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Reports ゾヌ −秘匿された食用動物−

食肉業界の公然の秘密

食用動物ゾヌについて

[Report By Jollie 1995]

※下の方に写真とイラストが追加されました(1996.6.6)

食肉とされる動物で、みなさんが連想するのはどんなものがあるだろう?

牛、豚、鶏。これは誰でも知っているだろう。
少しよく思い出してみれば、
馬、鯨、鴨、羊なども普通にスーパーマーケットで買えることに気づくだろう。
変り種はまだまだある。
日常的には食べないが、地方の特産だったり、お土産用の缶詰だったり、
あるいは、他国の料理用に利用されるものの例をあげると、
兎、鹿、猪、トド、アザラシ、キジ、犬、ネズミ(クイ)・・・カエルワニは爬虫類、両生類でちょっと「肉」のイメージと違うが、 味は鶏肉に似ていて、アジアの料理では普通に食材として使われる場合もある。

カエルは日本にも「食用ガエル(ウシガエル)」がたくさんいるので言わずもがなだが。
このように見ていくと、我々は意外に多くの種類の動物を肉として食べている、または食べることができるということが見えてくる。

ただ、これらは大抵の場合、もはや希少な食材となっていて、意識的に食べないとまず我々の口には入らない。 やはり、常日頃からお世話になっているのは牛豚鶏の3点セットじゃないかな・・・・と、皆さんは思っていないだろうか?

これが実は違うのだ。

我々が、普段、○○の肉、と思い込んで食べているけど実は少し違う・・・そういうものが存在するのだ。
はっきり言ってしまいましょう、
コンビに弁当などに入っている「唐揚げ」、アレである。

もちろん、全ての唐揚げがそうではない。
「国産若鶏唐揚げ」などと表記されているのは、鶏だ。まあ、昨今の食肉会社の状況を見ていると、 「国産」の部分は疑わしいが、それでも鶏ではあるだろう、ブラジルあたりの。

しかし、安い「のり弁」にひとつだけ入ってる唐揚げ、また、特になんの表示もなく「唐揚げ」として売られているもの・・・ それらは、実は「ゾヌ」の肉を原料としているものが多いのだ。

昔から、加工食品にまつわる都市伝説は数多い。

曰く、「マクドナルドのハンバーガーはミミズ肉だ」など。これははっきり言ってだ。
あのハンバーガーの味は他のハンバーガーとは違う独特の味がするから、という人がいるが、そんなことはない。
あれは「牛肉100%」だから独特の味なのである。試しに自分で、牛ひき肉を買ってきて、調味料・つなぎを一切加えず(塩コショウもなし)、 ただコネて焼いてみよう。まさにマックのハンバーガーの味になるので納得いただけると思う。
だいたい、ミミズは夜尿症のクスリに使われたくらいで、食べると強力な発汗作用があるので、 あんな大量にミミズを食べたら大変なことになってしまうのは自明だ。
オーストラリア産のハンバーグ専用巨大ミミズがいて、輪切りにするとちょうどハンバーグになるとか云うのも聞いたことあるが、そういう人はミミズの解剖をしたことがないのだろう(普通はしないか)。ミミズにだって内臓はあるのだ。

さて、何故かマクドナルド擁護に脱線した話を本題に戻すと・・・ゾヌ肉はけっして都市伝説などではない。あえて乱暴に断定すれば、銘無しの弁当唐揚げは本当にゾヌ肉である

ただし、驚くことはない。
ゾヌは、ミミズのような怪しい食材ではなく、他の肉同様に、純粋に食肉用に飼育されている動物。
味はあっさりして鶏に似ている。ただ、鶏より脂が少なく、淡白というよりパサパサしているといった方がいい感じだ。
短期間によく殖え、狭い敷地でも飼育できる(まさに鶏のようにケージで飼育できる)ので、食肉に適している。
ただ、
容姿が犬に似ているためと、現在はより味のよい鶏も安価になり、ほとんど加工食品用の需要しかないため、 消費者の反発を懸念してあまり公にとりあげられることはなかったのだ。

1950年代に撮影された野生のゾヌ。
飼育下のものより少し大きな体躯である。

走るのが非常に速く、
「ハネバシリ」などという地方名もある。

加工されるゾヌ肉(中央)。
右側は鶏肉。

これは生後30日以内の若ゾヌ肉である。
銘柄種の若ゾヌ肉は特に淡白で、
むしろ高級食材と言える。

取材協力:(株)全四農ミートデリバリー

ゾヌの原産地は中国大陸だが、朝鮮半島を経由して日本に伝わったとされている。
天保の大飢饉の頃(170年ほど前)に境港から出入りしていた渡来人がもたらしたものだが、中国地方ではあまり受け入れられず、 四国で家畜として定着したらしい。
以来、食糧事情の安定化によってその役割は小さくなったものの、 四国の一部では細々とゾヌの生産が続けられてきた。

細々とは言ってもゾヌは大変生産性の高い家畜なので、相当量の出荷が可能である。
また、ゾヌの飼育は飼育舎で行われているので、旅行などで訪れてもそれとは気づかないかも知れない。

このように、養ゾヌ産業をめぐる背景は微妙だが、四国の特に西南部にはいまでもゾヌにまつわる諺や慣用句などを聞くことがある。
例えば、「
ぞぬの鳴く夜は恐ろしい」とは、かつて畜産施設が現在のように近代化していない頃、しばしばゾヌを絞める ときの断末魔が聞かれ、その恐ろしい鳴き声が子供などに大変恐がられたことから使われるようになった言い回しである。

もっとも、現在では近代的な方法で飼育・処理されているので、ゾヌ舎付近の地元も子供でさえ、そこでゾヌが飼育されているとは 知らないことが多いようだ。
ゾヌは、鶏に較べても体臭が少ないので周囲にいわゆる「家畜臭」を発することはほとんどないのも、養ゾヌ業がこれまで公になりにくかった一因だろう。

蛋白源としては非常に優秀なゾヌだが、やはり愛玩動物である犬によく似た外観と、旨みで勝る鶏が輸入も含めどんどん安価に市場に 出回るようになり、その需要は近年激減している。

おそらく、コンビニ弁当の唐揚げなどにも、近い将来ゾヌが使われることはなくなることだろう。

養ゾヌ家の高齢化に加え、もともと食材としての存在の公表が食肉業界からタブー視されているところもあり、 養ゾヌ産業もひっそりと姿を消すと思われる。

しかし、剣山山地の西部ではまだ野生のゾヌがいると云われているので、もしかしたら将来もゾヌを見つけけることもできるかも知れない(ただしその数は非常に少なく、1987年以降には姿を目撃されてはいない)。


ゾヌ:
中国大陸原産。19世紀初頭から前半に日本に家畜として移入され、四国に定着した帰化動物。 頭部は犬に似る。短い茶色の毛で覆われ、長い尾を持つ。また後肢が特に発達して強い。 繁殖力が高く、淡白で臭みのない肉質のため、食用として用いられる。古くは憎濡、詛濡とも云われ山村の民間信仰・伝承に登場することも。

一般的な犬より舌が長く、また眼が明るい。加えて、走るのは非常に速く、全速力で走る時には後肢のみで跳躍するように走る。長い尾はその時にバランスをとるために役立っているようだ。
知らない者が偶然に野生のゾヌに遭遇すると、最初は犬と思うことが多い。が、その後に犬にしては奇怪な(ゾヌとしては当然な)行動を見て、UMAだ、物の怪だと騒がれることもあったようだ。