2002.07.17 騎馬民族は来た!?来ない!? 考古学者 佐原真先生が亡くなられました 謹んでご冥福をお祈りいたします 江上波夫先生は、日本に大陸から豪華な馬具と武器を持った騎馬民族がやってきて征服王朝を立てたという説でセンセーションを巻き起こした方です。それに対し、佐原真先生は日本は一貫して農耕民族のものであったと主張されています。この本では、2人が真っ向から激突対談をしています。 両者とも、豊富な学識や経験を駆使して相手の理論に対して「ここはどうなのだ?」ということを実に熱く問いかけあっていきます。論争でも実際の資料の解釈はここまでは同じ、ここは違うという部分を平易な言葉で展開しており、お二人自身のフィールドワークもたくさんでてきています。上下二段組で注もかなり親切に入っているので素人ではなんだかわからない、ということもありません。騎馬民族説について知識も得られます。 読んでいて実にすてきな方たちだな、と思わせられました。お互いを尊重しあっている2人の学者さんが議論を戦わせている緊張感が、すごくさわやかです。江上先生もいつもながら迫力です。後半の国民性を騎馬民族か、農耕民族か、できっぱり別けて行くところの日本人についての見解ははどうなんだろう(?)と思ってしまいましたが。 私は考古学については、小学生で「岩宿の発見」やツタンカーメンの墓発見の本読んでわくわくし、高校で遺跡発掘アルバイトにいっただけの唯のミーハ―ですが、佐原先生の本は素人にもわかりやすくてファンでした。70歳ではまだまだ早いと悲しく思います。 三千年紀の考古学の目指す方向を示したという遺著「考古学つれづれ草」を、これからさがしにいこうと思います。
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