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言葉の選び方、タグと要素

ウェブサイト構築のヒント集 > 「言葉の選び方、タグと要素」

タグと要素

HTML を解説するときに、厳密には「タグ」という言葉は用いません。

欧文の日本語訳の結果なんですが、要素(Element )は「開始タグ」と「終了タグ」で囲まれた範囲全体を指し示す言葉です。 「開始タグ」(Start tag )と「終了タグ」(End tag )という言葉はありますが、「タグ」(Tag )という言葉は無いんですよ(厳密には)。 だから、「タグ」という単語を使うと、「あいつは初心者だ」などと思われる可能性があります。

「しかし、ちょっと待て」とあげあし取りの旦那に言いたい。 「日本マクドナルドのハンバーガー・ショップでハンバーガーを食べてきた」とか言うのか。 絶対に略語は認めない人なんですか...? あるいは 「出張で大阪市の支店に行ってきました」と、言うのか? 「工場は大阪府の南の方にあった」と、言うのか? だいたいやね、 「大阪」と発言して、「大阪市」とも「大阪府」ともとれるような具合で喋るのと違いますか、大概の人は。

「タグ」と書けば、「開始タグ」か「終了タグ」、あるいはその両方を意味していると考えるのが普通の思考です。 前後の文脈から筆者の意図を察するのが読書の基本でしょう。 それに、「要素」という言葉は一般的すぎて、何となく使いたくないんですよね。

「要素」で検索してみる
by Google in 2004

全検索数 約 7,030,000 件の1-10件目
順位タイトル抜粋ファイル内容
1物語要素事典死、謎、双子、などといった文学要素
2第9回 機械要素技術展技術博覧会の案内(トップ・ページ)
3HTML - link要素の使い方HTML解説
3位と同じサイトブロックレベル要素とインライン要素HTML解説
5XML用語事典 [要素]XML解説
6微量要素葉面散布剤肥料植物の肥料について(トップ・ページ)
7「グランツーリスモ4」の新要素 ...ゲームの紹介記事
8HTML 4.0 Elements(jp)HTML解説
9Elements total guide(HTML)HTML解説
10強調要素(b,big,blink, ...HTML解説

普通は「要素」なんて一般的すぎるワードでは検索しないのでしょうが、 思っていたよりもはるかに HTML解説関連 のサイトが食い込んでいました。 いずれも読むのには退屈だが正しい事が記述されているマトモなサイトという感じです。

「タグ」で検索してみる
by Google in 2004

全検索数 約 4,060,000 件の1-10件目
順位タイトル抜粋ファイル内容
1みんなのタグ辞書/HTMLタグ辞書HTML解説?(トップ・ページ)
2タグ講座・HTMLタグであそぼうHTML解説?(トップ・ページ)
3掲示板で使えるタグfont などの文字いじり
4タグの玉手箱HTML などを手広く解説(トップ・ページ)
5バスアンドタグ - 中古パソコンネット・ショップ(トップ・ページ)
6HTMLタグ JavaScriptサンプルなどHP作成支援サイト ...HTML などを手広く解説(トップ・ページ)
7Amazon.co.jp: 本: HTMLタグ辞典HTML解説の書籍を紹介
8【HTMLタグの簡単検索】TAG index ...HTML などを手広く解説(トップ・ページ)
97日で作る!タグ打ちホームページ -メモ帳で! ...タイトルの通り(トップ・ページ)
10株式会社 スペースタグSpaceTag概念を実現する(トップ・ページ)

一般社会でタグと言えば、クリーニングのタグだとか、商品に付けるICタグだとか、荷札という意味で使われるコトが多いでしょう。 タグホイヤーとかタグラグビーとかタグチも引っかかるみたいなので、400万ヒットという結果も妥当な線かもしれません。 それでも、相当な数は HTML のタグという意味で使われているみたいです (ちなみに「開始タグ」で検索すると約 20,500 件でした)。

特筆すべきはトップ・ページ、つまりはサイトのタイトルに「タグ」が含まれている割合の高さです。 サイトのタイトルに好んで用いるくらいですから、「タグ」という言葉の一般的認知度はかなり高いものなのでしょう。 あと、キャッチ・コピーがキッチュな感じのものが多いですね。 イマジネーションを感化されたので、似たような臭いのするタイトルを考えてみました。


