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Reports 漢勝負SV400S

SV400S (サイクロン号)の話 巻の弐
VS. ミレニアム・ファルコン号

2001年のある日。
遂に対決の時は来た。
ガイの駆るサイクロン号は400ccであるのに対し、
ジョニーのミレニアムファルコン号は1300ccのモンスターだ。

普通に考えれば勝負は見えている。

しかし、これは漢勝負だ。

漢勝負の勝敗を決する基準は唯一つ。
自分が、漢として、負けたと思ったら負けだ。

曖昧だと思うかも知れない。
だが、漢同士の勝負ならば、これこそがもっとも明確にして
かつ、偽ることのできない基準なのだ。

誰に嘘をついても、自分の漢としての心は偽ることができないからだ。

SV400S vs. GSX1300R

1. 序章

 2001年のある日、我々はかつての大学のバイクサークルのメンバーで西伊豆へとツーリングを敢行した。
 他の者は「平日は行けない」などと寝言を抜かした者を除外した為、参加者は3名。SV400Sのガイ(つまり自分)、GSX1300Rのジョニー、SDRのソニーだ。

 大型派でニンジャ、ファイヤーブレードなどを乗り継いできたジョニーと、軽量を好みTDR、R1-Zなどを愛車として来た俺は、常にツーリング先で熱い漢勝負を繰り広げてきた。そして今回、社会人となってから乗り換えた新たなマシンで、初めての対決をする時が来たのだ。

 ここで、各自のマシンについて語っておこう。俺のサイクロン号は、スズキのSV400S(初期型)だ。高回転型のV型ニ気筒エンジンにアルミトラスフレーム、シングルディスクを組み合わせて、400ccでは際立った軽量に仕上げられたマシンだ。軽量と短かめのホイールベースを活かした旋回性が肝だと俺は思っている。この利点をさらに高めるべく、ヨシムラのカーボン/Tiマフラーとデンソーのイリジウムプラグを装着している。

 一方、ジョニーのミレニアムファルコン号は、インジェクションの直列四気筒エンジンから170馬力を発揮し、ノーマルで時速300km/hを可能にしたとんでもないシロモノだ。NGKのイリジウムプラグと、SP忠男のスーパーコンバット(マフラー)を装着している。高速道路では無敵といっていいだろうが、大柄な車体を峠で扱うには相応のテクニックが要求されるだろう。

 ついでにソニーのマシンSDRだが、これはミレニアムファルコン号とは正反対と言えるマシンだ。オフロード系の2ストローク単気筒エンジンを極細の鋼管トラスフレームに積んだ車体は、重量わずか105kg。ソニー本人もまた超軽量級の男(45kgくらい)な為、人間とバイクをあわせても、普通の400ccのバイクのみよりも軽い。この軽量を活かした機敏な走りは走行条件次第ではかなりの戦力になるが、ソニーの腕前は非常にショボいので、今回は気にすることないだろう。彼は日常では毎日のようにバイクに乗っているが、峠などに行ったことはほとんどない。かつて同じメンバーで奥多摩に行った時も、数kmの峠を走っただけで5分くらいは遅れをとるような状態だったのだ。

2. 崩壊

 当日、俺はソニーと落ち合って調布から中央高速に乗った。ジョニーとの待ち合わせ場所である談合坂SAまでが、いわば第一スペシャルステージ(SS)だ。高速道路、しかも空いている。ここは2倍ある排気量の差を見せつけてやらねばなるまい。そう思い何気なく加速した瞬間、異変は起こった。「バリブリバリ・・!」エンジンが異様な音を発し、急激に回転が落ちたのだ。失速した俺は変更しかけていた車線を慌てて一番左に戻した。動揺する俺をソニーのSDRが当然のように抜いていく。・・・なんだ?何が起こったというのだ。異常は既におさまっていた。まあ、なにか俺のアクセルワークが雑過ぎたとか、そんなところだろう。再び、ウィンカーを出し、加速しながら追い越し車線へと割り込む。「ソニーよ。束の間の先行を楽しむがいい。すぐににブチ抜いて格の違いを見せつけてくれよう・・・。」俺はヘルメットの中に不敵な笑みを浮かべてアクセルをワイドオープンした。その瞬間、「バッバッバ・・・バブリッ・・・!」今度は失速どころではない。エンジンが止まりかけていた。慌ててハザードを点け路肩によった俺を、いま抜いたばかりの枯れ葉マークの軽自動車が追い抜いて行く。・・・バカな?あまりにもエンジンの回転が伸びない。先先週に東北道を走った時は、こんなことはなかったぞ?・・・いや、素直に認めよう。これは、伸びない、などというレベルではない。明らかに故障しているではないか・・・。

 俺が屈辱の追い越され車線走行を余儀なくされ、2回の緊急停止(高速でエンジンが止まるのはなかなか恐いものだった)を経て談合坂SAに辿り着くと、そこには百万ドルの笑みをたたえたジョニーとソニーが待っていた。「・・・すまん。マシントラブルだ。」苦笑して遅れを詫びると「おやおや、もう敗北宣言ですか?」・・・ちくしょう。なんてことだ。こいつらは既に俺を負け犬と決めつけてやがる・・・。だが、見てろ。俺は走行しつつ800MHzの演算速度で原因の特定を進めていたのだ。直前におこなった作業で思い当たるのはひとつ。プラグ交換だ。先週、勝負をまえに少しでもパフォーマンスの向上を果たすべくデンソーのイリジウムを装着していたのだ。あの時、工賃をけちって自分で装着した際になにか間違いがあったに違いない。すぐさま車載工具を取り出し、メンテナンスハッチを全開にする(サイクロン号はサイドカバー、シート、タンクを外さなくてはプラグに手が入らない。前側のプラグはさらにカウルとラジエーターも外す必要がある)と、プラグの締め付けをチェックする。・・・なんかユルい。気がしたので、ぐっと締め付けておいた。これで完璧だ。俺様にぶち抜かれた瞬間に、やつらの薄ら笑いが凍り付く様を想像して俺はほくそ笑んだ。

