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Reports 俺のマシン名鑑 R1-Z

俺のマシン★ヒストリー

YAMAHA R1-Z

なんと言っても、2stだ。

このマシンは、アルミ製のトラス構造フレームに、2台前に乗っていたTDRと共通の2ストロークエンジンを心臓部に持つ。俺はこのエンジンが気に入っていた。なにせ、原型となるパラレルツインのエンジンは、開発当初(70年代かね?)、大形バイク(750cc)ブームの中でRZ350というバイクに積まれていたのだが、そのRZ350はピーキーな高回転型で扱いにくい反面、乗りこなせば異様に速いというもので「ナナハン(750)キラー」と呼ばれていたらしい。・・・・おいおい格好いいなあ?「キラー」ですよ。なんて漢らしい響きなんでしょう?誰が乗っても、いつでも速いっていうのより、限られた状況で、しかも腕がある奴が乗った場合だけ速いっていう方がかっこいいと思うのは俺だけだろうか?「コイツは俺じゃなきゃ疾走らねーのよ・・・」って感じがいいじゃない?

で、アメリカンとTW、そして大形バイクブームの盛りの中で、そして、環境問題から2stのバイクが消えていく(2stバイクの排気はとても地球に厳しい)中で、敢然と時代に逆行するかのように、「ナナハンキラー」系統の最後の機体となったR1-Zに乗ることにしたのだ。・・・格好いいね。孤独と哀愁と愛と勇気を感じるね。

それまでは、オフロード系のバイクを乗り継いだのだが、バリバリに硬派なオフローダーであった前のマシン、TT-250Rが事故で中破したのを機に、俺はロードにシフトした。なぜならば、TTで何度か近場の林道に出かけたりもしたのだが、そのどれもが舗装化が進んでおり、未舗装部は残ってても1kmそこらだったからだ。結果的には鋪装された峠道ばかり走ることになっていたので、これだったらロードに乗った方が楽しいだろうと思ったのだ。

さて、このマシン、特に改造等は行わなかったが、なかなかよく走ってくれた。低回転でのトルクは貧弱そのもの(ただし、友人のアプリリアRS250に乗らせてもらった時には、R1-Zの低回転はなんて力強いのかと思ったが)だが、6000回転超からの吹け上がりは素晴らしい。排気音の質も変わる(2stならではですな。)し、まるで第2のエンジンに点火したかのような加速感が味わえる。ことに、体感的な「加速感」について言えば、やはり2stは素晴らしい。ブラボー。

加えて、このマシンはなかなか造型がいいと俺は思う。写真ではわかりにくいが、微妙にエッジの効いた外装とハイコントラストなトラスフレーム、そしてメカニカルな水冷エンジンの取り合わせがなんともイカしていたよ。

あと、2stならでは、加速時にまき散らされる白煙も気に入ってたなあ。周囲は迷惑だったかもしれないけど、なんかロケットブーストって感じで。蚊トンボみたいな甲高い排気音もよかったなあ。

このマシンで初めて行った峠(奥多摩)では、下りコーナリングの最中に前方の富士山に見とれて外にふくらみ、路肩の砂利を踏んで前輪からスリップ、滑走してガードレールに激突して修理費7万円などという悲劇もあったが、いいマシンだった。帰り道、フルボトムで固定されたFサスで高速道路を走るのはなかなか辛かったぞ。

修理から復帰して、夜の学校帰り(当時学生)に「いい加速だ!」とか思って走ってたらネズミ取りに引っ掛かり、ゴールド免許から一気に免停(41km/h超過、罰金\81,000、講習料、簡易裁判費用その他で2、3万円)という悲しい出来事もあったが、爽やかなマシンだった。

とある事情で八王子に出向し(当時は既に社会人)、最悪な労働環境の憂さからちょっと強引に黄色信号に突っ込んだら白バイに捕まったりもしたが、それでも、荒んだ俺の心にひとときの清涼感をもたらしてくれたのはこのマシンだった。

ある秋の日、どう見ても普通の変哲のない道をハニーとタンデムで走行中に2台のパトカーに挟まれ「ここは二輪通行止めだ」と理不尽な規制の為に捕まり累積点数超過で、再び免停(今度は60日)になっても、俺はこのマシンが好きだ。津久井警察のドケチ。一部の人間が暴走したからってなんで二輪全面通行止めにする必要があんだよ?んなのちゃんとパトロールして捕まえりゃいいじゃねーか二輪通行止違反だって現地にいて見張らなかったら捕まえられないんだから意味ねーっての発想が安易なんだよもう少し脳味噌使って取り締まれよ的外れな人間ばっか捕まえてもはや単なる点数稼ぎだろうが・・・ああ、いかん、本音がちらりと・・・

でも、さすがに呪われてかもしれん・・・というか、ちょっと何かがおかしいと思って60日バイクを降りたよ、さすがに。・・・あんまりにも軽快な取り回しなんで、俺の感覚が気楽になり過ぎていたのかも知れない。自転車にのってるような気分だったからな。コケてもなんとも思わなかったし、運転マナーはこれ以上ないほど悪かった気がする。

そして、このマシンも2万円で下取られていったのでした。こんどは、落ち着いて走るマシンに乗ろうと思って、甘んじて60日の免停を受けた後に、買い替えに行ったのでした。

しかし、次なるマシンは、再び俺の裡なるパッションを引き出すに充分なモノであった・・・。

エンジンのことは知らん!という皆様に解説。
2stとは?


ツーストと読む(俺は)。2 stroke (または 2 cycle)というエンジンの形式を指す。通常の自動車、そして多くのバイクに積まれるエンジンは4 stroke エンジンだ。2strokeエンジンと言うのは、細かい説明は省くが、とにかく4stのが1回の爆発を起こす間に2回の爆発を起こすのだ。したがって、単純計算では、同じ排気量なら4stの2倍のパワーを発揮する(ガソリンを2倍使ってな。)。しかも、エンジンの構造が単純な為に軽量化ができ、また、レスポンスもいいというメリットを持っている。

しかし、当然いいことばかりではなく、まず、トルクが低くピーキーになり易い(パワーがあっても扱いにくい)、燃費が悪い、そして排気がとても汚い(ガソリンにオイルを混ぜて燃料としている為に、オイルの燃えカスや燃え切らなかったオイルそのものが排気とともに放出される。ガソリンそのものの燃焼効率も悪い)などの問題がある。回転を下げてちんたら走ってると未燃焼のオイルがたまって最悪エンストすることさえある。つまり、常に全開で走ることを義務付けられたようなエンジンとも言える。結果、おもに小排気量のスクーターなどに採用されることが多い。

しかしながら、250ccの2stエンジンは、絶妙な味わいを醸し出して好きな人にはたまらないシロモノでもあるのだ。

乗りにくい、臭い(乗り手もオイル臭が染み付きがち)、地球に厳しい、しかし愛すべき2stエンジン。だが、近年の環境規制の強化に対応できなくなり、もはや絶滅への道を辿っている。


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