Reports ひと味違う温泉宿
四国・若宮温泉
ここでは俺がかつてバイクで四国を訪れた時に見つけた素晴らしくイカす温泉宿を紹介しよう。場所は高知県、土佐山田町だ。その日、剣山にソロモン王の秘宝の調査に行った後、国道195号線から国道32号線へと入り、北の瀬戸内方面に向かっていた。剣山で予定以上に時間を取られたので、近道をしようと土佐山田町の地方道へと進入して行ったのだった。どこか泊まる場所はないかと思いはじめた夕暮れ近くに一軒の宿を発見したのであった。その宿とは・・・。
道幅は狭く、鋪装は傷んでいた。交通量も少なく、店や民家もまばら、というより無くなっていた。そんな寂しい道に、その宿はあった。おもむろに視界に飛び込んで来たのは、やたら賑やかな看板の数々であった。
「日本のルーツ」「NHK全国放送」と、ブリキ板にペンキで大書きされていた。なんだ?おもわずバイクを止める。と、道の向いには小さな祠があり、なにか祀られている。狐だったかな。だが、祠はそうとう傷んでいる。が、傷んでいるのはそこだけではない。よく見れば、看板もかなりやばい。宿は?それは道の左手の崖のしたに建っていた。温泉宿には似つかわしくない、4階建てくらいの白いビルだった。周囲にほかには建物はないし、入り口と書かれている場所から下っていく道もあるから間違いない。しかし、なんだこりゃあ?屋上の看板、塗りつぶしたみたいだけど見えてるんだよね。「なんとか病院」って文字が。病院じゃねーか。それなら納得いくな、このビルのかたちは。
おいおい。なんか面白いなあ?しかし、もっと面白いのは看板に書かれている内容だ。所狭しと掲げられたブリキの看板の数々には、なんとも刺激的な内容が。「 四国の真ん中はココ!」まあ、だいたい地理的には真ん中だな。「ユースホステル」それはウソだろ。「イザナギ、イザナミのミコト夫妻が御宿泊」それは間違いなくウソだろ。「神に仕えた卑弥呼女王は年中生野菜」へえ。そうだったんだ。「ビデオを見つつ」どんなんだよ?誰かが浮いたりするやつか?「7億トンの巨石(のある露天風呂)」ちょっと質量でか過ぎないか?「ローマ法王まで動かした」ふーん・・・。まあ、すごいよね。なんかとにかく。なんか看板によると修行もできるらしい。各曜日にそれぞれ七福神を割り当てて、それに応じた修行メニューが用意されてるようだ。この宿に泊まれば普通とはひと味違う、カルトチックな夜が過ごせること請け合いですよ!・・・一般社会に帰って来れるかわからんけどね。
俺?もちろん泊まらなかったよ。
入り口の前で止まってたら、クルマで通りすがったおばちゃんに「そこはダメよ!」と忠告されちゃったし。