2002.08.09 貝になった男 この時期、少しは考えてみたい ちょっと重い本です。 「巣鴨プリズン13号鉄扉」、「遺された妻」とBC級戦犯についての上坂さんの本は、否応なしに生活と人生を破壊してしまう、戦争、国家と人間のかかわりについて、考えざるを得ない宿題を出されたように感じます。普通の日本人が、あの状況の中で日本人としての行動をとっただけで、ただ運命による状況の違いだけで、戦犯という罪をあるものは背負い、あるものはそれを見て顔をしかめる存在になる。 ごぼうを捕虜に食べさせて虐待になったというのも有名な話ですが、上坂氏自身がオーストラリアで元捕虜(理性的な紳士たちです)に会って「お灸」の誤解を解くくだりもこたえました。 「I understand(了解した)」 海外との交流は戦争前後に比べてはるかに容易になっていますが、お互いの文化や生活への理解は進んでいるのでしょうか! 人間は一人誠実をつくしてもなお悲劇を避ける事はできない。納得しがたい責任のために命を請求される、自分の命を投げ出そうにも許されない、そんな時の身の処し方は、考えられますか? 私は、こんな状況が生じるのが戦争だ、ということを忘れないでいたいと思うのです。 |