三重県四日市市のスーパーで昨年二月、強盗に間違われた同市内の男性(当時六十八歳)が死亡した事件で、男性に向かって「泥棒」と叫び、現場から
立ち去った女性の防犯ビデオ映像を、三重県警はきょう十七日、公開する。容疑事実を特定できないまま、関係者の映像を公開したのは「グリコ・森永事件」の
「キツネ目の男」があるが、極めて異例。
事件は昨年二月十七日午後、同市のジャスコ四日市尾平店の現金自動預け払い機(ATM)コーナーの前で起きた。
近くにいた女性が男性に駆け寄り、「泥棒」と叫んでつかみかかった。買い物客らが男性を取り押さえ、県警四日市南署員に引き渡したが、男性はその直後におう吐して意識を失い、翌十八日未明に高血圧性心不全で死亡した。
女性はそのまま立ち去り、県警が防犯ビデオの映像を分析した結果、「男性が女性から何かを取ろうとした可能性は極めて低い」として、「男性は無実だった」との見方を示した。
県警捜査一課では、女性が犯罪に関与したと断定できないことから、防犯ビデオの映像を公開していなかったが、「捜査が難航し、女性の手がかりにつながるような情報もないため、発生から一年を機に公開することにした」としている。
防犯ビデオの映像はポスターに印刷し、同店のほか同市内の駅や公共交通機関などに三千枚を張り出す。
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