remove
powerd by nog twitter
NSR
世界最強最速検索!
NSRストロング
 
Web NSREX

NSRDB
聞いた事ない生物名はまずここで基本情報を!
謎の生物データベース

話題の環境保護デジタル絵本
Keep the Water Clean

噂のマイティフロッグが跳ねる!
ZX-6Rをおおいに語る会
おおいに語るBBSもあるぞ

自称・赤い彗星の軌跡
SV400Sをおおいに語る会
活動は休止してますが記録は読めます

NSR管理者のビターな呟き
「ガイさんの苦言」

情報/質問/感想はこちら
コンタクト NSR


ご注意
リンクについて:ご自由にどうぞ。「相互リンク」はしません。返事が面倒なので一報はいりません。
その他はトップ画面のこの位置を参照してください。

Banner: Large / Small

広告:amazonを使ってみよう

[広告]




Reports フライドチキン食べ放題に挑戦

ジョブジョンの閑話休題

フライドチキン食べ放題にトライ

たいした話じゃないんだが、「チキンと言えばのケンタッキー」のKFCで、食い放題キャンペーンをやっていたので挑戦してみた。

俺はけっして大食いな方ではないが、自他ともに認める肉好きである。
脂やしつこさ、獣臭さには強いので、腹一杯まで肉のみを食うことができる。
焼肉を食っても、サンチュやキムチ、ましてライスなど無用。肉のみでよし、というのがポリシーだ。
そんな俺のゲルマン魂をも感じさせると噂されても不思議ではない胃袋がどこまでKFCに通用するか?


レギュレーション

エントリー・フィーは800円だ。制限時間は45分。また、開催時間は13:00から17:15。食えるのはオリジナル・チキンのみ。チキン以外はもちろん、辛いチキンやクリスピー(骨無し)などは対象外。また、チキンの部位の指定はできない。最初に4ピースのチキンが提供され、これを食べ終わったら追加を貰いにいける。ただし、追加は一度に1ピースまたは2ピースずつ。


それでは、ケンチキ食べ放題体験記を、どうぞ。

 その日、俺は昼食をとるためにケンチキ(ケンタッキー・フライドチキ)に入った。注文したのはジンガーサンドのセット。チキンを頼まないのは、俺としては非常に稀だ。さて、頼んだものを受け取り、席に着くと、机になにやら貼ってある。

「この席は、オリジナルチキン食べ放題チャレンジ専用席となっています」

 なにぃ!?サンドを頬張る手が止まる。同じようなファーストフードチェーンであるマクドナルドに比べどうしても少し高めの価格設定になりがちなケンチキ。特に中高生の頃にはその微妙な価格差はいかんともし難いところがあり、ケンチキはハイソの食事、というイメージがあった(俺だけか?)。コールスローやポテトはどうでもいい。あの、唐揚げとは違う「フライドチキン」を腹一杯食ってみたい・・・。俺はCMでバケツのような紙箱に満載されたチキン・・・それは「パーティー・バーレル」と呼ばれる・・・を見る度に、憧れに近い感情を抱いていた。
 「パーティー」を名に冠するあたり、やはりケンチキはハイソなのだ
(俺の家庭には誕生パーティやクリスマスパーティという文化はなかった)

 社会人となった今では、もちろんチキンごとき腹一杯になるまで食うことはできよう。しかし、それを実行することはなかなかできない。憧れを満たすような非日常的な行為にはきっかけが必要なのだ

 いま、その「夢に挑むきっかけ」が俺に訪れていた。この機を逃しては、二度と、思う様フライドチキンを食い捲る、ということに挑戦しようなどという気は起こるまい。これは、普通に食って腹一杯、って意味では無い。むしろもうになるほど食べる、ということだ。

 うっかり他のものを注文して食ってしまったことを俺は悔やんだが、よく見ると13:00からしか受け付けていないことがわかった。現在時刻は12:38。どのみち、まだ受け付けていなかったか・・・。

 しかし、キャンペーン期間は限られている。俺にとっては、挑戦できるのは今日だけだ。そこで俺は夕方に出直して、「チキン食べ放題」にチャレンジすることにした。

 家に帰って昼寝をして、午後四時過ぎに俺は再び家を出た。愛用のチャリ「アヴァンテ号」で真直ぐにケンチキを目指す。チャリを止め、入り口の食べ放題キャンペーンの看板を見つめ、立つ。その眼差しは、これから登るチョモランマの頂を見上げるアルピニストに等しかったに違い無い。自動ドアを通り抜け、そのまま正面のレジに向かう。

