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ningyo’s BOOK COLUMN

2002.9.22.

日本の軍事システム
自衛隊装備の問題点
江畑謙介著
講談社現代新書

 国防費が多額であると聞いてはいますがその中身は?
日本の軍備は何のため?

 湾岸戦争のときにテレビに颯爽と登場し、いろいろな意味で一世を風靡した江畑謙介さんの一冊です。帯文は「新型ヘリの弱点、90式戦車の欠点  この国に抑止力はあるか?」 この本では、日本の軍備について、自衛隊装備に絞って論じています。

 まず導入部。ここできちっと「軍備の基本は抑止力」と規定しています。日米安保条約を日本の抑止力として、日米双方の認識の違いも明確にし、自衛隊装備を 
  1 安保条約に基づく共同作業(というのかな)に必要 
  2 専守防衛のために必要 
 3 自然災害に対応する為に必要 
という見地から、現状の装備について論じています。

 こういうことについてはまったく門外漢なので、一つ一つのケースを提示されて「そうなのか!」と思うほかないのですが、役立たないものを記述淡々としてきっちり書いているので、読んでいるうちになんとなく情けなくてうなることもしばしば。(国内移動できない戦車、とか。敵が戦車のいる所にだけ来てくれるといいですね。役には立たないだろうけど作り続けられる機関砲とか、米軍のRAM化についていけない情報機器とか・・・) 評価するところはきちんとしてます。

 自衛隊の存在自体についての議論は今は(ほぼ)おおっぴらにはないようですが、現に存在し、多額の国家予算を使うなら、やはり費用対効果とか「役に立つ」というのをちゃんと考えてそろえて欲しい、と痛烈に感じます。

 わからないからといって、あんまり知らずにいるのもよくないと思わせる社会情勢なので、読みやすいこんな本から取り付いてみるのもいいんじゃないでしょうか。そういえば、米軍の後方援助とかで自衛隊が海外へ出て行くこともメディアでそれほど大きな扱いをされなくなりました。数年前に重火器構えたゲリラの中にピストルだけ持たせて自衛隊をPKO派遣とかいう議論がありましたよねえ。あの国会論争も頭痛ものでしたが、いま、ちゃんと海外へ出て行く体制とか、コンセンサスとかほんとに整ってるんでしょうか。新聞読んでいてもそこら辺霧の中なんですが・・・ ドンパチ始まったら逃げればいいっていったって、逃がしてくれるもんなのか、他の国が戦っているところで、「すいません、憲法と国会でこう決まってますんで」って逃げてこられるもんなのか・・・それほんとに全部詰めた上で隊員の皆さんを海外に出してるんでしょうか?知らないの私だけですか?

 

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