

sans-serif というのはジェネリック・フォントと呼ばれるモノであり、厳密な意味でのフォント名ではありません。 CSS で sans-serif とフォント指定を行うと、 'MS Pゴシック'(Windows)、'平成角ゴシック'(Macintosh)などのゴシック系のフォントを ブラウザが自動選択します。 ジェネリック・フォントはユーザー環境(Win / Mac など)を選ばないのでナカナカに便利な指定方法だと思います。 sans-serif の他にも serif(明朝系)、monospace(等幅文字)などがあります。

個人的に気に入っているのが IE6(Windows XP)で表示される sans-serif です。 コレだと欧文(半角英数字)が太字で表示される為、和文に比べて背の低い小文字アルファベットの可読性を高めてくれます。 sans-serif を指定すると IE6 では 'Microsoft sans serif' というフォントが適用されるようです。 'Microsoft sans serif' は日本語とアルファベットがワンセットになっているという特異な性質を持つフォントであり、 和文・欧文共にデフォルト・フォントとは異なる体裁(丸みの強いゴシック体)で表示されます。

Firefox の設定で sans-serif に適応させるフォントを 'Microsoft sans serif' にすると、 IE6 と同様のフォントになりますが、若干異なる点があります。 文字は拡大させていくと、ある段階で太くなるのですが、太字になるタイミングが IE6 の方が早いワケです。 つまり、小さめの文字サイズであっても IE6 の場合は欧文が太字で表示されるので読みやすいのです。 当サイトのように日本語ベースでありながら、文中に欧文が頻出するような文章の場合、 IE6(Windows XP)で表示される sans-serif が最も読みやすい形態であると思います(個人的には)。

しかし、IE のジェネリック・フォント対応に関しては致命的な欠陥があるらしいのです。 IE5.5 だと、sans-serif が文字化けを起こす可能性があるらしく、 コレを回避するためには固有フォントを指定するしかありません。 ただし、和文フォントを指定する場合、Windows と Macintosh の両方に配慮しなければなりません。 そこで、フォント指定において複数のフォントを記述する必要がでてきます。

font-family: 'Osaka','Microsoft sans serif',sans-serif;

例えば上記のように Mac向け、Win向け、ジェネリック・フォントという感じで指定すると良いのでしょうか? ただ、 IE では「ジェネリック・フォントにどの固有フォントを割り振るか?」という部分に関して、ユーザーからの自由な設定が できないようになっています。 私的なコトなんですが、実家にあったパソコン(Windows Me / IE6 )でこのサイトを閲覧すると、 テキストが汚なく表示されたワケですよ。 このサイトは(ここを執筆時点で)、sans-serif のフォント指定を行っているのですが、 実家のPCでは sans-serif に対応するフォントが妙なことになっていたようです。 sans-serif に対応するフォントをユーザーが任意で設定できるのなら、どうってコトのないハナシです。 読みやすい自分好みなフォントを割り振ればいいだけの理屈ですから。 しかし、IE では選択の自由がありません。 ジェネリック・フォントを指定しているWEBページを閲覧する際に見難いフォントが選択されたとしても、為す術がありません。 「XP + IE6」という環境下における sans-serif は素晴らしいのですが、 どうもそれ以前の状態だとジェネリック・フォントへの対応が酷いような気がします。 非常に腹立たしい結論となりますが、IE の旧バージョンがまだまだ2割程度のシェアを持っている現在('04年10月)、 ジェネリック・フォントを指定するより固有フォントを複数列挙した方が良さそうです。 さらに確実を期すのならば、本文に関してはフォント指定を一切、行わないコトです。 MicroSoft が IE においてヤッツケ仕事をしてくれたおかげで、CSS の font-family プロパティの機能は半分死んでいます。

関連執筆記事;フォント指定はマジやばいっす!


ミニマム・フォントサイズという概念

Mozilla.org の Firefox ではフォントに関する詳細なユーザー設定ができます。
Firefox 設定画面
上記の画面は Firefox (英語版)のオプション設定画面ですがフォント周りの調整として例えば以下の指定ができます。

つまり、デフォルト・フォントやジェネリック・フォントに割り当てる固有フォントを任意に選択できます。 また、フォント・サイズの下限値(ミニマム・フォントサイズ)も任意に設定できます。

Firefox では「絶対指定 | 相対指定」を問わずにフォント・サイズの拡大・縮小が行えます。 「ctrl」キーと「+ | −」キーの組み合わせによるショートカットで拡大・縮小ができるのですが、 自由自在にフォント・サイズを変えられるのは便利なものです。 ただし、ハイパーリンクで別サイトに移動する度にフォント・サイズを調整していくのも面倒なハナシです。 そこで、ミニマム・フォントサイズというモノを指定すると、指定サイズを限度にしてそれ以上は小さくなりません。 兄さん、コイツは便利ですよ。


©2004 webman60kg / リンクはご自由にどうぞ
E-mail : webman60kg@infoseek.jp