「いらっしゃいませ、こちらでお召し上がりでしょうか?」

「・・・はい」

「御注文はいかが・・・」

「・・・これを。」

 店員の言葉を遮るように、壁の食べ放題ポスターを指差して俺は言い放った。態度の悪い客と思われたかも知れない。しかし、仕方ない。
 俺は、のんきにメシを食いに来たわけではない。戦いに・・・
己の夢に挑む為にここに来たのだから。

 時刻は16:27。受け付け終了3分前だ。・・・そう、真打は最後に登場するものだからな。実際、俺はその日最後の食べ放題参加者だった。

 デフォルトで4ピースのチキンがバスケットに載っていた。見ると俺の好きな鶏のスネの部分がない。チキンと言えば誰もが想像する、CMでもいつも使われている、あの部分。手で持つとこがあるアレだ。やはり、アレがないと、チキンを食った気がしない。味もいいのだ。「足の部分が好きなんで入れてもらえますか?」と言うと、店員は一つのチキンを交換してくれた。厚かましいかも知れんがここは譲れん。だいたい、4ピースもあるんだから1つぐらい入ってていいだろう。飲み物にウーロン茶を頼み、俺は席に着いた。

 まず、ウーロン茶をひとくち飲み、好物の足部分を食べはじめる。やはり、美味い。脂が多すぎず少なすぎず、程よい味わい。食べやすく、衣が均一に着いているのもよい。あっという間に1ピースを平らげる。ごちそうさま。さて次・・・と、ここで俺はハッとした。依然にテレビで、食べ放題のコツをやっていたのを思い出したのだ。いっぱい食べようと思って早食いすると、かえって満腹感に襲われてしまう、と。
 そこで思い出したようにウーロン茶を飲むが、当然のように1人で来ているので話し相手もなく、他にすることもないので、さっさと2ピース目を食べはじめた。普段はチキンは2ピースを買うことが多いのでこれで最後になるのだが、今日はまだまだ先がある。そう思うと惜し気もなく、俺はチキンをむしゃぶり食べた。今度はアバラの部分か。
ここは脂が多いがそれもまた美味い。さて、もはや勢いだ。続いて3ピース目を食べる。もも肉。味は足部分に準ずるので、これも美味い

 ああ、やっぱすケンチキはうめえぇや。そんな感慨に浸りながら4ピース目。ここで俺の体に異変が起こった。手羽の部分を喰っていたのだが、わずかに肉に含まれる血合い(茶色っぽいヤツ)の臭いが気になったのだ。肉や魚の血合いが嫌いな人は結構珍しくないかも知れないが、肉好きの俺にはそんなものは関係ない。普段は、むしろ味のアクセントくらいに思って堪能している。さっきまでだってそうだ。
 だが、この4ピース目を食べていて血合いを口に含んだ瞬間、不意に、生臭いな、という感情がよぎったのだ。・・・何故だろう?まあ、アルピニストで例えるなら軽い高山病のようなものだ。そう気にすることもあるまい。
 とりあえず、ウーロン茶を流し込む。そして、ここでも異変があった。・・・
ウーロン茶が不味いのだ。口のなかの脂と混ざって舌に絡み付く。・・・ウーロン茶は口中の脂を洗い流すから中華料理と相性がいい、とかって云わないっけ?中華以外の脂には無力か?

 これは、良くない傾向だ。腹にはまだゆとりがあるはず。なのに、最初はあんなに喜んで食べたチキンが、美味しく感じられなくなって来ているというのか?

 俺は緊急対策をとることにした。こんなこともあろうかと、家から持って来たキャベジン。こいつをウーロン茶で流し込む。速効性はないかも知れないが、後々には効いてくるだろうし、何より気休めにはなる。

 さて、何はともあれこれで4ピースを完食した。1ピースの定価は200円だから、単純計算ではこれで800円の参加料をペイしたことになる。まあ、実際には4ピース買えば少し割り引きになるので、その分はまだワリを喰っているのだが・・・。

 とにかく、俺はレジにて2ピースの追加を受け取る。ちなみに鶏1羽分は9ピース。それだけ食べられたら言うことないんだがなあ・・・。

 しかし、そんな妄想はあっという間に吹っ飛ぶことになる。先の4ピース目に起こった違和感は確実に俺の体を、味覚を、精神を蝕んでいた。嗚呼、なんということか・・・。チキンが美味しく無い。しかも、この5ピース目は、俺があまり好きでは無い胸肉だった。脂が少なく、パサついているのだ。ウーロン茶で流し込もうとするが、チキンとウーロン茶が口の中で気持ち悪い混沌を醸し出す。・・・くそ、こんなに早く俺はリタイアしてしまうのか・・・?

