NSR[NKD Scientific Research]機動装備図録 Vol.
68040
SUZUKI SV400S(99)
フィールドワークを重視する調査機関NSR。
謎のベールに包まれているわけでもないが、きっとみんな詳しくは知らない機動装備の数々を紹介しよう。
今回は、2000年から主にガイが使用している自動二輪車、スズキ自動車製SV400S 初期型をベースにした「マシンSVG(SV
Guy Special)」を紹介しよう。
・・・えー、簡単に言うと、愛車を紹介するページとも言います。
とりあえず諸元。
最高出力:39kW〔53PS〕/10,500rpm
最大トルク:41N・m〔4.2kg・m〕/8,000rpm
乾燥重量:167kg
これ以上知りたい人はSUZUKI のサイトへ。で、これまでに改造したところについては、こっちのページ。
項目としては、ステンレスメッシュブレーキホース、ヨシムラサイクロン、イリジウムプラグとなる。あと、消耗品なのでアレですが、確か後ろのブレーキパッドは赤いヤツ。タイヤはミシュランのパイロットスポーツになってます。さて、このページでは、その後新たに手を加えた部分について紹介しようと思う。その上で、ある程度乗り込んだ現在の自分なりのインプレッションを語ってみる。
追加の改造 その1
スプロケット交換+ RKゴールドチェーンSVのエンジンはなかなか優秀だと思う。同クラスでは最大のトルクは、低回転からかなり厚く、排気量以上のものを感じさせる。それでいてVツインながら最高出力を発揮する10500回転を超えて12000回転あたりまでは一気に回る伸びの良さもある。
しかし、いかに優秀とは言え、最近の大型スーパースポーツの凄まじい加速には歯が立たないのは事実だ。敵の乗り手がヘタレならともかく、一定以上のレベルのライダーだとやはり圧倒されてしまう。そこで、最高速はともかく、コーナー立ち上がりの加速で少しでも食い下がれるようにと、スプロケの歯数を変えて加速寄りにファイナル変更した。実はどう変えたか忘れてしまったのだが、歯数を計算して、通常の1速が2速近くになるようにした。
加速はよくなった。1速全開で引っ張るとフロントが浮く。2速に入れてからもかなり力強く加速できる。・・・しかし、これには思わぬ弊害があった。エンジンブレーキも痛烈になってしまったのだ。シグナルグランプリなら確実に強くなったろう。だが、コーナーでは進入時に1速に入れるとエンジンブレーキとトルクが強烈でコントロールが難しくなり、2速しか使わなくなってしまった・・・結局、当初の目的とは逆効果になってるような・・・。
まあ、ビジュアルは良くなった。やはりゴールドアルマイトのスプロケはイイ。
追加の改造 その2
ブレンボ4ポッドキャリパーまず、フロントのキャリパーを換えようと決心したいきさつを。
ある日、滅多にやらない洗車をして、ホイール周りを拭いていた。ディスクに隠れた部分は拭き難い・・・と思ってディスクのない方(初期型はシングルディスク)から改めて足回りをじっくり見た俺は驚愕の事実を知った。「・・・内側にピストンがねェ!!?」このマシンの後期型はダブルディスクになっているのだが、軽さが取り柄のマシンにそれは無用だね、俺は結構激しく走る方だがシングルでも不足はないぜ?などと思っていたのだが、まさか片押しキャリパーだったとは!そんなの教習所の教科書でしか見たことなかったのに!まさか現存していて、しかも俺のバイクに装備されているとは!
