四日市市の大型スーパーで同市内の男性(68)が強盗騒ぎで一般
人に取り押さえられ、四日市南署員に引き渡された後、死亡した事件から、17日で一ヶ月。男性は無実と判明したが、男性を「泥棒」と叫んだ女性の行方は不明のまま。謎は深まるばかりだ。
(四日市支局・中沢穣/三重総局・小島麻友美)
◆事件の経過◆
事件は2月17日午後1時10分頃、店の現金自動預払機械(ATM)コーナーで起きた。女性の叫び声を聞いた買い物客3人に続き、署員2人が男性を取り押さえた。駆け付けた署員の刑事課員3人が男性を起こすと、男性は嘔吐し、意識を失い、12時間後に亡くなった。死因はストレスによる高血圧性心不全と不整脈だった。
◆捜査は難航◆
県警は目撃者の証言や防犯ビデオを分析。事件の3日後に「男性が犯行に関わった形跡がない」と発表した。
事件の約5分後に姿を消した女性は、騒ぎの最中にATMコーナーから店内へ向かう姿が防犯ビデオに映っている。映像では、女性は年齢20〜30歳、身長160センチで2歳ぐらいの子を抱いて板。県警は焼く2万5千件の聞き込みをしたが、有力な手がガリは掴めていない。山川和俊刑事部長は「立場上、女性は被害者」として映像を公開していない。
◆逮捕は適正か◆
県警によると、現場に駆け付けた署員2人は男性の制圧と周辺捜査を分担したと言う。山川刑事部長は「適切な対応だった」としている。だが、男性に容疑事実を確認せず、後ろ手に手錠をかけて床に押さえつけた署員の行為を、疑問視する声も聞かれる。
店内には事件1週間後、献花台が設けられ、現在も花を手向ける人が絶えない。男性を取り押さえた一般
人は自責の念にも悩まされていると言う。ある捜査員は「善意から生まれた不幸だ」と深いため息をついた。
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