 しかし、光明は思わぬところから現れた。隣で同じく食べ放題に挑んでいる休日のサラリーマン風の男2人の会話だ。こいつらは、確かになかなか喰いそうな体つき(いわゆるサラリーマン肥り)だが、既にそれぞれ7ピース目、6ピース目を口にしている。いい加減に苦しいらしく、ドリンクで流し込みながら先輩らしき男が後輩に話し掛けていた。

「・・・しかし、おまえ、よくコーラで飯食えるよな。甘い飲み物で飯食うのって俺には理解できねえよ。こういう時はウーロン茶の方がいいんだよ」

「じゃあなんで最初に言ってくれないんですか!?自分だってコーラ頼んでるじゃないですか?」

「いや、チキンと言えばアメリカだろ?アメリカと言えばコーラ。・・・と思ってさあ。」

 その瞬間、俺は重大なことに気付いてしまった。
 こいつらは何もわかっちゃいない。だが、正しいのはこいつらで、間違ってたのは俺だったのだ。

 省みれば、俺は昔は、チキンを食べる時はいつもウーロン茶を頼んでいた。さっぱりするかと思ってだ。しかし、どうもチキンと一緒に飲むと美味くないので、いつからかチキンを食べる時の飲み物はコーラに決めていたのだ。ちなみに、同様の理由でマクドナルドでも俺はたいていはコーラを頼む。
 しかし、今日は、やはり口の中をさっぱりさせよう、というように余計な気を使って、また、炭酸で腹が膨れるのを嫌ったのもあり、ウーロン茶にしたのだ。これがいけなかった。
 隣の男が言う通り、
チキンもコーラもアメリカの文化なのだ。
 チキンに限らず、ハンバーガーでもステーキでも、スナック菓子でも何でも、「肉」「脂」が大好きなのがアメリカ人。これを偏見とは言わせない。サラダにかけるドレッシングだって、アメリカ製のは脂がしつこいことこの上ない(味は結構好きだ)。
 そして、その脂塗れの食事情の中で愛されて来たドリンク、それがコーラだ。脂っこい食い物には相性が良くて当然ではないか!考えてみれば、肉をコーラで煮込む料理さえあった筈だ。

 俺はレジに行き、コーラを買って来た。ひとくち飲む。・・・Refreshing!! 今までよくわからなかったこの炭酸飲料のコピーの意味が、いま鮮明に理解された!
 これまではあまり意識したことはなかったが、確かに、
ウーロン茶なんかより遥かに口の中がサッパリするのだ。まさに炭酸の泡の1つ1つが、口腔内にヌッタリとへばり着いた動物性脂肪を溶かしてくれるかのような感覚だ。そして、この甘さ。この甘さが、次に食べるチキンの、食傷ぎみだった塩っぱさを再び新鮮に感じさせてくれる。

 いいぞ。俺の食欲は幾分回復し、5ピース目のチキンを難無くクリアすることができた。

 しかし、ここで俺の消化器系とは別次元のところでの問題に俺は気付いた。俺は、本日最後の食べ放題チャレンジャーだ。そして、食べ放題には制限時間がある。つまり、いつの間にか店内には食べ放題に挑んでる客は俺独りになってしまっていた。しかも、俺の周囲の席には「17:45までは食べ放題専用席」とのステッカーが貼られており、誰も座らない。
 夕方の食事時になり混雑し始めた店内で、俺は完全に浮いた存在となり果てていた。向かい側のファミリーが、カップルが、チラとこちらを伺う。けして自意識過剰ではない。このシチュエーション、逆の立場なら俺だって気にしてしまう。
食べ放題って1人だけ参加者がいるみたいだなあ・・・あんまり大食いには見えないけど、いったいいくつのチキンを食べてんだろう?・・・やっぱ食いしん坊っぽい顔してっかな?などと、絶対確認したくなってしまうだろう。
 