今まで乗り継いだマシンには必ず対向4ポッド、あるいはそれがダブルで付いていたので俺は結構ショックを受けた。擬音で言うと「ガビーン・・・」というくらいに。
そこでネットで調べたりしてからバイク用品店(ドライバーズスタンドにりんかん)に行くと、キャストのブレンボは\16,000で売っていた。・・・安いじゃない?ってことで購入。実際には、取り付け台座と工賃で3万近くはかかっているけど、まあ思ったよりは安いなと。
結果として・・・たぶん、コントローラブルになっている。実は、俺はこういう変化に鈍感なようでよくわからない。でも思い出すに、純正の片押しキャリパーの頃は、効かせる為にはかなり握り込んでいたから、強く制動した際の微調整は難しかった。それが改善されたと思う。あとは、なんつっても見た目に格好よくなった。前の黒くて野暮なのに比べ、金色で台座は削りモノなので武骨な感じがイイ。
追加の改造 その3
WR'S バックステップこれは、フロントのキャリパーを買いに行った時に発見して、衝動的に欲しくなって付けてしまった。ノーマルでバンク角が足りないというようには感じていなかったし、位置も悪くなかった(もともとSV-Sはカウル無し無印SVより後ろ/高めのステップ)のだが、なにせ格好いいなあ!ってのがあって。
でも、店の能書きにあった「位置の変化もあるが可倒式でない高剛性のステップはマシンコントロールしやすくなる」ってのに惹かれたのもある。実際、ハングオンで走る時に、自分のステップワークの不味さもあるんだろうが内側のステップがぐらつくことがあったからだ。コーナリング時に腰を内側というか下に入れてくので、ステップを蹴りあげるようになり、ステップが動いてしまうのだ。
バックステップにしてから、そういうことはなくなったし、確かにカチッとした踏み応えになった。でも、踵がタンデムステップのステーに引っ掛かることがあるのが玉にキズだ。
ステップ自体の踏み心地に加え、部品がしっかりしたためにシフトの操作感がよくなったのは予想外の収穫だった。見た目は・・・写真では差がわかりにくいが、実車を間近で見た場合には確実に質感もあがって格好よくなった。まあ、これで満足でもある。
なんかメカニカルな感じがよい・・・
総合インプレッション
さて、こうしてちょびっとは改造もしてみたSV400Sの走りはというと・・・まずまず、と言った感じだ。これがまた微妙で、まさに「まあまあ」「ほどほど」と言った印象。
ただ、ネット上で見かけるSV400Sのオーナーのインプレではしばしば見受けられる、「ツアラーである」という表現は、俺は適当でないと思う。3000回転あたりで充分走れるとか言ってるのも見かけた覚えがあるので、そんな走り方ならそんな印象かも知れないが。
このマシンは、なにせ低回転にもトルクがあるので、確かに3000-5000回転くらいを使ってても普通には走れる。俺も慣らしの初期はそんな程度にしてたし。でも、本来の持ち味を発揮するのは、間違いなく7000-12000回転あたりのいっぱいいっぱいゾーンを使った時だ。軽くてよく曲がる車体と相まって、タイトなワインディングでは結構な戦闘力があると思う。結構な、というのがピンとこねえや、という向きの為に敢えて説明すれば、相手がR1だったとしても、そいつが大した腕でなければ充分に勝ちに行けるということだ。
俺も特別な訓練をしてるわけではないが、一般レベルとしてはそこそこの腕前と自負しているので、これで大排気量車と張り合うことに愉しみを見い出している。
しかし、それでもこのマシンが「まあまあ速い」な理由は、排気量不足から来る限界ではない。最近、ちょっとしたサーキットを走っていた(こちら参照)のだが、ここでは宿敵の隼を含めて多くの「スーパースポーツ」マシンと混ざって走っているのだ。
この環境で走っていると、自分の遅さを全てマシンに押し付けるわけではないがやはりいろいろ不満も感じる。まず、決定的にパワー不足はある。400でも、もっと搾り出せるんじゃないかと思うのだが、それだと直4の方がいいのだろうか。あるいは、53psの自主規制があるようなので出せないのだろうか。とにかく、直線に続くコーナーの立ち上がりでは、もう一押しのパワーがあれば、と感じるのが正直なところだ。
それから、これは俺のファイナル変更が裏目に出ているのもあるが、エンジンブレーキが効き過ぎてコントロールしづらい。
あとは、フロントサスが、特にある程度の時間激しく走った後はそうなるのか、ダンパーが効いてないような状態になってフワフワする。しかし、こういった不満は、裏を返せばそういう系統の使い方でもそれなりには走るということなので、やっぱり、繰り返しにはなるが、SV400Sはツアラーではなくてスポーツバイクだと思う。
まあスーパースポーツと云われる類いに比べれば、ポジションも楽で街乗りも気軽なので、ある意味オールマイティだと言えるかな、と言うのがとりあえずの結論でしょう。
しかし・・・遣り手のライダーが乗るスーパースポーツ(例:YZF-R1とかCBR954RRとかGSXうんじゃかとか・・・)と張り合おうとしてる時以外にはパフォーマンス不足は感じない、これは排気量や価格を考慮して冷静に考えると、かなり高く評価していいのでは、とも思えるか。