アカデミックな香りと初心者っぽい臭い

明確な住み分け

「要素」と「タグ」で検索した結果、上位に表示されるファイルが全く別々の一覧になるのは当然のコトです。 しかし、「要素」の方はいずれもアカデミックな香りが漂い、「タグ」の方はカラフルで文字が小さいという、 それぞれはっきりとした傾向が見られたコトに愕然とさえしました。

「要素」を使いたがるのは論理派の物知りさん、「タグ」を使いたがるのは初心者向けサイトのオーナーという具合に パックリと分断されたのです。 「要素」のサイトに見られる傾向は、文字サイズがデフォルトであり配色も落ち着いた(地味な)テイストでありました。 筆致も論理的な感じで、(退屈ながらも)まっとうなコトが書かれています。 私もこれらのサイトで勉強させていただいたものですから、知っているサイトばかりでした。

一方、「タグ」使いの人びとは見栄えと分かりやすさに重きを置いてサイトを作っているようです。 「タグ」という単語を使うと「あいつは初心者だ」などと思われる可能性があるとは冒頭で書きましたが、 ナルホド何となくこういった風潮の背景が分かってきた気がします。

解説書籍について

タグ検索で第7位だった「HTMLタグ辞典 / アンク (著)」は、私も(第5版を)購入して読んでおります。 本の帯に「泣く子も黙る80万部突破!!」と記載されているので(現在はそれ以上か?)、著者にしてみれば笑いが止まらんのでしょう。 それで、この本なんですが、購入した当時は本格派の専門書だと思っていたものです。 そして、月日は流れて現在の感想なんですが 「別に間違ったコトは書いてないが、何か不親切な本ですな」という具合に変わりました。

HTML に関する 90 から 100 くらいの要素(タグ)が紹介されており、 align や bgcolor といった属性が各要素ごとに数種類ずつ(本全体では数百種)紹介されています。 これらが強弱を付けずに平等の扱いで列記されているので、 下手したら <p> や <strong> といった使用頻度の高い要素を見落としてしまいます。 それに一度も使ったコトがないような要素や、CSS で扱ったほうがよいレイアウト関連の属性を丁寧に説明していたりで、 重要な事実がどうでもいい話題の中に埋もれてしまっている感じがします。

例えるなら 「2004年の重大事件は?」と聞かれて、 順位を付けずに50個くらい列挙するようなものです。 何が重要なのかてんで分かりません。 「辞典」を名乗っているので仕方ないのかもしれませんが、読まないページの方が多いってのは...ねえ? 初心者にしてみれば 基本を学べないし、ある程度分かっている人だと気になる点が山ほど出てくるダケなので中級者の方に限定してオススメしときます。


SEO とは

SEO とは、検索エンジン経由でターゲットとする人たちにたくさん来てもらうコトを目的とした技術です。 他のファイルからリンクされている具合を示す「被リンク指数」と、 検索する言葉とファイル内文書の適合性を示す「キーワード・マッチ」が検索順位を上下します。 例えば健康に良いお茶を販売しているサイトが、「健康茶」で検索して10位以内に表示されれば SEO が成功したなどと言います。

おそらく、「要素」で検索する人より「タグ」で検索する人の方が多いでしょう。 巷では HTML=タグ という認識もあるようであり、かなりの人たちが「タグ」を検索ワードの中に紛れ込ませているかと思います。

正確な言葉で正確な内容を記述したとしても、検索エンジンで検索されにくいワードで構成されているならば、 大勢のビジターが(検索エンジン経由で)押し寄せてくる可能性は低くなるでしょう。

キーワード・ピラミッド

初心者が選びそうな検索ワードといろいろ知った者が選びそうな検索ワードは、異なるものになるでしょう。 あまり知らない時期は検索する言葉も限られてくるのでしょうが、 何やかんやと知ってしまうと一体どんな言葉で検索してくるか分かったもんじゃありません。

つまり、ここで一つの仮説を立ててみたワケです。 初心者向け講座を名乗った一部のトップ・ブリーダーたちのサイトにアクセスが爆発的に集中するのは、 初心者たりうる人々が選別する検索ワードはバリエーションが少ないため、「当たったら」ものすごいヒットになる理屈です。



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