3. 誤算

 「OK、行こうか。時間を取らせて悪かったな」
 苦笑いしながら俺はジョニーとソニーに告げた。エンジンを始動し、2、3度軽くスロットルを捻る。・・・悪くない。タコメーターの針は軽快な反応を示している。俺は、申し訳ない、といいつつも、心中では「今度はこっちが待つ番かな・・・せいぜい、しっかりついて来いよ・・・?」などと余裕の悪態をついていた。さあ、ここからが本番だ。俺のサイクロンの底力を見せてやる。

 3台のマシンが、軽く車体を傾けながら加速車線に流れ込んでいく。この時点で俺は最後尾にいた。もしも、また調子が悪くなったら追突の危険があるかもしれない、と言って一番後ろを買って出たのだが、本心は違う。最初から前にいるより、後ろから爽やかにぶち抜いてやりたかったのだ。
 加速車線の中程まで来たところで、俺は早くも勝負に出た。本線に合流すると同時に2台を抜き去ってやろう。ギヤを一段落とし、レブをパワーバンドに突入させる。サイクロン号では8000rpmほどだ。この時点で、市街地ではめったに使わない出力が発生している。さらにアクセルを開ける。最大出力を発生する10000rpmオーバーまで一気にふけ上がり、vツインらしからぬ咆哮とともにジョニー達をバックミラーの彼方に消し去る・・・・筈だった。しかし、サイクロン号にかかった呪いは未だに解けていなかった・・・!
 再び、湿った不規則な破裂音とともに、サイクロン号は失速した。俺は、なかば呆然と本線に合流していく2台のマシンを見送った。ソニーと言えば、マシンの性能の25%も発揮できないような屁垂れライダーの代名詞のようだった男だ。ジョニーのマシンは確かに強力だが、虚をつけば充分な勝算があった筈だ。・・・しかし、今の俺は2人に待ってくれ、俺を置いていかないでくれ、と願っている。何故だ。何故、俺がこんな思いをしなければならない!?

 騙し騙し走り、勝沼インターまで到着すると、2人は既に一服していた・・・二服も三服もしていたかも知れない。とにかく、これでは話にならない。我々は地図を広げ、全国に拠点をもつ「赤男爵」の館が近くにないか探した。幸い、それは比較的近い場所に発見できた。バイクを持ち込み、症状を話す。原因が分からないが、とにかくプラグ交換をしてからひどくなったので、もとの状態に戻して欲しい。赤男爵は快く依頼を引き受けてくれた。サイクロン号にかかった呪が、これで解ける保証はない。しかし、今の俺には、他に打つべき手はない。そう思い、一万円弱を投資して装着したイリジウム・プラグを捨てる決心を、俺はした。

4. 復活

 (未入稿)

5. 拮抗

 (未入稿)

6. 忍び寄る影

 (未入稿)

7. 地に堕ちた赤い彗星

 (未入稿)

8. 開かないスロットル

 (未入稿)

9. 復活の赤い彗星

 (未入稿)

サイクロン号 戦績
〜赤い彗星への道〜

注意これはレースなどではなくて、その辺の峠で前を走ってる奴に対し、
俺が一方的に勝負して勝手に結果を出したものである。
すべては、俺のフィーリングによって判断されており、
相手は俺の事に気付いてもいなかった可能性もあり得る。

したがって、俺が勝ったと思っていても、
それは相手がゆっくり流していただけ
、ということも

あり得ないとは言い切れない。

まあ、峠でひたすら往復してるんだから、全然飛ばしてないっていうことはないと思うけどね。

対戦相手 リザルト

ステージ

コメント
NSR250RS 辛勝 奥多摩 立ち上がりは互角。突っ込みで勝負だ。
GPZ900R(忍者) 圧勝 奥多摩 コーナーの50mくらい手前からハングオン?してはいけないだろ。忍者が泣くぞ。
ZRX 辛勝 奥多摩 若干詰められる
GPZ1100 五分 奥多摩 突っ込みで頑張る。離されないけど、詰められない。
YZF-R1 敗北 奥多摩 コーナーを抜ける毎に距離が・・・
ミレニアムファルコン 五分 伊豆スカイライン コーナーでは詰められう。で直線で離される。もっとタイトな峠ならば負けんよ。

対大型車の勝負を考える:結論

はり、基本的にはパワーのあるマシンは速いね。

しかしだ。

峠みたいなところでは、やはり腕の差は大きい。
勝敗をわける要因は、「
腕7:性能3」てとこじゃないのかね。

「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差でないという事を教えてやる!」
・・・と、誰かも言っていたし。

特に、我々はレーサーじゃないから、余計に腕前のレベルはバラバラだからな。
それにしても、自分のより性能いいマシンと渡り合うのは面白い。
特に、大排気量車を峠で撃墜する快感といったら・・・

「あれ?どうしちゃったの?3倍もパワーあんのに?」
「不思議だな〜、絶対そっちのバイクの方が速いのにな〜」
「あ!そうか!」
「乗り手の問題か!そっか〜、ガンダムもヘタレが乗ればザクにやられちまうんだもんな〜」

最高ですわ。

ちなみに、敗北した時はすべて排気量のせいにすることにしている。