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ningyo’s BOOK COLUMN

2002.08.24

今昔物語
岩波文庫
本朝編上・中・下

今昔物語は特に註釈がなくても
現代語訳でなくても、すんなりわかります

 日本の古典はお好きですか?
 世界最高峰の長編心理小説・「源氏物語」はすごく難しいので原典は読んでいるうちに訳がわからなくなって、たくさんの作家の方々の現代語訳に頼るしかないのですが、平家物語や今昔物語は声に出して読んでいると、なんとなくわかってきます。岩波文庫も今の本は活字もかなり読みやすくなりました。

 今昔物語は平安時代末期に成立した説話集で、漢文調のいささかそっけない表現でさまざまな説話が綴られています。説話集全体を天竺(インド)・震旦(中国)・本朝(日本の話)に分け、それぞれ仏教説話→世俗説話の順番で並べてあります。

 ふだん古典なんか読まない方でも本朝編の世俗説話なら、すぐに理解し、普通の小説を読むよりわかりにくいことなんてないのに驚かれるのではないでしょうか。特に世の中の悪行・しょうもないこと・噂話・SFチックな話・怪奇の世界の話は最高です。おもしろいです。

 SFチック物語の一つに「すばく男」というのがあります。「すばく」というのは回虫です。でその駆除に使うのがくるみ。胡桃の産地、信州に赴任したある国の守、胡桃を見ただけで不機嫌になり、しいて勧められて食べてみたらなんと・・・ 実はその守の生まれる時に母のおなかには・・・  (・・・のあとをどうしても知りたい方、お読みになるか、ご連絡ください。食事時を避けて)

 今昔物語のおかげで私は一生”なれずし”というものが食べられないだろうと思います。
 そういうえぐい話はかなり多いです。
 でもとにかく面白い!楽しめる古典です。

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