くそ!完全に曝し者じゃねえか!
 ・・・まあ、いい。好ましい環境ではないが、それぐらいで動揺する繊細な胃袋ではない。俺は、独りの戦いを続けるのみだ。

 さて、6ピース目。これで鶏2/3羽分だ。コーラでリフレッシュした俺は、大きめの背中部分?の肉を掴む。

 「!?」
 再び異変が起こった。こんどは、俺ではなくチキンにだ。
 
脂が凄い。果してこれは錯角なのか?すでにチキンの脂っこさを拒否し始めた俺の心が、そう感じさせているのだろうか?・・・否。それは違うだろう。掴んだ指の周りからは脂が滲み出し、チキンの下面から脂が滴り落ちている。いくらなんでも、いつものチキンはこんなじゃなかったはずだ。さすがに、ペーパーで軽く押さえて余計な油脂をとり、ひとくち食べる。・・・ジューシーだ・・・ジューシー過ぎる・・・いや、しかし・・・このジューシーさは鶏の脂ではないんでは・・・。

 チキンの下にペーパーを置き、ちょっと一服することにした。まだ時間はある。少し休んでもよかろう。煙草に火を着け、コーラでサッパリしつつ戦いの間のしばしの休息だ。
 しかし、そうしているうちに俺は驚くべき光景を目の当たりにすることになった。俺は、ふと食べかけて皮の剥がれたチキンの、露になった白い筋肉を見ていた。・・・なんと、それはまるで内側に圧力を持っているかのように、点々と脂を浮き上がらせている!米粒大から小さめの小豆大ほどの
脂の粒が、てらてらと光沢を放つ肉の表面に次々に現れたのだ。

 いくらなんでも、コレはねーだろ・・・?それが率直な感想だ。どうも、揚げ過ぎたか、油をよく切らなかったか調理ミスとしか思えん・・・。よりによってこんなところでダメ押しを食らってしまうとは・・・。

 浮き上がった油脂を拭い、チキンをかじる。力を入れた指先を、噴き出た油脂がつたい、手のひらに溜まる。チキンの下に敷いていたペーパーは、完全に半透明になり、もはや1滴の油脂も吸収はできないと、その使命を全うしている。くそ。とんでもねえハズレだ・・・。もう一口食べる。・・・気持ちワリぃ・・・無念・・・たかだか6ピースでもう俺はダメなようだ。

 そういや、先の隣の男達も、後半しきりに言っていたな・・・。
 「うわ、この脂!」「なんか脂が多いのと少ないのはっきりしてますねえ」
 まさか、対食べ放題客用スペシャルレシピが存在してねぇだろうな・・・。
 まあ、こんな疑念を抱いてしまうのも、すでに俺の消化器官が限界に達している為に味覚が平時と違ってしまっているからだろうか。どこか体の具合が悪いと、えらく狭量になって他者を責めてしまいがちなのが人間だ。
 これは、お膳立てされたステージに俺が自ら欲して挑戦した戦い。傷付いたからと言って、環境を責めるのはお門違いか。

 しかし、いずれにしても、ここで止めては、5ピース半だ。それに、「本当に嫌になるほど存分に食う」という俺の夢の達成度もいまひとつだ。
 俺は、ひとくち、コーラを飲んだ。
 もはやオイルキャッチャーとしか思えない肉塊をしばし見つめる。
 特攻。
 そんな言葉が脳裏を掠めた。
 南無三、と心の中で呟き、俺はいっきに残りの肉にむしゃぶりついた。

 脂が・・・等と余計な感覚に囚われる前に、残しておいたコーラをいっきに啜り、ゆっくりと口に含ませてから飲み込んだ。

 残り時間はあと5分ほど残っている。
 退去してもよかったが、すぐに立ち上がるのは危険に思われ、俺は煙草に火を点けて店内を見回した。通常メニューのチキンを頬張る客が数人見えた。ぜんぜん旨そうには見えなかった。俺は、思いのほか数は食べられなかったものの、自分の本来の目標を達成できたと感じた。

 すべてが終わり、この原稿をタイプしている今も、胃に違和感を感じ、ゲップをするとチキンの風味がし、歯には鶏肉の繊維が挟まっているのを感じつつ、思う。

 やめときゃ良かった・・・。

<< - Back to Top