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警察“大失態”ぬ れぎぬだった
「泥棒!」女性の絶叫で逮捕した男性が急死
スポーツ報知(02/21/04)の記事
 三重県四日市市のスーパーの現金自動預け払い機(ATM)コーナーで今月17日、女性に「泥棒!」と叫ばれ、警官に取り押さえられた68歳の男性が死亡した事件で、三重県警四日市南署は21日までに、男性が犯罪に関与しておらず無実で、誤認逮捕だったと断定。副署長が「大変気の毒だ」と話した。現場の防犯ビデオの映像を分析した結果 、男性の犯行を示す状況が皆無だったもので、叫んだ女性が現場から立ち去る姿もビデオに残っていた。男性の遺族は「警察に殺されたようなものだ」と激怒している。

叫んだ女性は小走りで立ち去る

 「泥棒だ」と叫ばれ、警官に硬い床に押さえつけられ、ショック死したとみられる男性は、まったくの無罪だった。

 スーパーから四日市南署に提出された防犯カメラの映像には、両手を買い物袋でふさがれた男性の姿がくっきり。ATMを操作していた男性の後ろに子供を抱えた女性が現れ、男性の体を触るような動きをした後、胸ぐらをつかみ、いきなり「泥棒」と絶叫するシーンも映っていた。続けて2人がもみあいになるシーンもあったが、男性の犯行シーンは皆無だった。

 関係者によると、男性は自宅から約1キロ離れたスーパーで、ペットのハムスターのえさを買った後、年金を電気代などが引き落とされる別 口座に移すためにATMへ来ていた。事件当時、男性は終始、両手に買い物袋を持った状態で、盗みをするのは難しく、同署も男性が犯罪にかかわっていないと断定した。

 一方、「泥棒」と叫んだ女性が、男性が店員らに取り押さえられている最中に、小走りで子供を抱えながらスーパーの中に入っていく映像も収められていた。同署によると、女性は25〜30歳。身長約160センチでやせ形。肩にかかるくらいの茶髪で、黒っぽい上着にズボン。抱いていた子供は2歳くらいだという。同署は「一番事情を知っている女性の行方を全力で捜し、真相解明に努めたい」と女性の行方を追っている。

 親類によると、男性は約40年間、化学メーカーに勤務した後、警備員のアルバイトをしながら年金生活をしていた。近所でも「まじめな人」と評判がよかったという。

 この日、四日市南署の前川清治郎副署長は「店員や買い物客が取り押さえた男性を引き継いで逮捕しており、必要な職務だったと認識している」とした上で、「男性がこういう形で亡くなられたのは大変、気の毒であり、遺族の心痛をお察しする」と話した。だが、男性の親類は「明らかに不当な逮捕。警察に殺されたようなものだ。泥棒呼ばわりされて故人の名誉も傷つけられた」と激怒している。


【事件の概要】
 三重・四日市市のスーパーで17日午後1時ごろ、ATMを操作していた男性の後ろで2歳くらいの子供を抱えた女性が突然「泥棒」と絶叫。2人はもみ合いになり、周りにいた店員らが男性を押さえつけた。店内で万引き警備に当たっていた四日市南署員もかけつけ、男性を窃盗未遂の現行犯で逮捕しようとしたところ、男性は「何するんだ。離せ」と抵抗。そのため、応援の署員が来るまで約20分間、男性を床に押さえつけた。男性は直後におう吐し、意識不明の状態に。病院に搬送されたが、意識不明のまま死亡。死因は高度のストレスによる高血圧性心不全と不整脈であることが判明している。


 法学博士(刑法)・板倉宏氏「女性が勘違いで、男性に(向かって)叫んでしまったのなら、誤想(まちがった想像)正当行為で責任は問われない。だが、故意に男性を陥れたとしたら、公衆の面 前で『泥棒』呼ばわりした名誉棄損と、(行動が)男性の死亡の原因にもなっているので、傷害致死罪(最高刑懲役15年)にも問われる可能性がある」


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